先週、指摘そびれたことを蔵出し。
「マイナンバー」
税と社会保障のなんちゃらとか、増税議論に重ねて、簡単に言えば
「国民総背番号制」
で、同根にある住民基本台帳ネットワークの導入に猛反対していた
のはご存じ民主党です。
これに関しては2009年のマニフェストに盛り込んでおり、
それを掲げて選挙戦に勝ったのですから国民の信を得ています。
しかし、わたしは「いま、それか」という思いを消せません。
いまはこうでしょう。
「ソーシャルナンバー」
マイナンバーって、マイラインかまびすしいの時代じゃないの
ですから。同じ話を弊社の専務にすると
「そっちか!」
とつっこみが。復興が疎かになっているなかで、難しい案件に
取り組むことを非難するかと思っていたようです。もちろん、
それに関してはどこから取り上げて良いか悩むほどですが、
言葉のチョイスひとつから、野田ドジョウ内閣の時代を読み取る
センスのなさを見つけることができるという一例です。
さて、政府が取り組まなければならないことの真っ先にあげら
れるのが復興ですが、同列に並べても良いのが「電力問題」です。
果たして今夏、電力は足りるのか否か、原発はどうするのか、
ここに政府は明確な答えを出さないまま、ずるずると先送りし
間もなく日本中の原子力発電が止まります。
原子力発電所は13ヶ月ごとに定期検査にはいるので、震災
直前に検査を終了した原発も翌年、つまり今年の4月には日本
中全ての原発が止まる計算になると、10ヶ月前にすでに指摘
しています。
すでに関西電力管内の原発はすべて停止しました。
わたしは何度も繰り返すように「脱原発派」です。
しかし、いまこう名乗りたくないのは、この言葉を名乗る
人たちと同列に見られたくないからです。それは「脱原発」
を声高に叫ぶ人とスタンスが違うからです。
まず、原発なしで電力が足りる、足りないという議論があり
ます。これもペテン師 菅の時代にすでに指摘していることで
すが、当時も今も東電の説明を鵜呑みにするほどウブではあり
ませんし、議事録すら残さない政府に対しても以下同文です。
だから論拠、根拠となるものがないなかで議論を繰り返す
ぐらいなら、わたしはこれを提案します。
「逆ヤシマ作戦」
震災直後、電力不足が懸念された東北地方に電力を融通する
と同時に、大規模停電を回避するため、アニメ「ヱヴァンゲリヲン」
に登場する「ヤシマ作戦」というエピソードにひっかけて節電
を呼びかけるムーブメントが、電気を使うネット上で行われた
のは皮肉な話しですが、それはさておき、節電の逆。一斉使用
でどれだけ供給が逼迫するかを政府主導でシミュレーションする
のです。
例えばもっとも大規模停電がおきても影響が少ないであろう
日曜日の午前中などに、各企業、医療機関、官公庁、電車各社
各家庭で一斉に電気を使ってみるのです。半導体の製造工場など、
本当に停電が起こっては困る業種の場合もありますが、こうい
った工場では「推計値」がでるので、それを用いて、
「本当の最大電気使用量」
を計測するというものです。
それこそ民主党政権の大好きな「社会実験」で、安定した
社会サービスの提供を義務づけられた旧政権にはできない
政権交代が実現したからの醍醐味ではないでしょうか。
その上で、原発を停止できるのか否かを議論しなければ、
どちらの立場に立つにせよ、会議は理想論やあるべき論に
支配されてしまうのです。
なにせ時間がありません。
震災から11ヶ月を空費したのは菅直人と不愉快な民主党
であることは、明白で、この期に及んでも「自民党は協力し
ない」というのは論外。
コレに関しては大切なことなので繰り返します。自民党が
仮に反対ばかりして復興を妨げ、原発問題を難しくしていた
のなら
「非常事態宣言」
というカードを切れば、野党如きは蹴散らすことができた
のです。もちろん、権限に応じた責任は背負うことになります
が政治屋の口癖である「命がけ」なら、是非もないでしょう。
空費したのは民主党の無能。いまの総理もそのメンバーで
過去にとらわれているだけでは何でも「旧政権時代」を引き合い
にだして免罪符にしようとする民主党と同じなので、これから
