労働者の歯車化

 さて、TPP。

 まずこれを「開国」というのは大嘘。日本は既に開国しています。
 そしてアメリカとの「同盟」というのは超嘘。普天間を解決しな
ければ同盟もクソもありやしやせん。

 さらに「アジアの成長」については、ASEAN(+3、+6)
のほうが有望です。

 ただし、アメリカの搾取という点は語弊が。取引は互いの合意に
より成立するので、推進派が主張する「話し合い」という技術論は
本当。

 しかし、ここで推進派が興に乗る

「日本が負ける前提の議論がそもそもおかしい」

 という主張は、自尊心をくすぐりますが、歴史から何も学ばない
阿呆の告白です。日本は対米交渉でほとんど負けています。すると
細々とした部分では勝っていると例証をあげる推進派もいるのです
がそれは局地戦の勝利で、戦争は常にアメリカが勝利しています。
それは硫黄島の奮闘を評価することと、大東亜戦争の結論とが違う
ように当たり前の話しです。

 つまり歴史に学べば日本が対米交渉で勝てると仮定することは
困難だと言うことです。

 そもそも「交渉」だというのであれば、次期主力戦闘機の選定や
牛肉、ハーグ条約などなど、対米カードはいくつも・・・あったの
ですが、ドジョウと財務省の仲間達は白旗を掲げてカードを手放し
つつあり、大きく国益を損ねています。

 いやいや「交渉」です。ならば、TPP参加を認めるか否かは
参加国の合意により、アメリカでは議会の承認が必要で、最短でも
90日とかなんだとかといい、推進派はだから今、参加しなければ
間に合わなくなる、バスに乗り遅れると言うのですが、「交渉」
なら、アメリカ議会を動かすようにオバマと交渉する、あるいは
議会に直接はたらきかけることこそ「交渉」でしょう。

 内政干渉ではありません。日本のTPP参加が御国にとって
これだけのメリットがありますとご注進申し上げるのです。

 結果、変わらなくともこうした働きかけが「熱意の表れ」となり
日本はTPPにポジティブだとなれば、アメリカはどう考えるか?

「なにか対米戦略をもっているかもしれない」

 これは本能的なものです。愛国者ほど他国民も同様だと考えます。
 ゆめゆめ「日本列島は日本人だけのものではない」などという
人間が政治屋をやっているなど想像だにしません。

 政治家の行動とはすなわち「国益」に直結しており、ならば積極的
な日本の姿勢の裏側には隠し球がある・・・と、見てくれればもっけ
の幸い。実はすっからかんでもね。

 ここで記した「交渉」は、なにも特別なことではありません。
 ジャパニーズビジネスマンなら誰もがやっていることです。
 なぜか、政治屋と官僚ができないだけのことです。

 なんども繰り返しますが、TPPに短絡的に反対しているのでは
ありません。むしろ「戦略的」に取り組めるなら、積極的に関与す
べきと考える立場です。

 ところが推進派の「すべては交渉だ。話し合いだ」という主張す
る政治屋も学者も「交渉」を知らなすぎることを危惧しているのです。

 こんな主張もあります。

「交渉前に手の内を晒す馬鹿はいない」

 馬鹿でしょ? こういう主張をする人。交渉前に晒す手の内は
「ブラフ」で、それこそ交渉の初手でしょうに。

 例えば知財関係ひとつとっても、こんな感じでかまします。

「無事、TPPを締結した暁には、シリコンバレーをそっくり
 誘致できる環境を我が国は用意します。偉大なるカリスマ
 スティーブ・ジョブズが愛した”禅-Zen-“の生まれた日本で
 彼の精神を学び、そして彼を越えるイノベーションを起こす
 起業家のみなさん、ようこそ日本へ!」

 知財で米国が脅しにかかることは目に見えているので、これか
らの知財を生み出す人材ごと引き抜きますよという脅しです。
これも実現できるかどうかなど後から考えれば良く、実現可能性
などそれこそ「手の内」にしまっておけば良いのです。

 あ、すいません。新嘗祭の前日でなにかと忙しいのに、また
前置きが長くなりました。ここで本題です。

 実はTPP参加と、いまの日本が抱える若年層の就職難や、
労働年齢における生活保護需給世帯の増加は重なると言う話し。

 ざっくりとTPPの建前を説明すると、締結した国では関税を
なくして自由な貿易をしましょうということ。つまりは、米国や
オーストラリア、そしてチリが、お米における新潟や秋田、
北海道といった産地ぐらいの扱いになります。

 輸送コストという障壁はありますが、為替や人件費を勘案すれ
ば海外産の安い製品がはいってくることでしょう。

 もちろん、農産物に限りません。トヨタは米国で生産した
自動車を韓国で販売しはじめました。米韓FTAを睨んだ動き
でもありますが、なにより円高により国内で生産していては
ウォン安の韓国に売れなくなったからで、同じくドル安の
米国で製造したものを売ると言うことです。

 経団連を筆頭とした財界がTPPに賛成するのはコレです。

 世界中に工場を作り、相対的に安い国で生産して、割安と
感じる国に売りたいのです。企業経営者としては当然です。

 そしてこれが雇用不安と重なる理由は、先のトヨタのように
為替の安い国に生産拠点が移るので、国内雇用が減少し
製造拠点の空洞化が起こるというのが一点。しかし、これだけ
なら労働年齢における生活保護とは重なりません。

 ポイントは「労働の集約化による画一化」という点です。
 簡単に言えば機械化とマニュアル化です。

 世界中どこでも同じ品質の製品を作るには、機械化は避けて
通れず、従業員管理の面からもマニュアル化が進められます。
企業にとっては良い話し。それでは労働者はどうでしょうか。

 機械化とマニュアル化の目的は、労働者の「歯車化」です。

 誰でも同じ生産性を維持するためのもので、佐藤さんでも
鈴木さんでも、ロドリゲスさんでも同じ生産量をキープさせ
るのが狙いです。そこに「技能」は不用。つまり、技能を
習得するチャンスを奪われるということです。

 そしてこれが、若年者の就労と先の生活保護の問題に絡ん
できます。

 ファミリーイタリアンの「サイゼリヤ

ブログ村に参加してみました。宜しければ右バナーをクリックしてください→ にほんブログ村 政治ブログ メディア・ジャーナリズムへ
にほんブログ村

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください