第四十八回衆議院選挙も終盤戦にさしかかり、自民党圧勝が各所で報じられますが、そこに「意図」を感じずにはいられません。今回は選挙報道と、その意図についてざっくりとながら、「知ったかぶり」できること請け合いのお話しを、それぞれ1分で伝わるようにまとめてみます。
まず、議席予測について。
マスコミ各社の世論調査で大差がついた場合、有権者が勝ち馬に乗ろうとする「バンドワゴン効果」と、反対の投票行動をとる「アンダードッグ効果」の2つがあるとされています。
地滑り的大勝と報じられるのが前者で、善戦や意外な結果が後者ですが、どちらも結果がでてからの後講釈に過ぎません。だから、どちらとも言えるというのが事実です。
そもそも集計も「電話調査」をベースとしますので、固定電話を持たない世帯の声は反映されず、さらに現地取材と選挙プランナーなどの「さじ加減」が加わるので、盤石な後援会を持つ、いわゆる「選挙に強い政治家」ぐらいしか当たらないというのが本当のところです。
有り体に言えば競馬の「勝ち馬予想」と同程度の未来予測に過ぎません。
1分解説はひとまずここまで。ここからはマスコミの「目論見」について。
そもそも、そんな丁半博打の結果を占うような怪しげな情報を、どうして報道するのか。「政治的目論見」を指摘する識者は少なくありません。とりわけ「反政府」「アンチ自民」メディアはその傾向が強いと見られています。
実例を見てみましょう。2017年10月15日放送のTBS「サンデーモーニング」を批判する産経新聞の記事を引用します。
《出演した東京大学名誉教授の姜尚中氏は「見所は選挙の中で野党のビッグバンが起きるかどうか。選挙後にどこが主導権を握るのか。投票先を決めてない54・4%の人は選挙に行かなければいけない。そして次回に何をするか賭けてみることが必要」とコメント。
同番組に出演した評論家の大宅映子さんも「民進党が小池百合子に合流したことで野党結集し日本の分岐点になると思ったが尻つぼみした。投票先を決めてない54・4%に期待してる。貧しい選択であろうと行かないと白紙委任になってしまうわけですから。是非とも行ってください」と発言した。
http://www.sankei.com/politics/news/171015/plt1710150026-n1.html》
野党に期待していることは明らかです。そして望む結果になるように、「バンドワゴン効果」と「アンダードッグ効果」を使い分け誘導するのがいつもの手口です。もう少し後に、その「状況証拠」を示します。
「サンデーモーニング」の日頃の放送からみれば「自民党に票を入れるな」という主旨であり、放送法から完全に逸脱していることは明らかではありますが、政治的公平性を求める「放送法」に抵触するかは微妙。姜尚中氏や大宅映子氏の「私見」ならば、表現の自由や思想良心の自由の範疇だからです。
放送法は多様な意見がある場合は、できるだけ多様な意見を紹介するように求めていますが、具体的な「○○党」とあげていないからセーフという論理建ても不可能ではありません。さらに放送法に罰則はなく、裁かれたとしても「反省シテマース」と頭のひとつも下げれば済むだけの話。いや「放送への政治介入」だと騒ぐほうが先でしょう。いずれにせよ、いつもの手口です。
今回の選挙で朝日新聞や毎日新聞が、自民党圧勝を繰り返し報じる目的は「アンダードッグ効果」です。具体的には2つの目論見が考えられます。「自民党の油断を誘う」と「反自民層の掘り起こし」です。
油断はそのままですが、反自民票を集める常套句がこれ「国民の一票が政治を決める」「決めるのは有権者」。
これだけならば真っ当な惹句ですが、前段に「安倍一強政治でよいのか」や「モリカケの説明も不十分である」と政権批判をいれることで「批判」へと読者を誘導する、つまりは誘導尋問のようなもので、朝日や毎日が政権批判を目的として「世論調査」で使っている手口です。
さらにはこんな常套句としてあります。
