足立区のスーパープレミアム商品券でわかった商店街が衰退する理由

 商店街は衰退するよね。という話し。

 大店法やらの話しではなく、「お客」をみていない商売が衰退するのは自明です。事業規模に関係なく、すべての商売に通じる話で、我が町足立区の商店街がシャッター通りになっている理由でもあります。

 先週の土曜日、足立区では「スーパープレミアム商品券」が販売されました。プレミアム率は20%で、1セット1万円分を購入すれば1万2千円分の商品券をゲットできます。

 10億円分の売り出しが即日完売。翌日販売した店舗と併せても、すべて発売時間前に完売してしまいます。

 「貧困区」と左翼連中にレッテルを貼られて久しい足立区ですが、推定値1時間もせずに10億円がポンとでてくるのが、足立区民のポテンシャルでしょう。

 20%のプレミアムの原資は

「地域住民生活等緊急支援のための交付金」

 で、いわゆるバラマキ政策です。

 期間限定の商品券を配れば、配った分だけの経済効果があるのは当然ですが、使った金額以上の効果が無ければ、単純に減税しても同じことのようですが、しかし、商品券の大半は「期限切れ」が起こり、差額を着服できるとすれば美味しい話しではありますが、つまりは本末転倒です。

 文字通り「瞬間」で売り切れたのは、バカな制度設計が理由です。

 プレミアム率の高い商品券は、ひとり10セットまで購入でき、老若男女を問わないので、乳飲み子までカウントし、一家4人で40万円分を購入した世帯を目の前で見ました。

 午前10時発売と予告されながらも、朝の7時から店頭に並び、3時間で8万円のプレミアムゲットとは、時間当たり2万6千円で、赤ちゃんまで含めた一人当たりの時給は6千666円。

 土曜の朝の日払いバイトとしては悪くありません。

 発売予定時間を守って、のこのこと出掛けた区民は誰1人購入できず、Twitterでは朝の6時から並び、7時には予定数量分の整理券が配布されていた地域もありました。

 スーパープレミアム商品券をゲットできた区民には、20%の税金が還付された訳ですが、仮に一人当たりの購入上限を5万円にすれば、倍の区民が恩恵を授かった計算で、それでもプレミアムは1万円にのぼり、家族4人なら4万円です。それが10セットとは、格差を拡大するバカな制度設計です。

 そんなバカな制度設計をしたのは足立区・・・もオブザーバーとして参加している足立区商店街振興組合連合会の「商品券対策委員会」。

 区内の商店街による連合会のなかの委員会という民間の組織、という位置付け。

 足立区はオブザーバー参加という形式でアリバイ作りはしていますが、事実上は丸投げです。

 足立区では毎年秋になると、同様のプレミアム商品券を販売していますが、それは10%のプレミアムで購入上限は2万円。税金を投じての企画ですから、資金的余裕のある富裕層が得する仕組みは格差を助長しかねません。当然の制限です。

 従来の予算規模は2億円で、10%のプレミアム率は魅力に乏しいのか、完売まで1ヶ月弱かかるといいます。

 今回の予算規模は10億円と5倍。だから購入上限も5倍の10万円にしたとのことですが、プレミアム率が2倍になっていることはこの計算には含まれておりません。

 また、今回に限り、区内の家電量販店やチェーン店、ドラッグストアでも使えます。従来は個人商店や、そこから派生するコンビニでしか利用できず、飛躍的に利便性が高くなっているのです。

 つまり、お客の側に立ち、常識的に考えれば、今回のスーパープレミアム商品券は魅力的な商品で、完売は即座に予想できたことです。

 それが出来ない「足立区商店街振興組合連合会」だからこそ、区内の商店街がシャッター通りになるのです。繰り返しますが、お客の気持ちが分からない商売は必ず衰退します。バカの集まりとは言いませんが、客の気持ちが分からない連中が集まっても、客を集める方策が思いつくわけがありません。

