北千住から見えるこの国の病巣

 週末は日光街道の最初の宿場町「北千住」の商店街で行っている
イベント

「第7回千住エキゾチックフェア」

に行ってきました。
これは地域の商店街が主催して街を盛り上げようというイベント
で、スタンプラリーや町中の幾つかの会場で大道芸人のパフォーマ
ンスが催されます。

最初にこのイベント知ったときの感想が

「すげぇ」

これは規模や内容というより地域が一丸となって一つのイベント
を開催することへの驚きです。

千住は江戸時代より宿場町として栄えていたこともあり、旧街道
にそって南北東西に筋があり、それぞれの筋毎に商店街があります。

つまり5本の通りがあれば5つの商店街があるということです。

・・・そして、これはまぁオフレコで聞いた話しですが、

「商店街同士の仲が悪い」

ということなのです。
もちろん、商売は客の奪い合いですので仕方がない部分はありま
すが、このため、客にとって見れば一つのエリアと思っていても
まとまって一つのイベントを実施することは不可能に近いのです。

ところが「エキゾチックフェア」では、千住駅西口の商店街が
結束して一つのイベントを実行したのですから、

「すげぇ」

と驚いておりました。

しかし、昨年までは「行政主導」で実質足立区が仕切ることによっ
てなんとか運営されていたというのです。

そして今年から本当に「商店街」の仕切とのこと。

・・・連携がとれておらず、盛り上がりも今ひとつ。

いつもの休日の北千住に毛が生えた程度でした。

まるまる一日いたわけではないので、総括するのはおこがましい
話しですが、私の評価は「すげぇ」から「やっぱり」に。

商店街同士は仲が悪いのです。一般的に。

大局に立ち

「このイベントが何をもたらすのか?」

この総括ができない限り来年以降厳しいのではないかと見ており
ます。

些末な足立区のことを持ち出して何ですが、エキゾチックフェアの
行われた「北千住」は区内で特別扱いを受けている地域です。

「震災ハザード危険度ナンバーワン」

を見事受賞した千住仲町ですが、ここは昔ながらの街並みが残る
風情があります。

その仲町にできたのが「産業芸術プラザ」で、足立区の文化芸術
産業の中心地にしようとスローガンを掲げています。

北千住の北限の荒川土手そばには「生涯学習館」という、これま
た立派な施設があります。

駅前には再開発の名の元に丸井が誘致され、その最上階には

「シアター1010」

という劇場が用意されました。
ちなみに産業芸術プラザにも「天空劇場」という劇場があります。
千住地域では各種イベントが行われます。

関係者に話しを聞くとこの二つの劇場には違いがあり、それぞれ
の個性を活かせば両雄並び立つことができると胸を張ります。

さて、収支はどうでしょうか?

シアター1010は赤字です。見事に。
赤字負担は足立区です。

天空劇場はできたばかりですが、先日「二人はプリキュア」の
ショーイベントが行われました。

この様子を「ケーブルテレビ足立」で見たのですが、寂しい客席
でしたがこれも「関係者の話」では

「盛況だった」

とのことです。

果たして産業芸術プラザもシアター1010も足立区民が望んだ
ことでしょうか?

足立区には同じ東武伊勢崎線沿いの西新井駅近くに

「ギャラクシティー」

という同様の施設があり、こちらも芳しい話しは聞きません。
だからシアター1010ができたとき、誰もが

「映画館」

と思ったものです。
悲しいかな足立区には常設の映画館がありません。
そして劇場は西新井にあったので「シアター」と訊けば映画館が
できたかと・・・できたのはまた劇場。

千住地域で二つ目となる劇場の天空劇場のある産業芸術プラザは
旧区役所跡地で、この土地の活用については当初「ホテル」が
有力視されていました。

しかし、これは利益該当者以外の全区民が

「あんな所にホテル作って泊まる人なんかいない」

と思っていたので、ホテル建設反対を掲げ区長に立候補者した

「共産党の吉田万三」

さんが当選して話題になったものです。
その革新政権がホテル建設を見事中止したあと、あっさりと退陣
に追い込まれ、保守政権が玉座に着くとホテルに変わってできたの
がやっぱり「ハコモノ」だったというわけです。

