旧聞に属するのですが、ライブドアの個人株主としてTBSの密着取材を受けたことがあります。
あの臨時株主総会の日の出来事です。放送された時間は全部で30秒ほどですが、事実上の拘束時間は10時間以上。
自宅を出るところから株主総会終了までの間、ずっと張り付いていました。
「テレビって金かけてるんだな」
とあらためて気づいた出来事です。
ただ、編集方針として「ライブドア株主の憤り」が欲しかったようで、そういう意味では私を取材したのは間違いでした。だって私は終始一貫、徹頭徹尾
「株式投資は自己責任」
と繰り返しましたので。
私がライブドア株を購入したのは100分割以後で、「ターボリナックス社」を買収したことを材料に買い始めました。インターネットがもっともっと広まる中で、リナックス(Linux)系への需要は更に高まるとみていたからです。
当時はWeb2.0なんてバズワードはありませんでしたが、インターネットやコンピュータに携わる上でバブル用語なんてなくても良い物は良い、注目すべきは注目してたのでした。
そしてこの頃は全体の相場が驚異の上げ相場で、何を買っても上がる状態でしたので、ライブドア株の売買を繰り返してちょっと儲かりました。ただ、ネット上で取りざたされる堀江さんの悪評をみるにつけ
「大丈夫? この会社」
という思いが強くなり、一旦全株を売却して利益を確定させました。
株式関係を除いたメディア全体は「近鉄球団買収」以降注目したので、
「ネットの住民=堀江シンパ」
という図式を作り出しましたが、それ以前からウォッチングしている人たちはかなり冷静だったのです。
しかし、欲の皮というのは厚いもので、一旦儲かった記憶は貪欲に欲望を食べ尽くしてきます。
「まだ上がるかも」
・・・そして利益確定させた「儲け分」で再度ライブドア株を購入。
いつもは流動株数の減少を嫌って手じまいしていた「株式分割」を、「体験」しようかとそのままにしているところに
「近鉄球団買収表明」
・・・勘弁してよ。これが本音でした。
その後、「当事者」はネタになるとの思いと、本業の多忙に任せてほったらかしにしていて気づいたら昨年末。
手持ち株の手じまいであらかた売却したのですが、ライブドアは
「経団連が認めたんだから」
と、保有を継続。どうせ株で得た金で買ったものだからいいや。
そして年明けの「ライブドアショック」。
もっとも「堀江貴文逮捕」は、拙著「楽天市場がなくなる日」の前書きで使えましたので、ネタとしてもとはとっていると考えることもできますが。
すべて、ちょっと欲の皮を伸ばしたことと「報道を信じた」ことによります。
株式投資の世界では
「噂で買ってニュースで売れ」
という格言がありますから、ニュースで買ったり売却を見送った私が馬鹿だったということになります。
さて、ミクシィ。
上場初日は315万円の買い気配値で初値つかずとバブリーさをみせつけた「期待のWeb2.0企業」の今朝の初値は遂に200万円を割り込み197万円です。
もちろん、本日現在200万円前後の株券を315万円で欲しいという人がいて、売買が成立したのですから何の問題もありません。
しかし、大株主として上場を応援してきたサイバーエージェントとネットエイジはロックアップもせずに、とっとと売却して業績を上方修正しました。
ロックアップとはザックリいうと上場時の値崩れを防ぐために、大株主は一定期間の保有株の売却をしませんよというお約束で、
「企業が成長することを信じている」
のなら、当然将来上がるであろう株を手放すわけがありませんから当然の話です。
もっとも公募価格が155万円ですから、これを大株主が「実力」と考えており、それがバブルったので「売っちゃえ」と思ったとしても責められる者ではないかも知れません。
・・・しかし。
公明正大、不偏不党が「お題目」の報道はどうでしょう?
ミクシィ株価315万円で、苦言を呈した人はいたでしょうか?
オカシイという記事を掲載した新聞は?
「とくダネ!」で小倉さんが「私は(この業界のことは)分かりません」とお茶を濁していたぐらいではないでしょうか。
広告代理店や広報会社、又はイベント会社なら「煽り」が仕事です。
しかし、日本人はまだ「新聞」を信じる傾向があります。
そしてそれも盾に「再販の特殊指定」という既得権益に胡座をかいています。
「Web2.0」と煽り立てた日本で唯一のクオリティペーパーと自称するあの新聞社の責任は結構重いのではないでしょうか。
これは拙著「Web2.0が殺すもの」の愛読者プレゼントとして提供しているPDF版で指摘しているのですが、足立区の読売新聞のとあるエリアの販売店だけで1億円ほどの粗利益があるかも知れない程の既得権益です。
しかし、殆ど「風説の流布」と同程度のことが行われていても、報道と冠されれば罪にならないのはおかしな話しです。
■楽天市場がなくなる日
http://www.as-mode.com/rakuten/index.html
■Web2.0が殺すもの
http://www.as-mode.com/web20/index.html