WiLL 2014年12月号 朝日の「反転攻勢」にもう一撃!

 「戦後補償」について、ドイツと比較し、日本を唾棄する主張があります。これへの「反撃」は、今月号に寄せられた西尾幹二の

“朝日叩きではない、朝日問題の核心”

 が武器を与えてくれます。端的にいえば国家の罪を、ナチスやその関係者の個人的な罪にすり替えたということ。なぜなら、その罪が大きすぎるからです。

 六百万人のユダヤ人の集団殺戮、二百万人のポーランド知識人あるいはそれを上回るソ連人の殺戮、五十万人のジプシー殺害などなどと例を挙げ、これを

「ドイツ民族の罪」

 と認めてしまうことができなかったがゆえの結論が「個人保障」だったということです。そして虚構の「従軍慰安婦」を、もってドイツと重ねる愚かさを喝破します。

 WiLLのいつもの論調は充実しておりますが、それよりも今回、瞠目した記事を2編あったので紹介します。

 まず、西岡昌紀の

“ノーベル賞三人受賞、しかし、日本の科学教育は大丈夫か”

 臨床医ということもあってか、論の絞り込みに若干のブレがあるというか、「あれもこれも」と詰め込みすぎているのは、私も同じ病気を持つので気持ちは分かりますが、整理されれば尚良いだろうと上から目線で断っておきます。

 ゆとり教育の弊害と実状を指摘しながら、英語教育とタブレット授業に疑義を提示しながらノーベル賞に進みます。

 益川敏英博士がノーベル賞受賞のスピーチ

「I can not speak English」

 を紹介し、多少の謙遜を含みながらも、英語ができないまま物理学賞を受賞した事実を指摘し、その理由を「日本語」に求めます。

 アジア、アフリカ諸国では、自然科学を学ぶ前に、英語やフランス語、ラテン語を学ばなければなりません。それは、母国語に該当する単語がないからです。

 質量、運動量、角運動量、電荷、磁束、原子、分子、電子、微分、積分と例示し、日本人は当たり前に使っており、母国語で自然科学を学べる環境が、ノーベル賞を生み出した素地になったと主張します。

 そして英語教育とタブレットに戻ります。果たして、そこに注力すべきか。「日本語」の学習は足りているのかという問題提起です。

 掘り下げると蛇足になるのでやめておきますが、「自由」や「野球」も同じ。一点苦言を呈するなら、カタカナ語の反乱にまで踏み込んで・・・って言語学者ではなく、お医者さんでした。

 もうひとつが谷岡一郎の

“カジノ反対「厚労省調査」の嘘”

 をひと言で表す言葉を、同誌連載 日下公人氏の原稿に見つけたので引用します。

「統計は嘘をつかないが、嘘をつく人は統計を使う」

 ユダヤ人学者の言葉として紹介された言葉は、厚労省が調査した

「日本人のギャンブル依存度」

 にそのまま当てはまります。

“ギャンブル依存疑い536万人”
“成人男性の1割弱”

と、紹介する紙面が「朝日新聞」であるところに、WiLLの意地悪を見つけるのですが、「ギャンブル学」を牽引する谷岡博士は、いくつもの問題点を指摘します。

 詳しくはお読みいただくとして、一番の欺瞞は

“時期が特定されていない”

 こと。統計にすら値しません。先の依存の根拠となった数字は、こうした設問から生み出されているのです。

“今までに、あなたは次のタイプのギャンブルのうち、どれをしたことがありますか”

 つまり、生まれてから今までの人生を通算しての回答で、仮に過去にギャンブル依存症だったとして、いまは克服して博打から足を洗った人でも「カウント」されるのです。

 その他にも実数「1」を「2.7%」と発表するなど、統計学以前の「データ」を厚労省が発表しているのです。そして一部マスコミは無批判にこれを引用し、昨夜もTBS「ニュース23」で、カジノ関連法案の進捗を伝える際に使われていました。

 それともうひとつ。
 『ガレキとラジオ』を巡る、朝日新聞の顛末も必読。

■WiLL 2014年12月号 朝日の「反転攻勢」にもう一撃!
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