リーマンショックの訪れを待つのか

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 本日、正式発表される予定の「増税再延期」。ご存知、消費税を8%から10%へ上げようとする愚策の回避です。ただし、財務省の勝利とする見立てもあります。

 この春先からにわかに主流派となりかけていた、

「いっそ5%に減税」

 という、財務省にとっての最悪の事態を回避できたからです。

 いくら財務省とはいえ、8%への増税以降の景気低迷に弁解の余地なく、まさかバカ野党レベルの「アベノミクスの失敗」と叫ぶわけにもいきません。

 執拗に本稿で繰り返したことですが、消費増税は景気を冷やすことは経済学の常識で、なにより日本の歴史が証明します。消費増税で景気が冷え込まなかったのは、それを導入した平成元年だけで、バブル景気という未曾有の好景気(見かけ上ですが)が打ち消しました。

 これも歴史の教訓。経済成長、好景気が見込める状況になれば、増税が射程圏にはいるということです。だから、増税を盲目的に反対しているのではありません。まず、景気回復と経済成長の道筋をつけるべきだということです。

 反対に「財政規律」や「財政再建」を掲げ、これを原理主義的にどうしてもやるというのなら、方法は簡単。日本国が持つ保有資産をすべて売り払い、同時に支出も収入の枠内で編成すればよいだけのこと。

 激痛どころの騒ぎではなくなりますが、それが財政規律や財政再建で、入りを量りて出を制すです。同時に国民にも応分の負担を強います。イギリス病を克服した鉄の女 サッチャーにしても、それを真似たメルケルドイツ首相にしても、高齢者に医療負担をさせ、社会保険の仕組みに「我慢」を導入しました。

 我慢とは日本のように、いつでも医療機関を、保険を使って利用できなくさせ、診療は事前予約制で、風邪をひいて申し込めば、治った頃に順番が来ると揶揄されるほどです。

 財政規律を守るとは、ひとつの方法ではありますが、こうした覚悟も求められるということです。60歳以上は医療費自己負担とかね。

 経済成長路線も税制規律も、方法論で適時使い分けるべきですが、バブル崩壊、そして消費税の3%から5%への増税以降の失われた二十数年で、景気の腰を折ってきたのは財政規律派であることは明白で、ならば通常の学習能力を下敷きにすれば、経済成長に重点を置く、という発想が財務省と、その支配下にある政治屋とマスコミにはありません。

 5%から8%の増税時、日本経済を旅客機に例えるなら、ようやく滑走路にはいり、メインエンジンを噴射し加速し始めた状態でした。

 暗黒の民主党政権時代の、負の遺産「三党合意」というマニュアルなど無視すべきだったのに、なまじの「筋論」に従ったアベッち、もとい安倍首相の甘さというか、財務省の戦略勝ちというか、いずれによせ、テイクオフ目前で増税の逆噴射レバー引いてしまい失速。

 大惨事にならなかっただけラッキーといったところ。アベノミクスの推進力が強かったので、ソフトランディングできたとも言えます。

 アベノミクスを礼賛しませんし、成功したともいいませんが、しかし、財務省の増税路線がすべての元凶であることだけはハッキリしているということです。

 はてさて、バカ野党、具体的には民進党と、金魚のフンども。ここに日本共産党は加えません。ここ半年ばかり、日本共産党への造詣が深まり、その結論を述べれば、日本共産党は日本解体を目指す革命政党であり、そもそも論で日本の国益を損ねる立場にあるからです。

 レーニンによる革命的祖国敗北主義(敗戦革命論)がこれで、要するに他国に自国を破壊させてでも現体制を崩壊させ、その後釜に座ろうとする戦術です。国民が死んでも、革命のためならすべてが正当化されると考えるのが共産主義者で、いま中国や北朝鮮が体現していることです。

 こんな家訓をもつ日本共産党です。反日、侮日、中共連携、日本打倒を願う南北どちらともの朝鮮勢力と連携するのは、当然すぎるということ。だからとても危険ですが、そもそも凶悪犯と認識すれば、対処も可能ではあります。

 で、バカ野党。そして反安倍のマスコミども。

 反安倍を否定しませんが、その為ならば論理破綻する姿は、我田引水を越えた、虚言癖と呼ばれる精神疾患のレベルです。よってバカでども。

 具体例を引きます。

 2014年12月の解散総選挙は「増税延期」を掲げての選挙でした。同時に、自民党の党是で、積極的な安倍晋三が総裁となり、民主党政権を打倒したのなら、「改憲」の議論が始まるのは自明ながら、これを封じるために「拙速」と「独裁」と、野党どもとマスコミどもがレッテルを貼り攻撃。

 また、安倍政権が誕生した翌2013年、安倍首相が靖国神社に参拝すると、火病(ふぁびょ=精神錯乱状態)のように批判のつぶてを投げたのは朝日新聞をはじめとするパヨクどもです。ただし、この批判もまた言論の自由として許容します。理解も同意もしませんが。

