WiLLの敷居を高く感じている人にとって、今月号は超オススメです。いつもは厳選された「論」を紹介していますが、今回は短めの「コラム」で構成されています。執筆者もバラエティに富んでおります。
その中でも特筆すべきは、田原総一郎氏の
“パリのテロ事件と朝日第三者委員会”
は彼らしさが全開。左右どちらにも心を砕いていますよと言いながら、その実、片方しか語らないことで印象操作を目論みます。一例を挙げると
“(第三者)委員会内でも侃々諤々の討論があり、もっとも対立したのは林氏である”
と切り出しながら、朝日新聞に厳しい立場の北岡氏の批判しか紹介していません。次の段落で、朝日擁護の論が紹介されますが、そこには発言者の名前がなく
“という見方もある”
と一般論なのか林氏の発言なのか、田原総一郎氏の妄想なのか意味不明。彼はテレビ東京出身のはずですが、実に「朝日新聞的」な手法です。
論理のすり替えと混同も目立ちます。「集団的自衛権」「原発再稼働」「憲法改正」を「革新」と位置付け、従来通りにしろと迫る野党を「保守」とし、保革逆転との結論は語るに落ちます。
「原発再稼働」を例に取れば、原発停止は一時的なもので、安全性の議論を停止させてまで、その恒久化を狙うのは、従来からの革新勢力の主張に過ぎません。高齢化による記憶の喪失だとすれば、痛ましい限りです。
そしていま、読み返すと「短期集中連載」とあります。極右と罵られる「WiLL」ですが、保守も含めてちゃんとした右寄り、すなわち日本を代表する価値観である「寛容」の表れで、実は言論界において左派有利になる理由をここに見つけます。
レッテルを貼り攻撃し、排除の論理で動く左派に右寄りの筆者が招かれることは少なく、相手の話をまずは聞いてみようとする右派の媒体に左派が登場するので、「流通量」に偏りがでるのです。
話しを記事に戻せば、飯島勲内閣官房参与の
“メディア力の低下が国力を損なう”
は必読。先の選挙を「予測」した舞台裏からはじまり、経験に裏打ちされたその指摘に唸ります。
室谷克実氏の
“『呆韓論』 ナッツリターン編”
で、大韓航空の関連会社の社長らが、姫の事情聴取が行われる韓国の国土交通省に押しかけ、清掃作業員に女子トイレの掃除を命じ、すでに終わったという返事に対して
「副社長様がお使いになるかもしれないから、もう一度、念を入れて掃除しろ」
と命令し、作業員もそれにしたがったとのこと。そういう国なんだと確認できます。
“文藝春秋と西岡力氏を訴えた植村隆元記者に問う”
と題した編集部の指摘は、短いながら、この問題を理解するに十分です。
■WiLL 2015年3月号「表現の自由とメディア問題」
http://www.as-mode.com/check.cgi?Code=B00S6SEUHM