勝手なコトされては困る

 政治経済という表現をしますがこれは言い得て妙で、両者は緊密に
絡み合い、政治に傾斜すると経済が疎かになり、経済に傾斜すると
国益を見誤ります。

同じく「法」と「ルール」。この場合のルールとはモラルや良識
のことですが、明文化されているものと暗黙の了解も互いに独立し
対立するものではなく支え合い補完するものでなくてはなりません。

大上段に構えたイントロからどこへ向かうのかと言えば

「セブンイレブン弁当問題」

です。詳しくは報道に譲るとしてざっくりとした説明をすれば
賞味期限が迫った弁当の販売を規制していたセブンイレブン本部に
独禁法からまったがかかったというものです。

背景をさらに砕くとするなら、セブンイレブン側の主張は

「ブランドイメージから値引き販売はダメ」

として、フランチャイズ店のオーナーからすれば

「捨てるぐらいなら安く売りたい」

となります。仕入れた弁当はオーナーのもので、仕入れ値は
もちろん、捨てる費用もオーナーの負担ですから気持ちは分から
ないでもありません。

またセブンイレブンとしても値引きが常態化して値崩れや
ダンピング競争に陥るのは得策ではなく望むものではありません。

お昼時にコンビニが林立する都会で

「2割3割当たり前」

とのぼりを立てられるのは勘弁願いたいところでしょう。

さらにセブン側に立てば

「値引き競争の末路」

は家電量販店やガソリンスタンドを例に挙げるまでもなく
泥沼の持久戦に陥ることとなり、セブンイレブン全店でも
ダメージとなる恐れがあります。

ここでご存じのない方のためにもう少し説明を重ねますが
セブンイレブンの多くがフランチャイズで、一部ネット情報に
よれば7割ともいわれております。

さらにザックリにざっくりを重ねますが、セブンイレブンの
フランチャイズは店舗ディスプレイや看板などのパッケージに
物流網などが提供され、店舗としては「運営」だけすればよい
契約です。運営に関してもアドバイスをしてくれ、研修制度な
ども用意しています。

「なんだよ。よい会社ジャン」

と思うのでしょうか。この良い悪いというのも怪しいもので
どちらの立場に立つのかでこれほど形を変えるのも珍しい言葉は
ありません。

売り上げから「マージン」を納めます。
また人件費もオーナーが負担しなければなりません。

どちらも当然のことでしょうが、マージンはひとまずおいて
人件費をみてみます。

売り上げが上がれば人を雇うことはやぶさかではありません。
しかし、運営に際してこんなアドバイスがあったとしたら
どうでしょうか。

「24時間営業しているイメージが客を呼ぶんだよ」

これはセブンイレブン以外の某店。東京郊外のベットタウン。

終電は0時過ぎに通過し、その後は人通りなど皆無で1時間に
1人もこないことも珍しくありません。また夏になると羽虫の
ように不良の子供達が集まり始め、ガリガリ君1本で店先に
数時間たむろされます。繁華街に遠い町ではコンビニ前が彼らの
唯一の社交場なのです。

そこで深夜帯は店を閉じ、早朝から営業しようと考えました。
人件費も光熱費も浮く経営の合理化です。
すると運営を助けるといわれる「アドバイザー」が飛んできて
こういいます。

「オタクだけ勝手なコトされては困る」

アドバイザーの主張はこうです。

「ウチは全店の統一イメージが売りなんだ。勝手なコトされては
そのイメージが台無しになる」

どうやらこのアドバイザーが気にしている「運営」とは
コンビニグループ全体、ひいてはそのフランチャイズ自体のことで
加盟店ではないようです。なぜなら、個別の店舗の経営を考えるなら
個別事情、地域事情を斟酌するものだからです。

・・・えぇ、これは某店の話。しかし、近所のコンビニでは
深夜帯にオーナーが店番をしている姿をよく見かけます。これは
オーナー自身なら「深夜手当」がいらないので。

そして「マージン」は当然でしょう。しかし、そもそも論を
提示すると「仕入れ値」が知らされておらず、それが妥当かも
判断できず、穿った見方をすれば

「不当に高い仕入れ値で卸されていた」

という可能性だってひがみ根性を全開にすれば見えなくも
ありません。さらに嫌らしい見方をするもののなかには、弁当の
値引き販売禁止も

「売り上げにかかるマージンが減ることを嫌って」

というものまで散見します。
もっとも面白いのは先日、各種報道でセブンイレブンが
コカ・コーラやカップ焼きそば「UFO」のクーポン券による
「値引き販売」が報じられましたが、そこにはしっかりと

「メーカーさんのご協力」

とありました。つまりあの値引きは納品業者を叩いて・・・
いやご協力によるもので、まぁセブンイレブンとしては売り
上げ高減少によるマージンの低下はかぶる・・・が、「割引券」
で売り上げとして計上するのではなくクーポンを「金券支払い」
とするならマージンは・・・いかんいかん、コホン。

今回、途中から奥歯に物を挟みながら執筆しております。

ここまでお読みいただきセブンイレブンへのある種の思いを
抱かれたかも知れません。

これはまだ日の目を見ていないのでお名前は控えさせてい
ただきますが、あるジャーナリストがこの件を追いかけており
ます。原稿は7割方あがっています。が、しかし本にしようと
声をかけても

「出版社が協力しない」

のです。この方がある出版社に持ち込むとこういわれました。

「うち雑誌もだしているから広告が馬鹿にならない」

ただしこれはジャーナリスト側からの意見だけですので
断定はできませんが、書籍だけなら無関係でも、雑誌は広告で
成り立つビジネスモデルです。すると圧力はなくとも「配慮」
があるのが日本のマスメディアの実態です。

と、なるとこの構造を支えているのは今回、独禁法で
お墨付きを貰ったことで大々的に報じている報道機関も
「ぐる」ではないでしょうか。

セブンイレブンだけではなくフランチャイズには

「搾取の構造」

があります。しかし私自身は搾取ではなく契約だと考えます。

拙著「楽天市場がなくなる日」での指摘と同じです。

学校以外の社会ではすべてが自己責任で、特に商売の世界で
それは絶対原則です。ならばフランチャイズの持つ利点だけに
目を奪われるのではなく、欠点や不利益が生じる可能性について
検討しなければならず、それは会社員や派遣社員も同じくで
契約に基づくマージンが取引コストの範囲として同意できるのか
いやはややはり「搾取」なのかを見極めなければならないという
ことです。

さらに契約に基づいていたとしてもその後「交渉」する権利は
あると考えます。それを拒否するのもありでしょう。そのなかで
私が危惧するのは

「公平な報道がなされていない」

という点です。
セブンイレブンもフランチャイズもどちらも「商売」ですから
善悪・・・つまりは「よいわるい」を断じませんが、派遣労働者や
契約社員と同じ報道の論点に立つのならもう少し違う報道がある
べきだと考えます。

例えば

「夢物語のFCプランをみせられたが実態はかけ離れていた」

という場合には商取引の自己責任と一律に切り捨てるのではなく
ある種の制裁、または情報公開を義務づけるなどです。

コンビニ弁当に限らず食材が廃棄されていることでみれば

「それゆけ! エコロジー」

の視点からもっと叩かなければならないとも添えておきます。

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