算数ができれば消費増税論の杜撰さがわかるブログ

 大本営発表というと、いまや虚報の代名詞となっていますが、政府の・・・というより、官僚様のお導きをそのまま垂れ流しているいまのマスコミ報道も大差はありません。

 捏造まがいの「記事」などお手の物です。

 陰謀論を展開し、翻りネットの情報の正しさを喧伝するつもりはありません。ネットの情報は怪しさと不確かさに溢れており、これを鵜呑みにすることなどできません。

 それではマスコミは信頼できるか。これにはイエスと答えます。ただし読解力が必要です。

 どうやら既定路線となった「増税」について。

 日経新聞が2013年8月25日にこう見出しを打ちます。

“内閣支持68%、消費増税容認7割 本社世論調査 ”

 つまり国民の大半が消費増税に理解を示している・・・のでしょうか。内訳はこうです。

・予定通り引き上げるべきだ       17%
・引き上げるべきだが、
 時期や引き上げ幅は柔軟に考えるべきだ 55%
・引き上げるべきでない         24%

 上ふたつの合算値が7割です。しかし、これは橋下徹が特異とする論理をすり替えるための罠が仕掛けられた論法。

 「予定通り」は増税容認ですが、次の「引き上げるべきだが」は、再考を促しています。つまり増税自体は容認するが、来春の8%については反対と見ることもできます。

 現時点で増税に反対している有識者の大半も、将来的な税率アップは認めており、原理主義的に消費税と増税に反対しているのは日本共産党ぐらいでしょうか。

 日経の見出しは、時間軸を混同させることで「増税容認」の流れを作るための大本営発表=財務省のポチということです。

 つまり、誰を向いて(残念ながら読者ではありません)記事を書いているかに注目すれば、マスコミ報道は信頼できるということです。

 忠犬ぶりを発揮する日経新聞は昨日、なんと1面(連休明けで記事がないのでしょうが)のトップ記事としてこの見出し。

“景気「増税後も改善」4割”

 社長100人アンケートで、41.1%が良くなっていると回答したとありますが、まず、小ネタを潰しておきます。100人アンケートなのに小数点がでるのは、分母が146人だからです。

 善意に頼るアンケートの場合、回答が得られない企業もあることから、分母をあらかじめ多めに設定することはよくあることですが、ならばそもそも「100人」といれず、「社長アンケート」だけでもよいのですが、「100人」と限定することで、プレミアム感を演出するのは企業接待の色合いで、日経新聞の得意技です。

 で、統計学的に見れば、この146社の選定理由が見えてきません。というより、ここで社名は挙げませんが大企業経営者へのアンケートである点に注目しなければ、増税の問題点は見えてきません。

 そして大企業の社長とて、バカではありません(当たり前ですが)。

 このアンケートは、3ヶ月後(平成25年12月)、6ヶ月後(平成26年3月)、1年後(平成26年9月)について訊ねており、棒グラフで表した3ヶ月後には「悪化の兆しがでている」と「悪くなっている」は確認できません。

 ところが6ヶ月後には「悪化の兆し」が数パーセント表れ、1年後では、棒グラフからの面積比で「悪化」「悪化の兆し」の合計が、20%程になっています。

 こちらにも注目すべきでしょう。増税前の3ヶ月後、そして6ヶ月後には景気回復していると考える経営者は8割を越えているのです。増税後は半減です。つまり、増税後に景気回復は停滞するとみている経営者が多いのです。

 大本営発表だから仕方がないのですが、事実の一部を切り取り、最大化するのはマスコミのテクニックです。そして嘘を嫌う傾向があるので、事実は一応披瀝します。この記事で言えば、日経が熱心に取り上げていない箇所に注目することで、真実が見えてくるということです。財務省のポチですから仕方がありませんが、あまりに露骨なやり方です。