 安保法制の議論、前段となる特定秘密保護法もありました。

 こうした経緯を踏まえて、安倍晋三自民党総裁で挑んだ2014年解散には、これらへの国民の同意、合意が含まれると考えるのが論理的解釈です。

 そしてそれに勝ちました。

 SEALDsなる若者パフォーマンス集団の代表、奥田愛基氏が、安保法制を巡る国会審議が佳境を迎えるなか、フジテレビのバラエティ番組「みんなのニュース」で、田崎史郎氏に「フルボッコ」にされたのは、さすがの左寄りの氏であっても、勉強不足は腹に据えかねたのでしょう。あるいは、かつて学生運動に身を寄せた、不勉強な過去の自分への苛つきを見たのかも知れません。

 ちなみにフルボッコとは事実の指摘により沈黙させること。これからも政治畑で活躍を望み、なにより大学院に進学する研究者という奥田愛基なのでここに記録しておきます。

■あんまり見てくれる人がいないバラエティ番組「みんなのニュース」2015年9月9日放送分より

奥田愛基「本当に前回の選挙の時に、基本的自衛権や集団的自衛権だけじゃない、今回の11法案、全ての内容に関して争点になっていましたか?そんなこと皆さん、テレビでも取り上げていましたか?
選挙の時?」

田崎史郎「そりゃ、相当取り上げていましたよ。」

奥田愛基「そうでしたかね?」

田崎史郎「日本記者クラブでの討論会でもやってたし。党首討論会でも。」

奥田愛基「………」

 小僧、もとい若造、いや若者だけではありません。BBAもといNBAではなく、妙齢女性の萩原博子氏も、2014年の増税延期について朝日新聞が紹介したご託宣はこちら。

〈経済ジャーナリストの荻原博子さんは「解散は必要ない」と言い切る。消費増税法には、景気が想定以上に悪くなれば増税の先送りやとりやめができる「景気条項」があるからだ。「法律に基づいて増税を先送りすれば良いのに」〉

 残念ながら朝日新聞の原版は、ネット上から削除されておりましたが、あの「ジャーナリスト」の岩上安見氏が主催するIIJで引用されていたので間違いないでしょう。

 なお、本コピペは経済学者 高橋洋一氏が、これまた反安倍の急先鋒「現代ビジネス」に寄せたコラム。

 景気条項はありましたが、当時は景気回復の端緒についたばかりで、明確な指数はなく、仮にこのとき「悪い指標」をだしたなら、アベノミクスは失敗として総辞職か、予定通りだからと増税するかの二者択一。

 総裁選に石破茂が名乗りをあげるなど、自民党においても安倍晋三の足場は盤石とまでは言えなかったのは、第一次政権の丸投げの記憶と、民主党による悪夢の政権交代がトラウマになっていたからでしょう。小泉進二郎総裁論までありました。

 マスコミも今以上に居丈高に、論拠不明に「安倍晋三」の個人攻撃を繰り返していたものです。なお、マスコミが自粛しているとかパヨクやバカがいいますが、安倍氏への執拗な個人攻撃が国民の支持を得ていないことは、各種世論調査、選挙結果からも明らかで、批判を名乗った誹謗中傷だと世間にバレ、だから控えていることが
その理由で、それをなにかといえば「健全」と呼ぶのです。

 誹謗中傷と批判を混同して許されるのは、室井佑月レベルの電波芸人ぐらいです。

 2014年当時、安倍首相は、総辞職と増税以外の第三の道、解散総選挙を選ぶしかなかったのです。そして、当時も今もバカ野党とマスコミどもは、これに頬被り。狡いんだよね。

 2014年の同じ記事から朝日の批判を紹介します。

「問われる、費用700億円 解散理由に賛否」

 解散総選挙をすると700億円かかるので、「無駄遣い」という切り口で、庶民を味方に付けようという姑息な手口。

 そして2016年の昨日の朝日新聞の社説はこう打ち出します。

「消費増税の再延期 首相はまたも逃げるのか」

 増税大好きな朝日新聞。首相という仕事を、自分の体裁のために利用したのは菅直人というクズでしたが、安倍首相に体裁のための増税強硬を叫ぶとは気が触れています。

 それとも再増税に併せて導入予定だった軽減税率により、離れていった読者が戻ってくると、因果関係のない妄想を信じているとすれば、いまだに慰安婦捏造、もとい誤報の教訓が活かされていないのでしょう。
 
 なにより、このまま解散総選挙をせずに、増税を延期したならば、2年前の700億円の選挙費用に疑問を呈した朝日新聞を参考にしたと、朝日新聞は誇るべきです(笑、ゲラゲラ)。

