世界はアメリカは知っていても北朝鮮は良く分からない

 さて、連休明け。
取り上げないわけには行かないでしょうから、今日は前置き無し
で本題です。

「北朝鮮の核実験」

が、週末に行われるという噂があったのに、この国の防衛長官は
どこにいっていたのでしょうか。
国防よりも選挙。
国益よりも党利の野党第一党と同じ程度でしょうか。

ま、コロコロ変わる大臣がいなくても機能してくれれば問題ない
のですが、今度はシビリアンコントロールの問題も視野に入れてお
かなければ、また別の恐怖があらわれます。

ただ、自著の「Web2.0が殺すもの」を書いていて、一つ気になっ
ていたのですが、論旨がずれるためあえて触れなかったことが、
やはりというか具体的に浮かび上がってきたような気がします。

「オプティミズム」

が、この国のエリート層の基本的な資質ではないかということです。

そしてこれが全ての害悪の元凶になっているのではないでしょうか。

オプティミズムを翻訳すると「楽天主義」で、こちらのほうが

「日本語的にしっくり来るのに英語を使う」

というのも、戦後日本型エリート層の特性でもあります。
まるでコントにでてくる2泊3日のグアム旅行から帰った途端、
自分のことを

「ミーは」

という、昭和なら「イヤミか」と、今なら

「欧米か!」

とツッコミを入れてしまう用法です。

ちょっと話しがずれますが、専門用語や難しい単語を分かりやす
く説明するのは選ばれし者の責務です。戦後日本型エリート層は、
翻訳する努力を放棄するどころか、その単語を水戸黄門の印籠よろ
しく振りかざして権威とします。
このハンチクなエリート意識に芸能界の隠語であった業界用語が
融合されて、今の専門用語乱用が市民権を得たのではないでしょうか。

オプティミズム=楽天主義ですが、育ちのよろしい方々はダーク
サイドで育った人の考えを理解できません。
これによりメディアは世論の誘導を間違えますし、役人は外交を
見誤ります。

そりゃそうです。人は知っているものしか理解できませんから。

だから「Web2.0」を礼賛する人は、現実社会に起こるであろう

「階層の固定化」や「格差の拡大」

が見えずに、ここを指摘する人はいません。
仮に階層が固定化されれば、

「今の身分」

が保証される訳ですし、自分がアッパーに属していれば

「上昇気流」

に乗れるのですから、気づいていればより礼賛を強くすることで
しょうね。

自著に詳しいのですが、時間を切り売りしているフリーターより

「かじれるスネを持つ親という特権階層」

が有利になる社会ができあがりつつあります。

ニートをフリーターや自閉症と混同する向きがありますが、
全く別物なのに、国が税金つかってどうにかしようとしているのも
すねをかじり続けて得られた特権です。

かじるスネの無かった私が払っている税金もこの対策に使われる
かと思うと忸怩たる思いです。

そして、メディアもエリートも「豊かな社会」しか知りません。
もちろん、全員とは言いませんが、多数派は高学歴で高収入な
ご子息ご令嬢で固められています。

彼らからすれば「飢えた国家」が何をするかの本質が理解できま
せん。

「食べられない」

という経験をしたことがないからです。
ダイエットや、学生時代の仕送り待ちといった一時的なものでは
なくです。

週末のメディアは楽観論が主軸になっていました。

実際の実験は10月下旬ではないか。

そして実験を行い、2回目も噂されている中でも

「これでカードを使い切った」

と、様子見ムードの楽観論を使いたがります。

・・・冗談じゃない。

今回の実験によって北朝鮮は最強のカードを2枚手に入れたのです。
一つは

「核兵器保有国(仮)」

で、これにより核兵器保有国クラブという特権階級への仲間入り。
互いに核兵器を持っている国同士は戦争をしません。
事実、世界中のトラブルに首を突っ込んで金儲けを企む、アメリカ
でも、核兵器保有国への武力行使はしていません。

いわゆる「核の抑止力」という奴です。
北の将軍様を脅かそうという国が無くなったということです。

そしてもう一つのカードが

「打っちゃうよ♪」

これは日本への最強カードです。
通常兵器でもビビり、更には国防にも世論が割れる国に

「打っちゃうよ♪」

改憲論争でも自衛隊派兵でも

「軍隊を無くして外交努力で」

という、外交音痴というより「しれもの」福島瑞穂さんを使う
メディアがある国です。

「打っちゃうよ♪」

経済封鎖をしたら

「打っちゃうよ♪」

朝鮮総連への規制強化したら

「打っちゃうよ♪」

北朝鮮船舶への規制を強化するなら

「打っちゃうよ♪」

非核武装国家の韓国と台湾も狙えますが、韓国をやってしまえば
自分たちの分かりやすい金ヅルがなくなりますし、台湾なら大中華
の本家、中華人民共和国が黙っていません。

しかし、日本はどうでしょう?
実際に攻撃される前にアメリカが動いてくれるでしょうか?

