自分が自分である証明とはなんでしょうか?
・・・脅かしたアメリカザリガニのように引かないでください。
宗教的な自己啓発でなければ、女性漫才師に寄生する占い師でも
ありません。
哲学的な答えを除けば、それは「情報」です。
わたしは「宮脇」という家族属性に、「睦(あつし、と読みます)」
という識別子が与えられ、東京都足立区に住み、零細企業を営み
たぶん男性で、犬を飼っています。都立足立西高校を卒業し、
プログラマーを経てフリーターとなり赤貧から逃げ出すために
広告代理店に潜り込み、新規事業を立ち上げるなど実績を残して
独立起業し、著作を発刊後、いまは幾つかの連載を抱えています。
本人は「中道」と疑いもしませんが、戦後日教組的尺度で測ると
右よりの思想に分類され、歯に衣着せる機能が若干欠損しており、
誤字脱字は昭和の脱穀機が取り払えない小石の程度に散見する
文章を書きます。
さて、書籍やメルマガ、ブログなどでしか接点がないかたが、
上記のプロフィールをつらつらと語る、「宮脇睦」にあったとして
それが「本当の宮脇睦」だと判別できるでしょうか。
明日の3月1日から検索エンジン世界最王手のグーグルが個人情報
の取り扱い指針(プライバシーポリシー)を変更します。
端的述べれば、検索エンジン、Gmail、カレンダー、YouTube
などすべての提供するサービスで、横断的に利用者の情報収集を
始めるというのです。
狙いはよりキメの細かなサービスの提供のため。
利用者の嗜好を把握することで、適切な情報提供につなげるとい
うものです。確かに客のすべての情報を掴んでいれば、可能となり
ますが、つまりは「個人情報」をすべて把握するということです。
何を集めるかをグーグルのプライバシーポリシーから抜粋します。
http://www.google.com/intl/ja/policies/privacy/preview/
●端末情報
端末固有の ID、電話番号などのモバイル ネットワーク情報
・・・まぁ、これは仕方がないでしょうか。電話番号ぐらいまで
なら。
●ログ情報
検索キーワード、お客様の電話番号、通話の相手方の電話番号、
転送先の電話番号、通話の日時、通話時間、SMS 通話の種類
はい、いきなり怪しくなってきます。最後のキーワードを見てく
ださい。通話の種類とさらっと書いていますが、つまりは
「盗聴しますよ」
との告白です。さすがエシュロンの国です。
グーグルが電話? インターネット電話かな? 大丈夫、
俺、ドコモだから。
と安心できません。グーグルは「アンドロイド」という
携帯端末向けOSを提供しています。そして明日から適用される
プライバシーポリシーとは「すべてのサービス」に適用されます。
つまりは
「ケータイも盗聴しますよ」
ということ。グーグルの説明では何故か、あのアンドロイドの
偽物臭いロボットのアイコンが使われていないところに、彼らの
韜晦(とうかい)が見え隠れします。
●現在地情報
現在地に関する情報
GPSだけではありません。無線通信による基地局の情報から
も割り出すと規定に明記しており、移動履歴までグーグルは
収集するということです。
・・・まだまだありますが、やりたい放題。
グーグルの企業体質からしてやりかねないことであることは
すでに6年前に拙著で指摘しているので、驚きはしません。
ちょっと自慢となりますが、当時は鼻で笑うWeb業界人が
沢山いましたが、人間的な洞察を深めていれば、グーグルという
会社やWeb2.0(笑)で持てはやした潮流を、ひとつの人格
として見たときに、当然の結論で、加えて広告代理店に勤務して
いた経験から、客の嗜好を得るためなら菅直人にでも魂を売る
ことでしょう。
グーグルが個人情報を入手してやりたいことは金儲けです。
ただし、今の時点では。
個人情報を捕捉していれば、適切なタイミングで広告を提供
することができます。広告とは不要なときは蛇蝎のごとく嫌わ
れますが、欲している子羊には神の福音。
いままでは検索キーワードに連動した広告・・・もうすでに
それだけではなく、検索履歴から「嗜好」を探っているのです
が、移動履歴を補足できれば、移動時間を割り出すこと距離を
特定することは造作のないことです。すると
「そろそろ靴を買い換えませんか?」
「ウォーキングシューズはいかがですか?」
と広告がだせるという塩梅です。
それだけなら良いだろう・・・と思いますか?
