所得格差より休日格差が深刻

笑っていいともが水曜日に終わり、なんだかもう「仕事納め」感
が漂っていますが、我が町「あだち」の多くの企業は今日まで
お仕事しているようです。

そしてさらには明日までの会社も少なくありません。
年明けは4日から。すると年末年始のお正月休みは4日間。

一方、28日から休みに入り1月8日の「成人の日」まで休んで
いる人もおり、こちらは12日間。

所得格差と「休日格差」って連動しているのではないでしょうか。
職種、職責にもよりますが、特に「会社員」と限定した場合に。

はてさて、中小企業的「仕事納め」の今日は

「ホワイトカラー・エグゼンプション」

■ウィキペディアのホワイトカラー・エグゼンプション
http://ie.to/ω1638

について。

俗に言う「ただ働き促進法」というとわかるでしょうか?
年明けにはもっと話題になると思いますが、ホワイトカラー・
エグゼンプションとは、労働者に勤務時間の裁量権を与えて、

「より働きやすくすること」

が狙いとお題目がついています。
要するに社員が結果を出していれば、一日1時間しか出勤しな
くても良いですよという、非常にありがたいものです。

ところがこれが「ただ働き促進法」と呼ばれる所以は、反対に

「結果が出なければ何時間働いても残業代が出ない」

ということです。

これは経営者側からすれば、

「効率の悪い社員に残業代を払い、要領よく成果を出す社員に
報いることができない」

となります。

えぇ〜、まずこれが詭弁だということを最初に指摘しておきます。

「だったら、給料査定が間違っているじゃん」

ということ。
効率の悪い社員だという「勤務評定」なら、もともとの基本給を
低く見積もっておけば、割増賃金となる「残業代」も低く、抑える
ことができるのです。
そして要領の良い社員の基本給を高くして上げれば、十分に報い
ることができます。

この議論がされることがないのは、経営者にとっては触れられた
くない急所ですし、一方

「断固反対」

を訴える「労働者団体」の多くが、権利原理主義に走る傾向が
あり、経営感覚というものを持ち合わせておらず、さらには

「労働者間の待遇格差」

はあってはならないことだからです。

だからこの議論と法律は、机上の空論同士の空中戦となり、
最後は政治屋さんたちと官僚という「最大受益者」に都合の良い
法律に落としこまれてしまうことでしょう。

議論に「実」がないのです。

そこで私の「実」の話。来年以降ホットな話題となる前に頭の
片隅にでもとどめておいてください。

私の最期の勤務先は営業職に関して「裁量労働」を導入してい
ました。

残業代も深夜労働も休日手当も一切ありません。
有給休暇も事実上取得が禁止されている状態でした。
労働時間が延長されたときも、社員の同意は一切得ずに一枚の
紙切れが回覧として回ってきて判子を強制されました。