 国庫を家計簿でしか勘定できない荻原博子氏にしても、景気条項とは法律ですが、法律は書き換えれば済むだけのこと。だから、今回はそれをしようという訳です。

 議論が混濁する理由です。

 前回の増税延期では解散総選挙に大義がないと叫び、今回、解散しないので何もいえねぇ。

 G7を利用した増税延期だという主張を散見しますが、その論もまた「G7の足並みは揃っていない」というもので、結局、G7を利用しての反論ですから、どっちもどっち。ならば、景気減速・減退への危機感滲み行動している安倍政権に理があると考えます。政治屋の仕事は批判のための批判ではありません。国民のための批判でなければなりません。

 反安倍、反アベノミクス陣営がこぞって取りあげるのはフランスの皮肉屋(新聞)「ルモンド」がつけた見だしばかり。公式に聞こえてきたのは、首脳の一人が表現に注文をつけただけ。

 ブルームバーグによれば「時宜を得て適切な政策対応を取らなければ、世界経済が通常の景気サイクルを逸脱して、危機に陥るリスクがあることを認識している」という文言が盛り込まれいました。

 増税延期も政策対応のひとつです。

 なにより、G7において日本の消費増税は語られていないとは、各報道に共通すること。当たり前です。内政ですから。

 そしてぶっちゃけていえば、年初からの株安は、実のところG7諸国ではほぼ、昨年来水準にキャッチアップしており、日本株だけ出遅れています。

 だからこそ、日本固有で打てる経済対策は不可欠ですし、前回の増税延期時に

「国債の信任がなくなり、円、株、債権のトリプル安で日本崩壊」

 と喧伝されましたが、増税延期が確定してからの1年間の株価はうなぎ登りでした。触れ回っていたオオカミ少年らは、なにひとつ責任を取っていません。

 2014年の増税延期時の安倍首相の唯一の失敗は、再びの増税延期はしないと宣言したこと。

 これで手足を縛られたのです。ヘッジファンドはやりたい放題。今年に入ってからの暴落局面は、中国の春節と日本の連休前。つまり東京市場の参加者が少なく、財政や政策の出動ができにくいときを狙い撃ちされました。

 いずれ増税して景気が悪くなるのですから、上がった株に売り注文を出しておけば、早い遅いの違いがあるだけで、必ず儲かる博打だからです。

 しかし、増税再延期についても、絶対にしないとは言っていません。リーマンショック級、東日本大震災と例示しており、いま、その状況は起きました。

 リーマンショックかどうかの認識は、たしかにG7各国の間でも意見が分かれました。しかし、リーマンショックは米国発のバブル崩壊で、当時、市場関係者の見たては、

「日本は関係がない」

 でした。

 枠組みとしては米国のサラ金が破綻しただけで、日本の金融機関は関係がないということでしたが、そのサラ金に金をツッコミ、濡れ手に粟でボロ儲けしていた金持ちどもが、傷ついた資産状況を手直しするために、保有していた株式や債券を売り飛ばしたので、世界大恐慌一歩手前になったのです。

 いまは状況が異なりますが、同じ状況を繰り返すほど、世界の銭ゲバはバカではなく、しかし近い状況であるのは、中国バブルと原油バブルのダブル崩壊によります。

 経験したことならば、考え得る最善を尽くすのがリーダーの仕事であることは当たり前以前の話しです。

 リーマンショック級ではないからという理屈は、リーマンショックと同じほどの金融ダメージがないかぎり、対策を打たないということで、換言すれば「座して死を待つ」です。イヤです。

 ちなみにリーマンショックは和製英語で、英語では

”the financial crisis”

 直訳すれば金融危機。リーマン・ブラザーズという会社に矮小化できない、米国の金融システムの構造問題だったのです。

 ちなみに民進党の玉木雄一郎氏は、G7関連の英文資料に

「リーマンショックというキーワードがない! 隠蔽工作か!」

 とTwitterで怪気炎を上げましたが、ネット民にフルボッコにされています。

 そこに加えて熊本地震。犠牲者の悲しみに大小はありませんが、規模だけみれば東日本大震災ほどではありません。

 しかし、民進党に出戻った熊本選出の松野頼久氏。衆参同日選挙が噂されていた国会で

「熊本は選挙をやっている場合じゃない。参院選挙は仕方がない同日選挙などしないでくれ」

 と安倍首相に懇願。

 つまり、民進党の見解としては、東日本大震災ほどではないが、同日選挙に耐えられないほどの被害がでている。

 中国バブル崩壊+原油バブル総崩れ+熊本地震

 の三暗刻ならば、リーマンショックに重ねても遜色はなく、なにより四暗刻の役萬となるまえに、手を打つべきでしょう。

 増税延期に難色を示す「市場関係者」の多くが、債券畑の専門家や、政府の、すなわち財務省の息のかかった人物で、叩き上げのカブ屋、楽天証券のマーケットアナリスト 山田勉氏は、今回の増税延期について

「当然すぎる話」

 と切って捨てます。

 この国をもっとも悪くしているのは、アベノミクスではありません。ハッキリ言えば欠陥品であるアベノミクスを延命させているのは、政権攻撃と個人攻撃を目的とする、批判のための批判による、論理破綻です。

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