日本がなくなる日

 米国のジャーナリズムを模倣し、新政権発足から100日間を
ハニームーンとして過度な批判は控え、民主党、そして鳩山政権
に対して、奥歯に物を挟んでいました。

いわゆる「お試し期間」や「慣らし運転」で辛らつに批判しては
能力を充分に発揮できないだろうというものです。

ちなみにハニームーンと表記しているのは米国模倣の自嘲で、
一般的にはハネムーンと呼びます。

さて、100日。

鳩山政権誕生から換算すれば来週以降ですが、私は物書きもし
ていますが、生活費は商売人で稼いでおり、どうしても

「費用対効果」

で見てしまいます。すると、

「30日と31日の2日間で8月の月給満額を受けとり」

していることからみて、私は国民が民主党を筆頭とした現、
衆議院議員という政治屋さんを「雇った」のは8月30日であり
ハニームーンもそこから起算すれば今日が102日目となると
考えます。

てなわけで奥歯に挟まったものをとったわけですが、衆院選前
から指摘していたことが形になっていく様をみているだけで、
批判する気にもならないというのが本音です。

経済政策に無策で、教育を破壊し、外交から現実主義を取り除き
国防を無力化する。

そのままです。ある意味、感心しています。

ひとつひとつをあげつらい「いったとおり」とはしゃぐのは
私の美学に反するのでやめておきます。

そこで今回は、特別編。「日本がなくなる日」。
妄想ですのでディテールへの突っ込みはお断りします。あしからず。

20XX年。

普天間問題に端を発し、日米同盟はもはや2009年夏、
ドラッグの常習が発覚したあの元アイドルと自称プロサーファーの
関係となった。

日本国内の基地反対運動がユーチューブを通じて、全世界に
配信され、それを見た、米国世論が

「米軍撤退、日米同盟破棄」

へと傾いたからだ。国内での失政、アフガンの増派で、
中間選挙の結果が思わしくなく、再選を目指す米国大統領にとって
無視できなくなっていたのだ。

この動きを日本国内ではどう見ていたのだろうか。

いたって冷静だった。それは基地反対運動とは沖縄県内の
「活動」であって、東京ではフォーエバー21で洋服を買い
スターバックスコーヒーで時間を浪費するいつもの日常が
繰り返されており、これは報じられないことだが、沖縄県内の

「集会」

も、内地の活動家が大挙して押しかけ、盛り上げはするが
会場を離れると「なんくるないさー」とこれまた、オリオン
ビールを片手に平穏な日々であったのだ。

そしてその日はやってきた。

その日は「サミット」が終わった翌日だった。
前日に両国首脳による「米中会談」「米ロ会談」が行われ
太平洋アジアの平和・発展への話し合いがあったと報じられた。

この時、日本国首相は多忙を理由に「首脳」と会談すること
は敵わず、ナンバーツーとの「意見交換」しかできず、さらに
は米国の主要閣僚と会うことすらできなかった。いや、正しくは
「首相夫人」だけは、持ち前の押しの強さで、「嫁さん外交」
を展開していたので、国内ではこればかりクローズアップして
報道された。

米国大統領が緊急記者会見を開いたのはグアムの米軍基地内
だった。日頃、雄弁な大統領は静かにこうきりだした。

「これほど悲しい決断をした米国大統領はかつて存在しなかっ
ただろう。私はその悲しみに耐え、立ち向かうことを決意し
たのはすべての米国国民と平和を希求する全世界の市民のた
めだと記憶に止めておいて欲しい。

・・・永遠の友人と分かれる日がきた。

日本との同盟関係を来る12月8日をもって破棄する」

速報が世界中を駆けめぐった。
円は売られ、株価は暴落した。
国会は日米同盟の是非を巡って紛糾し、野党は解散選挙を
求めたが、圧倒的多数を誇る与党は権力の椅子にしがみついた。