 足立区の無責任も批判しておかなければなりません。あくまで足立区商店街振興組合連合会の「委員会」による仕切りだからと主張しますが、公費を投じる以上「公益性」に目を光らせなければならないはずが、ここらがズブズブであるのは足立区のいまだ変わらぬ悪弊です。

 具体的事例は控えますが、区が仕切るインキュベーション施設や、同様の会合に参加し、お歴々の覚えめでたくなると、各種助成金や奨励金を受給しているケースを、足立区の広報紙に見つけることは珍しくありません。

 区による利益供与ではないことは明言しておきます。いつでも区役所に足を運べる「顔の広い人」がいて、区の事業に「協力」しているということで、良きにつけ悪しきにつけ、なぁなぁの関係ができあがっているのです。

 公益性という点で見ると、あまりにも不公平であったのは、スーパープレミアム商品券を販売する店舗の偏りです。一部大型量販店でも販売しましたが、商店街の個人商店が主とした販売窓口で、商店街が既に廃れた地域では、入手するのが非常に困難だったのです。

 先の「委員会」を仕切り役としていることから、いわゆる自治体的な公共性を担保する必要はないというのが足立区の立場です。巧妙な立ち位置、狡いです。

 その結果、商店街加入店舗の圧倒的に多い千住地域では、比較的入手が容易で、私の地元ではほぼ購入できなかったといっても過言ではありません。

 全国的にも知名度の高い千住(北千住)は、商業地も含むので、ある程度の偏りは当然ですが、大型店を除いたスーパープレミアム商品券の販売所において、千住地域では32店舗あり、占める割合は24%でした。私の住む舎人・入谷地区は3店舗の3.5%です。

 足立区がホームページ上で発表している「町丁別の世帯と人口平成27年7月1日現在」において千住エリアの人口は71,073人で、人口比では10.5%。同舎人・入谷は23,756人で3.5%。

 この比率で当てはめれば、千住エリアは13.7店の販売で、舎人・入谷は4.6店舗となります。

 繰り返しになりますが、商業地と住宅地を完全に同比率にしろとはいいませんが、舎人・入谷エリアでは1店舗当たり7918人の区民が押し寄せ、千住では2221人です。

 あえて語弊を招く表現をしますが、

「千住の住民への利益供与」

 になっているということです。足立区に住民税を納めることが嫌になります。

 この不公平を足立区に訴えると、先の委員会が利益誘導するとは考えられないと回答。区内の商店街の集まりなので、一部地域だけを優遇することはない、という論理がそもそも間違っています。

 名前は挙げませんが、商店街連合会が利益誘導のための場所だと告白する人物を知っています。これを批判などしません。みな、それぞれの商店街を背負って参加しており、自分が所属する商店街の利益になるように考えるのは、民間企業の経営者ならむしろ健全な姿だからです。

 商品券を取り仕切る「委員会」の担当役員が、千住地域の商店街を代表しているのは偶然かも知れませんが、連合会に加盟する商店街が圧倒的に多い、千住地域に有利な運営が成されるのは自然だということです。

 そしてその連合会は「客の気持ち」がわからないから衰退しています。さらに、それを放置し、公益性に目をつぶる足立区があります。だから我が町足立区では「産業」が育ちません。

 公的資金の利益誘導が公然と行われている足立区。政治に近づくと甘い汁が吸える、とは決して過言ではなく、甘い汁に甘えてお客を振り返ることなく、お客に見捨てられている商店街の姿は、シニカルな喜劇のようです。

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“足立区のスーパープレミアム商品券でわかった商店街が衰退する理由” への1件の返信

  1. すばらしい分析です。
    私も同感です。
    商品券に関しては区は一販売者にすぎません。
    販売金額の総額は判るが個別の販売枚数は各自問い合わせをしなければ
    判りませんでした。答えないところもあり。
    実際に販売したのかどうかも判りません。自分のところで消費した可能性もあります。商店街振興組合連合会が利権の集まりだと思われます。

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