自己責任とは弁済できる範囲?

 自己責任で負える「責任」とは、自分で弁済できるもの。もちろん「命」も含めて。せいぜい家族や親族、親友や勤務先にかける迷惑までは、自己責任に含むことにやぶさかではありません。

 それを越えた自己責任論とは、虚勢や妄想、あるいは「中二病」と同じです。

 昨日のテレビ朝日「モーニングバード」で、お笑いタレントの松尾貴志氏が、何を対象としているのかわからない批判を展開していました。

「安倍首相も支援のタイミングなどを考えて欲しい。外務副大臣が笑顔で英国の関係者と挨拶をするのもおかしい」

 うろ覚えですが、こんな感じ。

 批判の対象と内容を曖昧にすることで「言っていない」と、言い逃れるためであることは左翼陣営の常套手段で、朝日新聞が・・・正確には朝日新聞の元記者、本多勝一氏、山田厚史氏、植村隆氏が証明しています。

 松尾貴志氏の発言は、イスラム国に殺害警告をだされた、湯川遙菜氏と後藤健二氏の一連の報道のまとめ的な位置付けであったことから、イスラム国の周辺国への2億ドルの人道支援についてと推察しますが、批判のための批判に過ぎぬ愚論です。外務副大臣の笑顔は「いいがかり」。

 湯川遙菜氏と後藤健二氏の無事を願うものです。無事帰国した暁には、その手の連中により「英雄」扱いされることに忸怩たる思いはありますが、同胞を他国人に殺されることを望むことなどありません。

 なにより力なきものを拉致して、無抵抗の状態で殺害するイスラム国と名乗るテロリストにシンパシーなど感じません。岩上安見氏はツイッターなどで、米国も誤爆などにより罪な気民間人を多くの殺害をしていると引き合いに出しますが、だからと罪が減じられるものではなく、少なくともジャーナリストなら「どちらも悪い」と指弾すべきです。

 後藤健二氏は消息を絶つ直前、動画でメッセージを残し、自己責任であり、シリアの人を恨まないで欲しいと訴えていました。これも踏まえて、番組では過去に同様の騒動を起こした安田純平氏や、関係者の証言を集め後藤健二氏を称賛します。

 殺害予告を告げたイスラム国の活動家は、ジハーディ・ジョンと推測され、ジターディとは「聖戦士」で、ミュージシャン(ラッパー)とみられる「ジョン」はジョン・レノンからの命名で、なぜなら彼は「英国人」です。また、日本人の多くはシリア人と、イスラム国の過激派を同一視はしていません。

 口々に褒め称えられた後藤健二氏ですが、番組内の評価の妥当性に疑問を持ちます。それは番組内でも触れていたように、後藤氏のこれまでの足跡は、子供や女性と言った紛争の被害者や犠牲者を辿っているからです。つまり「最前線」ではありません。

 従軍記者と現地特派員の違いというか、営業マンと総務部の違いというか、優劣ではなく違うタイプだったのではないかということです。すると、リスク管理のレベルも異なります。

 なにより「自己責任」は、己で弁済できる範囲に限定されなければなりません。山手線の駅のホームから、進入してきた電車へのダイブによる自決は、己の命に限定すれば「自己責任」と呼べるかも知れませんが、何万人という通勤通学への迷惑と、その姿を見た利用者のトラウマを考えれば否定されます。

 金銭の多寡で測る野暮はしません。しかし、日本国は自国民保護のために、可能な限りの手段を尽くすことは「イラク三馬鹿」や、テレビ朝日で滔々と語る安田純平氏でも同じでした。

 残念ながらイラク三馬鹿や、その後の安田純平氏ともうひとりにしても、左旋回が激しく、仮に左翼でもリベラルでも、日本国籍を持つ以上、邦人保護は国家の責務ですから当然ですが、国会解体を目論む日本型左翼、リベラルのために命を懸ける政治家や官僚の虚しさを思い落涙します。

 日本政府は身代金を支払いません。少なくとも公の場で、それを発表することはないでしょう。何かの幸運により、身代金の授受がなく解放されることもあるかもしれませんが、しかし、外務副大臣は現地入りし、安倍首相は外交日程を変更して緊急帰国しました。下品な話しをすれば、そこには様々な経費が発生しています。

 結論によれば、イスラム国の連中に憎しみを覚えることはあっても、それをシリア人と一括りに括ることはありませんが、その結論の如何によっては、世界中の日本人がイスラム国や、類する過激派のターゲットになりかねません。

 そのとき、誰が「自己責任」を負えるのでしょうか。

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