談合を生み出しているのはマスコミ

「談合はいかん!」

と、電波利権にあぐらをかいているテレビにいわれたくはありま
せんが、一方で、

「談合は必要悪」

という話も出てきます。
どうしてでしょうか?

談合とはみんなでヒソヒソ話をして、不当に価格を決めたり余所
の業者の参入を阻むのですから、あってはならないことです。

四角四面の正義が大手を振ってまかり通る社会ならその通りです。

ところが世の中には三角も五角形も丸もあります。
それどころか三角錐も立方体もあり、お題目の通りにいかないこ
とが沢山あります。

これが「必要悪論」のより所となります。

自著「Web2.0が殺すもの」を評する際に、上から目線で

「もともと違うレイヤーのものを一つに語るのはどうか」

と振りかざされたことがあります。
次元、状況、階層、種別、媒体とそれこそ、違う「レイヤー」
を「レイヤー」という言葉にまとめている時点で、

「同じ轍を踏んでいる自爆批評」

に、笑ってしまったのですが、Web2.0は全く違う属性や
環境、別の物差しでの評価が必要なものから、都合の良いところ
を引用や援用して、そういう状況がおこっているかのように煽っ
たマーケティングムーブメントなのですから。

「談合必要悪」も同次元で語られます。

中小企業が大手企業に対抗するための談合と、

「大企業が企業体力と資本力にものを言わせて市場の寡占化を
目論む談合」

「官僚が自分の利益のために談合を斡旋する」

ことや

「政治屋が票と金のためにする談合」

が全て同列で語られてしまうことです。

私自身は談合は完全否定したいところですが、ゼロからリセット
できなリアル人生ゲームのなかでは難しい面もあります。

官僚と政治屋については論外で、発覚した時点で規模の有無を
問わずに執行猶予無しの懲役刑に処せば簡単に解決します。

情状酌量の余地を残すから、

「これぐらいは」

と悪の芽が育ってしまうのです。
官僚も政治屋も「公僕」です。おおやけのしもべです。

しもべの立場を悪用して私腹を肥やしたのですから、極刑でも
良い位なのですが、これはちょっと現実的ではありません。

だって悪さする人がルールを作っているのですから。

と、同時に悪さする人、それを野放しにしている人達を選んで
いるのは私達国民です。・・・選挙いきましょうね。

「必要悪としての談合」があえて擁護されるのは、「大企業」に
潰される地方企業や、中小企業が多いからです。

ここ数年、私の近所は日暮里・舎人ライナー開通を当て込んだ

「建設ラッシュ」

が続いています。農家で葬儀が出ると、数ヶ月後には宅地になり
倉庫がマンションとなります。

足立区には今でも個人商店的な「工務店」が沢山あります。

さて、この「建設ラッシュ」で地元工事をしている工務店が
どれくらいあるでしょうか。

大規模な宅地が売りにだされる際、テレビCMを流すような
超有名企業ののぼりが立ち毎週のようにチラシが折り込まれます。

建売が殆どですので販売と同時進行で建築が進みます。

建築業者の乗ってきた車のナンバープレートを見ると、隣の県や
地域外が目立ちます。

会社の名前とともにある電話番号は03でない市外局番が並び
ます。

地元に沢山の工務店があっても大手の不動産販売業者の仕事は
地元外の業者が使われています。

これは「企業の論理」としては至極当然です。
提携先や取引は実績を重視したといえばそれまでです。

建てた家に住む人の幸せを考えている風のCMを流していても
地元経済の発展なんて考えることはありません。

それではこの「下請け」の話しを聞きます。

「大手の仕事は単価が安い」

しかし、強力な販売網と開発力を背景に

「仕事はある」

のです。
職人は仕事がなければどんなに腕が良くても飯が食えないのは
落語のネタとなる江戸時代からの伝統です。

単価が安いから現場の数をこなさなければならない。
すると、タマの休みはのんびりしたい。営業や宣伝をして
単独の仕事を受注しようと考えることは難しい。
あぁ、明日は片道2時間かかる現場だ。もう寝なきゃ。