 増税に合わせて法人税減税が議論され、景気対策に5兆円を投じるとか投じないとか議論がありますが、税収が8兆円伸びると試算があり、差し引きでは3兆円で、プライマリーバランスの改善には役立たないのでは・・・という議論の前提がまずおかしい。

 財務省のホームページに“税制について考えてみよう”というコンテンツにはこんな一文があります。

“所得税、法人税の税収は景気動向に左右されやすい一方、消費税の税収は10兆円前後で推移しており、比較的安定しています。”

 生活に必要な全てにまで一律課税をする、日本の消費税において安定するのは当然と言えます。事実、財務省のグラフでみても、消費税が3%だった平成8年は6.1兆円だった消費税収は、5%に上がった直後の平成9年は9.3兆円ですが、翌10年に10.1兆円となり目論見は達成します。

 3%から5%とは1.66倍で、6.1兆円にこれを掛けると10.1兆円になります。

 それでは今回のタヌキの皮算用。5%から8%は1.6倍。同グラフの最新の数字は平成23年で10.2兆円。暗算できる数字ですが、こうなります。

10.2兆円×1.6=16.32兆円

 すると増収分はこう。

16.32兆円ー10.2兆円=6.12兆円

 ・・・どうして8兆円も伸びるのでしょうか。消費税が高くなると庶民は買い物を始めるのでしょうか? 日経新聞は算数もできないのかもしれません。それとも財務省が嘘をコンテンツとして発表しているのでしょうか。

 増税すると景気が減速するのは当たり前の話し、常識以前でこれが理解できないようではミジンコにも劣ります。景気回復や、そこから派生する所得の増加がなければ、可処分所得が減るからです。

 単純な話しにすれば、年収100万円でそれぞれの税率で購入できる本体価格は以下の通りです。

5% → 95.23万円
8% → 92.60万円
10%→ 90.91万円

 つまり使えるお金が減るということです。消費に連動する消費税が影響を受けないわけがありません。中長期でみれば、生活をしていく庶民は、消費税から逃れられることなく、税率を上げた分だけ搾取できるのは事実でしょう。

 しかし、机上の空論でも6兆円しか増えないはずが、8兆円で見積もっているのは財務省で、それをそのまま報じているのが日経新聞です。

 マクロ経済学もミクロ経済学もなく、算数のレベルの話しです。

 最近、もっともビックリしてガッカリしたのが、元日経新聞記者で、現在は産経新聞の編集委員を務める田村秀男氏が書いた

『日経新聞の真実 なぜ御用メディアと言われるのか』
http://www.as-mode.com/check.cgi?Code=4334037372

 にあったこの指摘。

“財務省の役人は経済学の専門家ではない。なぜなら、キングオブ省庁と呼ばれる財務省に入省するのは、キャリアオブキャリアである東大の法学部出身者(超訳。原文はもっと品があります)”

 そこで調べてみると、「財務専門官採用試験」を見つけます。職務についてこう説明があります。

“「財務専門官採用試験」は、平成24年度国家公務員採用試験に新設された採用試験です。
「財務専門官」は、財政、金融等のプロフェッショナルとして、財務局、財務省及び金融庁等で活躍します。”

 なるほど・・・とはなりません。ツッコミどころが満載の試験の内容はこんな感じ。

 基礎能力試験と専門試験があり、前者は「公務員として必要な基礎的な能力(知能及び知識)についての筆記試験」と説明があり、一般常識を問うと言ったところでしょうか。

 問題はつぎの「専門試験」。

■専門試験(多肢選択式)

必須問題

次の2科目(28題)

憲法・行政法、経済学・財政学・経済事情

選択問題

次の8科目(各6題)から2科目を選択し、計12題解答

民法・商法、統計学、政治学・社会学、会計学(簿記を含む。)、経営学、英語、情報数学、情報工学

■専門試験(記述式)

