小渕優子の収支報告から浮かび上がる第3の理由

 小渕優子経産大臣の政治団体の収支報告書が穴だらけでビックリ。今月末の決算締め切りに追われる我が身としては、論外レベルで、税務署がスキップしながらやってくるほどの杜撰さです。

 右と左が等しく揃う、複式簿記によるチェックレベルではなく、出入りを揃える家計簿レベル、もっといえば小学生の「お小遣い帳」でももっとマシな仕上がりになっていることでしょう。

 そして小渕優子氏が知らなかった・・・とは、本当でしょう。故小渕恵三元総理の地盤もスタッフもそのまま受け継ぎ、御輿に乗っているだけだからです。そんな人間が大臣になるなんて、と一般の方は思うでしょうが、叩き上げの国会議員が、地元対策から資金調達まで奔走する中、党の仕事と政治の仕事に専念できることから、一頭地を抜くことができるのです。

 世襲議員の出世が早いのは、親の七光りだけではなく、環境的優位をもっているからです。ただし、その優位にあぐらをかけば、転落も早いのは、選挙面においても、政治家として能力においても、他人の褌だからで、ふんどし担ぎが逃げ出せば、一巻の終わり。反対に這い上がってきたものは、個人の能力が磨かれているので「しぶとい」というのは、ペテン師 菅直人が政治屋にしがみついていることが雄弁と物語ります。

 さて、小渕優子。すでに大臣の辞任は固めていますが、ことによっては議員辞職の果てに公民権停止まで見えてきています。松島みどりといい、身体検査の不備とは、安倍政権の「奢り」であり、混迷の色濃い世界情勢の中、リーダーシップの弱体化は国益を損ね、拉致被害者の帰国が困難になるので心配です。

 野党の手柄ではなく、週刊新潮が温めてきたスクープ。それに近藤洋介(民主党)議員が便乗して追究。焦点は後援会のイベントとして行われた明治座での観劇を巡る費用です。2010年の収入は373万円で、「明治座」への支払いは1689万円。翌年もほぼ同額で、合わせた差額は2643万円。

「経費より低い会費しか集めていないのであれば、明らかに公職選挙法違反の疑いが極めて濃厚である」

 ・・・すべての報道もこのライン。今朝の読売新聞でも憲法学者のコメントを寄せており、要約すれば以下の2点の問題が考えられるとのこと。

1:後援者から観劇代金を受けとっていながら記載していなかった
2:後援者の観劇代金を一部負担していた

 1は「裏金」を疑うものですが、これだけなら収支報告書違反ですが訂正ですむ可能性も残され、連座制が適用されても議員辞職。2が「買収」に認定されれば議員辞職どころか、「公民権停止」でしばらく選挙にでることができなくなります。

 そして民主党がダメだなぁと溜息をつき、同時に、こいつらが政権の座に返り咲くことがないとホッとするのも、1と2以外にも、本件がおこった可能性があるということです。それを3として以下に記します。

3:観劇の参加者が少なく赤字だった

 つまり、小渕優子、あるいはその時の講演内容の不人気。週刊新潮によれば11年は「小林幸子」だそうです。

 常識的に「収支報告」を見るなら、収入より支出が多いと言うことは「赤字」です。有権者への利益供与とみるのは政治の世界ぐらいでしょう。もちろん、その線も疑われますが、元首相のころから群馬5区は小渕帝国であり、最低でもトリプルスコアレベルで圧勝しており「買収」する「経済合理性」がありません。

 もちろん、「大臣のクビをとる」ことも非建設的な野党の目的のひとつで、それを目指すのも民主党らしいのですが、それよりこう攻めることもできたことを彼らは気がついていません。

「小渕優子って実は人気がないんじゃない?」

 観劇の参加者が少なく赤字になった、すなわち支持者が少ない・・・と宣伝戦を展開できたということです。トリプルスコアの強さをもつ盤石名地盤とは言え、今回のトラブルで求心力低下は免れず、最悪「公民権停止」とまで追い込めれば、弱体化は確実です。そこに「無党派層」という宣伝戦に弱い連中に

「小渕優子が主催した観劇会、ガラガラだったらしいよ」

 と風説が流布されることによる「漁夫の利」は、民主党が政権奪取した選挙戦略だったはずなのに・・・ま、週刊新潮の手柄ですが。

 しかし、金の流れの不透明さはともかく、収支報告を「常識的」にみれば「赤字」であることを、誰一人指摘しないのは、政治が異常な世界であることはもちろん、報道の側もそれに毒され、多角的に事実を見る感性が失われているということなのでしょう。

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