更にこのスパイラルを加速させるのは

「下請けへの払いを先送り」

させることが「よく」ある話しだからです。
色んな契約がありますが「手形」を受け取ると、6ヶ月もの
など当たり前にあります。

6ヶ月手形とはお金と同等の権利を持っていますが、現金と
なるのは6ヶ月後です。

つまり、300万円を6ヶ月手形で受け取ると、月50万円
の収入と同等ですが、お金が入るのは6ヶ月後です。

その間にも下請けは自分の会社の職人への給料は払い続けな
ければなりません。資材などの材料も、クルマのガソリン代も
待ってはくれません。

また、たちの悪い話しですが、

「本当に払わない元請けがある」

のです。少なくなく。

これは大手有名企業でもありますし、小さな所でもブローカー
でもです。

まっとうな人には分からない世界でしょうが、不動産・建築の
世界に片足でも突っ込むとよくある話しです。

「給食費の未払い」など可愛い話しです。

そしてさらに追い打ちをかけるように

「次の仕事して貰わないと支払いはできない」

という脅迫もよく聞く話で不良債権が次々と棚上げにされてし
まいます。
会社員に置き換えると

「悪辣な労働環境で給料遅延の上、残業を強要」

しているようなものです。
会社員なら労働基準監督局の出番となるような案件でも

「常用、下請け、取引先」

ともなれば「自己責任」で「受注」していることになります。

実体は「逃げるに逃げられない」状態に追い込まれていてもです。

また、ダンピングをしても自らは痛い思いをしません。
大企業は「利益」を引いた額から、下請けに割り振るからです。

そして、前述の「大手の仕事は単価が安い」が「仕事がある」
とスパイラルに突入します。

これら大企業の横暴に対抗するために「談合」は必要悪だと
主張することは心情的に理解できなくありません。

自らの利益を確保している構造の中で、大企業がダンピング
して市場参入されては小さな所に勝ち目はないからです。

まったく違う業界の話しですが、子供の七五三や記念写真で
急成長した

「こども写真城スタジオアリス(株式会社スタジオアリス)」

という業態があります。
もともとDPEやレンタルビデオなどを手がけていた会社が
とある大企業と提携して大躍進したのです。

これは目の付け所と、時代の潮流をよんだことによる成功で
すので揶揄すべきことではありませんが、くんだ相手が

「フジフィルム」

の関連会社です。
七五三やお宮参り、記念写真は

「街の写真館のドル箱」

でした。
そしてその昔、多くの写真館は「富士フィルム」の影響を
色濃く受け、

「コダック」

との系列の囲い込みなどもありました。

ところがその富士フィルムの関連会社が街の写真館の
市場に参入したのです。街の写真館が利益を圧迫する低価格で。

・・・写真館、減っていませんか?
デジカメに写メールの隆盛もありますが。

談合必要悪論の背景には大企業による横暴があります。

日本人も馬鹿じゃありません。
これを防ぐに「公正取引委員会」があり、不公平な取引には
断固たる処置がとれるようになっています。

まだまだ処罰が弱いのが難点ですが、救済措置は用意されて
いるのです。

だから世論を喚起して、

「大企業の横暴を許すな!」

という論が盛り上がれば「必要悪論」なんて消失することで
しょう。

が、この世論を喚起する「社会的責任」を持っているテレビ
局も新聞社も

「大企業の横暴」

をどこよりも実践している企業なのです。

「風が吹けば桶屋が儲かる」的でいうなら

「談合を生み出しているのはマスコミ」

というと言い過ぎでしょうか。

「捏造が発掘あるある大辞典2」で下請け、孫請けと丸投げ
されていく様は、建設業界のそれと全く同じですし、

「大企業という広告主」

を大企業の広告代理店が連れてきて、自らの利益を確保した
上で、下請けに丸投げしています。

そして新聞も

「世界に冠たる個別宅配網を支える新聞販売店」

を虐めるのは日常茶飯事です。
あまり知られていませんが、新聞販売店の多くは独立経営で

「取引先である新聞社からの必要以上の新聞を買わされている」

ことが与える、経営への影響は深刻です。
が、これを断ると

「解約」

され、新聞を仕入れることができません。
ものすごく理不尽な契約がまかり取っております。

公取委の出番なんですが。

・・・特殊指定や再販解除といった自分たちの不利益には
紙面を割いてキャンペーンをはる新聞社ですが、不利なことは

「瞬間冷凍」

してしまいます。
そしてこういった「閉塞感」から「必要悪論」がでてくるのです。

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