1分でわかる、希望の党が掲げる内部留保への課税が不可能な理由

1分でわかる、希望の党が掲げる内部留保への課税が不可能な理由


 衆院選の台風の目となった希望の党。正式な公約は近々発表とのことですが、漏れ伝わる「原案」を見る限り、耳あたりのよい政策をならべはしても実現性に乏しいものばかりです。

 その中から「約300兆円もある大企業の内部留保への課税」が実現困難である理由を、だいたい1分でわかるように説明します。

 内部留保とは、給料や家賃、材料費などのすべての経費と税金を支払い、株主への配当をした後に残るお金。俗に企業の貯金といわれています。これが国内企業で300兆円あり、それに課税しようというのが希望の党の政策原案です。

 まず、企業はどうしてお金を貯め込んでいるのか。企業が内部留保を貯めはじめたきっかけは、銀行による貸し渋りと貸しはがしです。貸し渋りは文字通り銀行がお金を貸してくれず、ちゃんと返済していた借金でも、さまざまな理由をつけて即時の全額返済を求めるのが貸しはがしです。これをやられては経営もへったくれもありません。

 つまり、銀行からの資金調達に不安を覚えた企業が、コツコツとお金を積み立てていった結晶が内部留保です。赤字に転落し、銀行が金を貸してくれなくても、内部留保があれば持ちこたえることができますが、これがなければ給料を支払うことができず、すぐに倒産してしまいます。

 そもそも、すでに「税金」をおさめた後の課税は「二重課税」です。自民党政権でも何度も議論の俎上にのぼっていますが、実現できていないのは論理と倫理の面から無理があるからです。はい、ここまでで1分ぐらいでしょうか。

 そこに金があるから税を課す。まるで中世の専制国家の発想です。もっともトップダウンですべてが決まる「小池新党」なら可能と考えるのかもしれませんが。

 玉川徹テレビ朝日社員は「モーニングショー」のなかで「フローからストックへの課税は世界の潮流」と紹介しますが、これも雑な話です。彼の論旨は、資産に課税することで、貯めておくより使った方が良いと思う人が増えれば、お金が市中に出回り景気が良くなるというもの。これについての課題を、またまた1分で説明します。

 所得に課税され、消費に課税され、そして貯蓄に課税された国民は、刹那的にお金を使うか、せっせと脱税に励むことでしょう。実際、消費税率が10%を越えた国の国民は脱税に尽力するといわれています。脱税の費用対効果が高まるからです。ちなみに「脱税天国」と呼ばれるギリシャの消費税率は概ね20%です。

 また、貯蓄に課税されるなら「株式投資」に避難する国民も増えることでしょう。「貯蓄から投資へ」とは、小泉政権のころからのスローガンで、これの実現のための「資産課税」なら効果が期待できるでしょうが、投資に廻され消費に廻されなければ同じことです。投資はギャンブルの側面があり、これへの国民のアレルギーも見逃せません。

 なにより個人の場合「タンス貯金」に廻されれば同じことです。企業ならば決算書で、財務状況は丸裸にされますが、個人がせっせと貯め込めば、市中にお金がまわることはありません。特に海外の事例が、日本国内で当てはまらないのは「現金」を好む国民性と、それを裏打ちする紙幣や通貨への信頼が厚いここと、さらには類を見ないほど治安が保たれている国だからです。

 インドは国策のためとはいえ、突如高額紙幣を廃止しました。また、世界中に偽札は溢れており、スリや恐喝といった街角の小悪党の需要がもっとも高いのは現金です。このどれも日本には当てはまりません。さらに次に指摘する理由も加えると、我が国は「タンス預金」に適しており、フローからストックなる海外の話はそのまま当てはまらないのです。

 最後に内部留保が積み上がっている最大の理由をこれまた一分ほどで説明します。

 少々雑な区分になりますが、銀行による貸し渋り、貸しはがしが強化された時期は「デフレ」と重なります。必要なときにお金が借りられず、会社が潰れるぐらいなら、社員にも協力してもらい少しずつ我慢して、お金を貯めよう(=内部留保)となったのです。

 お金がなければ物の価格が下がります。生鮮食品は腐るので、捨てるぐらいなら安売りをします。これが様々な局面で起こり「デフレ」となりました。デフレでは何もしなくても預貯金が、実質増えている状態となります。内部留保やタンス貯金が増える理由です。

 対して、昭和時代を過ごした人なら、コカ・コーラ、漫画雑誌、バスや電車の運賃が、毎年のように上がっていったことを記憶しているでしょう。これは「インフレ」によります。100円で買えるものが毎年減っていく、つまり貯金が目減りしていくのです。だから減る前に、商品やサービス、土地や株式に投資する人が増えます。

 つまり、「アベノミクス」が掲げるインフレターゲットが実現できれば、内部留保は自然と減っていくものなのです。アベノミクスがすべて成功しているとはいいませんが、通貨供給量を増やす方向性は間違ってはいません。

 さまざまな政策が議論されることは国民の利益に適います。しかし、希望の党の政策を見ていると「安倍の否定」を目的とするからか、論理矛盾が各所に確認できます。これでは民進党の二の舞です。

 なお、内部留保は「株主」のものです。株主とは企業のオーナーで、競馬の「一口馬主」のようなもの。仮に「希望の党」の原案が政策となり、彼女らが政権を奪取したなら、日経平均株価は大暴落することでしょう。それにしても不思議なのは希望の党代表 小池百合子氏は都知事として、東京改革の一環として海外からの投資を呼び込む「金融特区」構想を掲げていますが、すべての支払いを済ませた後の「純益(を積み立てたのが内部留保)」にまで課税される国に会社を作ろうとする奇特な企業などありません。

 この人、発言が矛盾だらけなんですよね。ネットで噂の「サイコパス」説もあながち遠くありません。「サイコパス」は猟奇殺人犯だけではなく、ざっくりといえば「自分だけことしか考えられない人」で、欲望に忠実であるがゆえに「自由」なので、むしろ周囲の人にとって魅力的だったりします。

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