ついでにいうと私が営業中に自動車を追突され、いわゆるオカマ
を掘られた状態の時も

「加害者の保険がでるんだから会社でかけている保険は使わない」

とはっきりと役員に言われました。

さらにいうと

「退職金の原資にする」

という理由で最高1000万円の死亡保険金の加入を半強制され
ました。

ちなみに「就業規定」での最高弔慰金は300万円。
この差額に関する規定は一切ありません。

しつこく追求すると、

「それまでにかけていた保険金があるから・・・」

と、懐に入れることを示唆しました。

これは断固として拒否しました。

「私の命までは会社に売れません」

私が提供しているのは命の一部の時間と、技術と能力と才能。

まぁこの頃は新部署を立ち上げて、ブイブイいわせていた頃で
あったのと

「オカマを掘られて怪我をしても会社から1円も見舞いがなかった」

と前述の役員にいったら私だけ

「事故で死んでも金払わないぞ」
「結構です。個人で入ってますので。嫁はちょっとだけ損しますがね」

で終了しました。

と、ここまで書くと「相当に悪辣な会社」という印象ですが、
結構のんびりとしてアットホームな会社と思っている社員が
沢山在籍しています。

実はこういう会社って多いのです。今でも。
ホワイトカラー・エグゼンプションなんて導入される前から。

長時間労働は当たり前でした。
朝は9時から、夜は10時までが平均でした。
これでも片付かないことが多いので、朝は5時から自宅で

「朝飯前」

の仕事を片付けてから出勤します。
その隣ではほとんど定時で帰宅する上司もいます。

私が彼の仕事していることも少なくありません。

ホワイトカラー・エグゼンプションが今のまま導入されれば
この仕事をしない上司のほうが優秀ということになります。

・・・もちろん、私も黙って甘受するような性格ではありま
せん。

労働時間変更の際に

「労働基準監督局」

に訴えました。

すると担当した職員に

「社員の皆さんがそれで不満を持たれていないようならうちと
してはなんともできません。どうしても納得がいかないなら、
その会社をお辞めになったほうが」

転職を進められてしまいました。

そして、今回のホワイトカラー・エグゼンプションはより
合法化するための法律ということです。

それでは本当に「ただ働き促進法」となって、悲惨な労働環
境となるのでしょうか。

・・・これは微妙ですね。前述したように、私の最期の勤務
先でも

「アットホームな会社」

と信じている人は少なく、アットホーム故に多少のサービス
残業は致し方ない。まぁ会社も鬼じゃないんだから。

と、その環境を甘受する人は会社に残っていくということです。

ちょっとわかりづらいですかね。

「どんな水にも棲む魚がいる」

ということです。

法の施行により、サービス残業・長時間労働を強制し、給料を
抑える会社が増えたとしても、それでもいいやと思う社員は
そこにいるのです。

そして「いいや」と思わない社員はというと

「出て行く」

のです。社員は奴隷じゃありません。幸いにも職業選択の自由
がこの国にはありますから。

私のように独立する人もでてくるでしょうし、

「ちゃんと評価してくれる会社に移籍」

する社員もでてきます。
結果、残された社員はサービス残業・長時間労働は甘受しますが、
創造性の高い仕事が不向きだったりすると、更に労働時間で補おう
とし、労働環境は更に過酷となりますが、それでも甘受して中長期
的に衰退していきます。

ホワイトカラー・エグゼンプションが導入されることにより

「無能な経営者の会社が市場撤退を余儀なくされる」

と私は見ています。

そんな過酷な労働環境でしたが、私は結構「休み」をとっていま
した。これは隔週休二日のなかで取得できない土曜日の休みや
休日出勤の「代休」がたまっていたので、半年に一度1週間ぐらい
休まないと「帳尻」があわなくなるからです。

これは労基法にひっかかるのです。

実際には休みの間も仕事をしていることがありましたが、

「長期休暇」

を定期的にとれたことは私にとって幸運な出来事でした。

週休や3連休なら「休む」か「遊ぶ」という選択肢となるのでしょ
うが、仕事の閑散とした時期に休みますので、普通の平日となります。

すると「いろいろと考える時間」がとても多くなるのです。

少ししかない休みは「休みを満喫」しようとして、

「休みの過ごし方」

を一所懸命考えますが、特にやることのない休みは

「人生なんてものをのんびりと考えちゃったり」

もできるのです。

このリフレッシュをすることにより、仕事への効率追求や社会情勢
の変化などを受け止められる「長期休暇組」と、31日まで勤務して

「正月休みは3が日だけ」

という人の所得格差はどんどん進んでいます。

バブル崩壊直後、大型牽引免許を持っていた知人は手取りベースで
50万円近くの収入がありました。

彼は当時から正月3日の休暇でした。

そして現在、手取りで30万円を割り込んで、拘束時間は当時の
1.5倍です。以前はでていた早朝出勤手当も、残業代もすべて
削られています。

たまの休みの日は趣味のスノボーに釣り、草野球と多忙を極めて。

「所得格差」を論じるのも結構ですが、考える時間の格差を生み出す

「休日格差」

のほうが、もっと根が深い問題ではないでしょうか。

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