自分の国は自分で守るのが基本です。

「打っちゃうよ♪」

別に打つ必要はありません。しかし、「恐喝」するには充分です。
何も援助を求める必要はありません。

「何もさせなければ良い」

のですから。経済制裁その他諸々を。

将軍様の統制独裁国家では、表の経済と裏の経済があり、表の経
済がガタガタでも、裏の経済は各種支援の横流しと密輸で潤います。

すると経済制裁が続けば続くほど、

「富める者は更に豊かに、貧しき者は更に貧しく」

なります。
これが世界中に報道されるように、上手く情報コントロールをす
ると

「人道支援」

をしたがる豊かな人が食料を送ります。
仮に直接貧しい人に届けても、届けた食材が全て胃に納まるまで
監視することは不可能に近いでしょう。

管理国家で届けられた食材がどうなるかは推して知るべしでしょう。

ただし、今より厳しくされると色々と面倒になるので、何もさせ
ないために

「打っちゃうよ♪」

というカードを手に入れたということです。

オプティミズムにまみれた「識者」達は、

「まだ兵器としては」
「小型化ができない」
「実用レベルにはまだ数年」

と、のたまいます。

最後のカードといわれていた「核実験」をさらっとやっちゃう国を
相手に何を言っているのでしょうか。

それでは逆に

「核ミサイルを作るのをただ見ているのか?」

と、問いたい。
作ったら活用する確率の高い国であることは明白です。
彼の国は持っているカードを活用するのには長けているのです。

しかし、経済制裁をしても無駄だ、特に日本一国だけではという
お説ごもっともな意見もあります。

これは経済合理性から見ただけの理論です。

今回、将軍様が手に入れカードは、我が国にとっては逆利用できる
カードで、これは一発逆転の貴重なものです。

経済制裁を地味にやっても効果が薄いことは当然でしょう。
更に、主要国以外にはアメリカなどの核兵器を持っている国が
持っていない国にとやかくいうのを、オモシロク思っていないとこ
ろもあります。

でも、日本国だからこの「核実験」は一発逆転カードとなるのです。

「世界で唯一の核兵器による被爆体験国として、
核兵器廃絶の願いを込めて経済封鎖をする」

ここに「大義」ができます。
これはあまり語られませんが、歌舞伎、アニメと同様に日本だけが
もつカードです。

戦後60年、ドコの国とも武力衝突をしていないという平和国家と
いうイメージ造りにつなげることも忘れてはいけません。

極東の小国が自衛のために核兵器を持った。

ともすれば世界ではこういう論調が幅を効かせることもあります。
世界はアメリカは知っていても北朝鮮は良く分からないからです。

しかし、「核兵器」が何をおこして、その核兵器を持とうとして
いる国がいかに「平和を脅かす者か」をアピールする絶好のチャンス
なのです。

もちの論で北を後方支援する露西亜と中国を引きずり出すことも
忘れてはいけません。

「核兵器の被害者 日本」

中国とロシアからは領土を占領されてイチャモンつけられ、
資源も奪われつつあるのにも係わらず、平和的な手法しか使わない
国家日本。

ピンチはチャンスになるんです。
オプティミズムに自分の常識と楽観的観測だけでは見えてきませんが。

活かして欲しいものです。このチャンスカードを。

・・・この希望も楽天主義という皮肉につながっているのが悲し
いですが。

ちなみに他国のエリート層はリスクマネージメントは欠かせない
能力となります。

特に革命も歴史文脈にあれば、自分たちの地位を脅かす力が突然変異
で現れる潜在的恐怖を抱えているからです。

それが証拠にロシアではジャーナリストを暗殺しても国体護持を
目指しておりますし、中国では言論の自由と書いて

「共産党検閲済み」

と烙印が押されています。

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