鳴り物入りでオープンして、区の息のかかった広報チャンネルで
喧伝しまくります。

評価を下すには早計ですが・・・難しいのではないでしょうか。

理由は

「官主導は金の切れ目が縁の切れ目」

だからです。
圧倒的に有利な立場でものごとを奨められる官(この場合は区)
が本腰を入れている間は、なんでもできます。本当に。

税金だって地域振興という名目で「予算」を組めば採算度外視で
投入できます。

しかし、いつまでも投入することは流石にできません。
どこかのタイミングで手を引いたときが最後だということです。

北千住の再開発はまだ途中ということですから、今後も沢山の
税金が投入され続けます。
そして、半官半民のようなイベントが繰り広げられます。

「このイベント(や建物)が何をもたらすのか?」

の総括されることがないままに。

実はこの構図、国や都に置き換えても同じコトが起こります。

「Yokoso! Japan」

というプロジェクトを御存知でしょうか?
これはビジットジャパンという外国人観光客を日本に呼ぼうとい
う官主導のプロジェクトです。

確かにこの「骨子」は悪いものではないのですが、官からお金が
でているこのイベントの末端ではどうなっているでしょうか?

丸の内地域の「再開発」もこのプロジェクトの一環です。
そこで走っているのが

「オープンエアーの2階建てバス」

これは香港などの観光地を走る2階部分がオープンカーになって
いるバスで、皇居周辺を周遊しようというものですが、これは
H自動車が運営母体となっていますが、そこを辿るとM(丸の内の
地主といって過言ではありません)につながり、お上へと直結して
いきます。

すると、現場は客を見ずにMを見ます。

これは商慣習からいって責めることはできないでしょうが、客を
見ないで伸びる商売はありません。

丸の内の再開発もビジットジャパンも悪いことではありません。
しかし、官主導で上意下達で行われる限り、拡がりを見せるのは
難しいのではないでしょうか。

なぜなら「判子を押す(決済)」のは役人ですから、

「役人のルール」

で動くようになるからです。
または

「役人と取り引きするときのルール」

です。まぁこれが民間の感覚では面倒くさい。
企業文化が違うのですから仕方がありませんが。

そしてこんな話しも訊きます。

「役人同士は仲が悪い」

これは各省庁毎に利権構造・・・もとい、監督業務が違うために
起こります。

国民から見れば「役人は国民のために働く」と見ていても、各省
庁は「省益」の為に動きます。「省益」は国民の利益につながると
信じているから質が悪い。

ここで最初の話しに戻ります。

「商店街同士は仲が悪い」

同じ北千住西口というエリアで消費者にとっては同じに見えても
その実体は・・・ということ、同じ「国家予算」をぶんどり合う
構造が似ているということです。

しかも、同じように特別待遇を受けている身分と環境。

私は常に地に足をつけた視点を心がけています。

商店街と省庁を直結させるのが暴論だということはわかりますが、
街の八百屋のオヤジと、役人の精神が極端に違うと思えません。

するとこんな構図は成り立たないでしょうか?

北千住(西口)<丸の内<霞ヶ関(キャリア官僚)

記号は予算の大きさで、構造は同じです。
そしてこの北千住の部分は日本全国至る所に置き換えることが
できます。

大メディアを賑わすニュースも面白いですが、地元の広報誌を
注意深く見ると、この国全体に拡がる病巣を見ることができたりし
ます。

ちなみに北千住には「声の大きい人(地元の有力者)」が多いと
いわれています。

ただ、金の切れ目が縁の切れ目というか、今度はギャラクシティー
のある西新井には「映画館」を備えたショッピングモールが誕生し
ます。

客はいくら税金をばらまかれても「楽しくない」ところには
いかないので、北千住の正念場、ひいては足立区の正念場はこれから
やってきます。

色々頑張っているのは認めますが、既得権の構造もできあがって
いるので難しさが増しています。

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