選択問題

次の5科目(各1題)のうち1科目選択

憲法、民法、経済学、財政学、会計学

 経済学や財政学、会計学を知らなくても合格する仕組みです。確認してよりがっかりです。彼らが日本の舵を取っているのです。

 ガッカリついでにもうひとつ。いまどき、どの企業でも採用活動にインターネットは不可欠ですが、ウェブ上の電子書籍まで作る企業は希です。理由は簡単。お金がかかりすぎるからです。

財務省採用案内2013
http://goo.gl/UJWnEM

 さらにこのページ、財務省本省採用情報のコンテンツでは巧妙に隠されています。
http://www.mof.go.jp/about_mof/recruit/mof/index.htm

 上記ページから「採用パンフレット」へ遷移(せんい)すると、各種パンフがPDFとして用意されているだけ。ところが、

「過去のパンフレット」

 の平成23年版をクリックすると、先の豪華な電子書籍が開かれます。まるで増税を強いる財務省が、批判を避けながらも豪華なコンテンツを作っていることを隠しているようです。あざといというか阿漕というか。これも他人に厳しく、己に甘い役人体質なのでしょう。

 増税を巡る報道に話を戻します。

 先の社長アンケートは大企業の経営者ばかりです。そして増税分の価格転嫁を拒否できる立場に彼らあります。だから、増税は自社に対してさしたる影響はないといえる・・・とは穿ちすぎでしょうか。しかし、利益減少、売上低下を理由に、下請けをいじめてきたのは彼らです。だから、今回の増税にあわせて、中小企業が増税分を転嫁できるかが政治課題にもなっているのです。

 いうなればいじめっ子だけを調査したいじめアンケートです。

 その中小企業も含めて調査したのが、読売新聞の2013年9月17日の記事。帝国データバンクと共同調査で、電気料金が上がり、価格に転嫁したかと問うもので、「まったく転嫁しない」「ほとんど転嫁しない」を合わせた合計が大企業で69.2%、中小企業では80.4%です。こんな意見もありました。

「お客様に転嫁はできない。代わりに従業員の給料を減らす」

 現代社会において、電気料金は必ず徴収されることから、税金と同じ性格を持ちます。その料金を転嫁できないのが現状です。そこに税金も上がります。いや、電気料金の値上げもこれからが本番かも知れません。

 庶民は皮膚感覚で理解しています。景気が悪くなることを。給料が上がらずに、税金が上がるのですから。

 安倍首相も給料アップを経済界に要請していますが、企業もバカではありません。一時金はともかく、増税で消費が冷え込むなかでベースアップは不可能です。ましてや、8%の次は10%と、さらなる消費の冷え込みが予想されれば、内部留保を増やすのは経営者として自然な防衛行動だからです。

 それを今朝の日経新聞が報じます。日本リサーチ総合研究所の調査で、今後1年間の暮らし向きを訊ねたところ、「悪くなる」との回答が33.6%と、6月の前回調査と比べて5.3%上がっているのです。

 ちなみに日経の見出しはこう。

“消費者心理改善が一服”

 改善していたのが一服。でも正しくはこうでしょう。

“消費者心理が悪化”

 さらに日経新聞が音頭を取るように、景気が回復するはずなのに、国債の販売が好調です。景気が回復すれば、株価も連れ高となります。すると国債のような利回りの低い金融商品を引き上げ、上昇する株式市場に資金は移動するもの。つまり、金融関係者も「悪化」を予想しているということです。
 
 報道は嘘ばかり・・・ではありません。事実の一部を恣意的に引用し、拡大解釈することが多いだけです。特に日経新聞の露骨さは勉強になります。

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“算数ができれば消費増税論の杜撰さがわかるブログ” への2件の返信

  1. 歯並び悪い低学歴は笑うな不気味

    大企業に入れない奴隷階級は介護でもしてろ

    在日ですか?

    1. 立川からの投稿がご苦労様です。在日日本人です。歯並びや学歴はともかく、もう少し日本語を勉強されてから投稿してください。

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