そしてその日が近づいた。70年ほど前の日米戦争開戦日だ。

不穏な動きは以前からあった。

国籍不明の潜水艦が沖縄県 宮古島近海をクルーズし、
北方での領空侵犯は定期訓練のように、日常に溶け込んでいる。

しかし、連立政権と党内左派に配慮し、国防費を「仕分け」
しつづけており、日本の唯一の武器は

「平和憲法」

だけとなっていた。この武器の使い方はシンプルだ。

「願う」

これだけで他国が攻め込まないというのだから、究極の
人道的兵器だといえる。余談だが、この平和憲法の量産化に
成功すれば、世界から争いがなくなり、同時に輸出により
外貨を稼げ、この不況も脱出できると期待するのだが。

教師も走る師走となり、先島諸島からは「不審船」の
目撃情報が寄せられている。北方ではロシア製の戦闘機による
航空ショーが毎日、毎夜展開されている。

自衛隊は動かない。いや、動けないのだ。

最高指揮官である首相は「友愛」により解決できると信じ
ており、自衛隊を「方面配備」することで隣国を刺激しては
ならないとマスコミに繰り返す。

もうひとつ理由がある。「情報」がないのだ。

従来は「米軍」の偵察衛星などから「分けて」もらっていた
情報も同盟破棄が目前に迫り、出し渋りされているのは、
米軍側に立てば当然ことだ。

同盟を結んでいないと言うことは「イコール敵」ではないが
それは平和を意味するものではなく、「敵になるリスク」が
高まったことを意味する。

戦後日本で同盟の重要性が議論されなかったのは、
世界最強だった米国と手を組んでいたからであって、アラフォー
以上の世代なら覚えているだろうが、米ソ冷戦時代には
「日米同盟」はリアルな軍事同盟だったことを。

かくして迎えた12月8日。同盟は破棄された。

南では自国領とする「魚釣島」に彼国が上陸し、北では
沿岸に軍船が並び「開港」を要求する。さらに佐渡島に
不審な工作船が大挙して上陸したと一報が入った。

かつて「トラストミー」といった男は「ヘルプミー」と
twitterで呟いた。ホットラインを何度ならしても受話器が
とられることはなかったからだ。

1週間。蹂躙は続いた。
米国世論はふたつに分かれた。

かつての友人を助けるべきだ。

知識階層にこの意見が多かった。しかし、庶民はどう
思ったか。

「リメンバー、パールハーバー」

真珠湾を攻撃してきたイエロー・モンキーの蹂躙される
様はハリウッド映画のようだと喝采したのだ。

石垣島、宮古島、久米島まで賞賛の拍手は鳴りやまな
かったが、沖縄本島に近づいた時に世論が動いた。

「俺たちの基地を守ろう」

そう、声を上げたのは嘉手納にいたことがある元米兵で
このtwitterの呟きは全米に広がり、ついには大統領を
動かした。日本に残されたホットラインが鳴った。

「メイアイヘルプユー」

首相は涙を流し「サンキュー」を繰り返すばかりだった。
友愛外交の勝利と疑わなかったのは彼と彼の細君だけ
だった。

脅威は去った。そして沖縄は「再占領」された。
それは沖縄だけではない、北海道は上陸したロシア軍と
米軍がにらみ合っている。ここでも自衛隊は後方支援に
従事し、事実上「米国」となってしまった。

佐渡島は将軍様の兵隊を追い払うことに成功したが、
この治安には米軍の要請を受けた韓国軍の兵士が駐留し
ており韓国国内は「日本占領」の熱気に包まれている。

沖縄に目を移すと中国は「琉球王朝」やそれ以前を
持ち出し領有を主張し、暫定案として先島諸島を
支配下に置いた。これは台湾制圧の仕上げと見る専門家
の声もある。また、将来的に米軍が撤退したときの
橋頭堡とする見方も根強い。これは100年単位で考える
ことができる中国の強さだ。

東京。すでに金融も経済も政策も米国の判断なしに
動けなくなっている。ご機嫌を損ねれば米軍は去り
また脅威にさらされてしまうからだ。

そして国民は政治の責任を追及し、自らが投票した
結果責任を負わない。

20XX。主権国家、日本は世界史から消えた。

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