「いずれにせよ投票率が鍵となる」
自民党や公明党などは「組織票」を背景しているので投票率が下がれば、自公政権が有利となり、反対に高まればその他の野党が勝つ・・・とは、金慶珠(東海大学教養学部国際学科専任)教授のTBS「ゴゴスマ」での指摘。どうして韓国人に日本の選挙についてコメントを求めるのかはわかりませんが、一般論としてこれが言われています。
組織票でいえば共産党や「連合」の支援をうけていた民進党もあるのですが、なぜかこれに触れるマスコミはありません。
民主党による政権交代のときの投票率が高かったことから「夢よふたたび」なのかもしれません。でも、そもそも政党支持率の低い野党どもが、投票率が高まったからと勝てると思うのがオカルトなんですがね。
そしてこの「アンチ組織票」的な言説は永年繰り返されて来ましたが、ここにきてややおかしな現象がテレビ界隈で起きています。はい、ここからまた1分で解説します。
低投票率の改善に繰り返し呼びかけられてきたのが「期日前投票」です。投票日前でも所定の場所で投票できる制度で、以前は「やむを得ない理由」の提示が求められ、旅行に行く、日曜日に投票所に行くのは面倒、といった理由での投票は推奨されていませんでしたが、いまは特に問われることもなく投票できます。
投票率が高まれば、自民党に不利な結果になるという目論見から、マスコミは先週まで、期日前投票を繰り返し呼びかけていました。いま、ピタリとこれが止みます。
偶然かも知れません。邪推と信じたいところです。しかし、状況証拠からの推測はこうなります。
「投票日前日まで自民党の失言、スキャンダル待ち」
実際、テレビに登場する伊藤惇夫氏のようなアンチ安倍政権を隠しもしない、政治ジャーナリスト・評論家は、自民党大勝の世論調査を紹介しながら「まだわからない」と断りをいれ、これらの理由を述べています。そしてちょっと前まで呼びかけていた「期日前投票」について積極的に紹介しなくなります。
解説はここまでですが、アンチ自民は宗教のようで怨念すら感じます。完全とはいかないまでも現実の世界で政治に取り組んでいることかが自民一強の理由で、多弱の野党の原因は、こうした怨念とかオカルトに誘導するマスコミにあります。
すべてのワイドショーを録画していないので、見ただけの記憶ながら、先週までは「期日前投票」が繰り返し呼びかけられていました。それをみて書きためていた下書きのタイトルはこうです。
「期日前投票は間違い」
選挙期間とは政党や候補者が、政治的主張や信念を有権者に訴えかける期間で、多忙ならばともかく、余裕があるなら吟味の上で投票するのが健全な民主主義だからです。
それをとにかく選挙に、投票にと呼びかけるテレビメディアには違和感しかありませんでした。当時のマスコミの目論見は「自民苦戦」というもの。もっといえば、北朝鮮が暴発するなり、軍事行動にでれば、安倍政権に有利になることを怖れるかのように、早めの投票を呼びかけているかのようでした。
ところが世論調査で「自公圧勝」が明らかになると、記事前投票を呼びかけなくなります。失言、スキャンダル待ちです。そうでないなら「候補者の声を最後まで聞いて、そして投票先を決めてください」とするのが正しい啓発。
それを証明するかのように、こんな事例がすでに発生しています。
【衆院選】9条改悪反対!! 民進出身の希望公認候補が露骨に反旗 改憲の「踏み絵」を踏んだはずなのに続々と… – 産経ニュース https://t.co/aLglCvyekx いまさら驚かないけど、人間としておかしいだろ。
— 宮脇睦@月刊正論11月号9月30日発売 (@miyawakiatsushi) 2017年10月17日
マスコミに煽られて期日前投票で「希望の党」の「リベラル(左翼・反政府活動家が正しい)排除」に共感して票を投じた人がいたら、より政治不信を深めることでしょう。
状況証拠からの推論に過ぎませんが、日本の政治をおかしくしているのはマスコミ。この証拠がまたひとつ見つかりました。