に目を向けますが、すべての原発を停止して大規模停電がおこる
か否かの検証が必要で、あるいは国民に対して大規模停電が
起こって良いかどうか、または「計画停電」も甘受するどうか
を問う・・・のは選挙しか手段がないので、選挙を回避するなら
政治が決断しなければならないのです。
で、話を戻しますが、議論の前提となるデータを集めるため
の
「逆ヤシマ作戦」
ということで、これは珍しく民主党政権にだした助け船です。
私見を述べれば電力各社はまだデータを隠していると見て
います。政府・・・というか官僚ももちろんですが、政治主導
でしか動かせない事態に陥っており、政治屋、もとい政治家が
一時的な社会混乱をも覚悟したときに、法と規制に守れた
お公家様のような官僚と電力各社はようやく本当のことを
語り出すのではないかと。
そして原発について述べれば、なにが何でも原発を今すぐ
停止し、廃炉にしろとはいいません。先の検証の結果、電力の
安定供給が損なわれれば、復興どころか、日本の国力が削がれ
単純な話し、日本人が超貧乏に陥るリスクがあるからです。
こんなときまで金か。金です。すべての文明の利器を捨て
自給自足を求めるのなら議論は異なりますが、スマホを使い
電車に乗り、エアコンを使う生活を維持したいのならお金の
議論は避けて通れず、わたしが今風の「脱原発派」にみられ
たくない理由です。
子供のいる大人に尋ねると殆どが
「原発はいらない」
と答えます。親の心情からはその通りです。
しかし、とわたしは語ります。
停止し、廃炉にしたとして、忽然と原発が、いや正しくは
放射能や放射性物質が日本の国土から消え去るわけではない
のです。
研究により異なりますが、廃炉にしてから更地に戻すまで
30年とも50年とも言われ、費用も30兆とも40兆とも
言われています。
それだけではありません。残った「核のゴミ」が無害化す
るには1万年とも3万年ともいわれており、フィンランドは
このゴミの処理を10万年のスパンで取り組んでいます。
これにも費用がかかります。また、とりあえず停止して
廃炉の方向で放置したとしても、地震や津波の被害はもち
ろん、それに加えて放射性物質を狙う「テロリスト」からの
警護も今後重要な課題となってくるでしょう。
そのとき、東電かどうかはわかりませんが、営利団体
としてみたときに、儲けを生まない施設に手厚い対策をとる
ことは考えづらいものです。
すでに直面していることですが、火力発電の比重を増やした
ことで業務用電気料金は平均17%の値上げが予定され家庭用
も値上げの方向です。
電力不足により生産力が下がった日本とは、すなわち国力
の低下を意味し、自動的に円が安くなります。輸出企業に
とっては喜ばしい限りですが、国内で製造しようにも電力不安
が足枷となるなら、電力の安定している海外に進出するのは
企業防衛として当然のことです。より国力は低下します。
円が安くなれば、火力発電のためのガスやオイルの買い付
けも苦しくなり、ときには「買い負け」て、ガスタービンを
回せない自体も想定しておくべきでしょう。
そこに先の「原発の卒業費用」が加算されます。
電気代だけで見れば、東電やその他の電力会社に費用を負
わせ債務超過にして破綻させ、新規事業者が現れれば極端な
値上げを回避することはできます。
しかし、残された「原発の卒業費用」は、国民の負担と
するしか方法がありません。
つまり、国力が低下し、電力が不安定で、重税の日本に
なるということ。年金や社会保証とは別個の話しで、仮に
放射能の危険性を除去できた未来に待っている日本の姿だと
して、本当にそんな未来を子や孫に残すことが正しい選択
なのでしょうか。
安易に脱原発を叫んでも、その先には現実的なお金の話し
が待っており、それを見据えるのが大人の責任で、嫌なもの
は嫌というだけなら子供でもできます。なんだか
「財源を示せ」
といわれていた党のマニフェストを思い出したのは気のせい
でしょうか。
と、もちろん、これは「可能性」の話し。
とにもかくにも、こうした議論の前提となるのが
「本当の需給」
で、提唱するのです。
「逆ヤシマ作戦」
を。