グーグルはアメリカの一私企業に過ぎません。また創業者は
「邪悪になるな」
と公言していますが、人が変わるコトがあることを大人なら
誰もが知っていることです。強欲で傲慢で高慢なスティーブ・
ジョブズが聖人君子に・・・なったのは、周囲の提灯によります
が、ともかく人は変節します。良い方にも悪い方にも。企業も
同じくです。
そして何より株式上場企業ということは、株主構成が変われば
ダースベーダーにもルーク・スカイウォーカーにだってなるの
です。
創業者が突然の不幸に見舞われ、遺族が相続した株を売ること
だってあるでしょう。人の肉体は残念ながら有限である以上、
創業の理念を安全の担保と謳ったところで、薄氷の上でダンスを
踊っていることに変わりはありません。
グーグルは対策として、自分のプライバシーを管理できるとし
ていますが、ITの専門家を自称する私でもなかなか面倒で理解に
苦しむことが多いのはグーグルの日本語はたいていどこかが変だか
らです。
それはアップルのCMの日本語みたいな感じと言えばよいので
しょうか。アメリカ英語の直訳に技術解説書の高慢さをトッピング
した感じの苛つかせる文章です。ひらくいえばITリテラシー
の低い人は、自分の個人情報を管理できないということです。
グーグルを筆頭にするWeb業界の連中は、一定の訓練や
技術を身につけることを「当然」と考えているからです。しかし
人間の本質を知るものなら誰もがこう答えることでしょう。
「すきで勉強する奴はいない」
冒頭に述べたように個人を証明するのは「情報」です。
あたりまえのこと。
だから世界中で反発の声が広がっています。
EUはいち早く計画の延長を求め、地元アメリカでも36州・
特別区の司法長官が懸念を表明しています。そして我が国ではと
期待してはダメですよ。5日前にようやく総務省が「検討」に
はいったとのこと、はぁ。今日のお題ではありませんが、こんな
「政治主導」だからTPPに反対しているのです。
もっともいまだに「ネット選挙活動」を認知も規制もしない
政治屋にネットのことなど分かるわけもなく、業界団体も
積極的に分からせようとしていないことは、政治屋がネット馬鹿
であるほうが都合がよいからです。
そして結論。すくなくともアンドロイド搭載のスマホを使う
際は個人情報がダダ洩れになっていると覚悟してください。
ハリウッドスターのケン・ワタナベや、嵐のメンバーがすすめる
スマホを使い続ける上での覚悟です。
使うなとは言いません。自分の情報を漏らすのも隠すのも
あなたの権利であり、選択する義務があるのです。
グーグルは様々な反発を受けても、プライバシーポリシーの
変更を強行します。そういう会社です。橋下徹氏と基本は同じ。
まずぶち上げてから落としどころを探るので、被害者の屍が
累々と積み上がっても、世の中をよくするという青臭く、問わ
れれば抗いがたい理念という武器を手に、立ちふさがるものを
ぶった切ります。
拙著で予言した未来が実現しつつあることを受けて、次の
グーグル未来予言をここに記して今回は筆を置きます。
「グーグル黄泉がえり(仮)」
嗜好、趣味、経歴、言葉遣い、画像、動画といった
「個人情報をもとに故人を再生」
もちろん、ネット上ですが。良いか悪いかといった倫理的な
ことを脇に置いて「ユーザーのため」といいながら死者をも使い
金儲けに走る姿が水晶玉に浮かんで・・・って水晶玉もっていませ
んでした。