馬脚が現れるとはこのことです。
昨日公示された衆議院選挙を前に、自民党筆頭副幹事長の萩生田光一氏と報道局長の福井照氏の連名で、「選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い」と題した文書が、在京テレビキー局に送付されました。
言論弾圧です。
消去法的自民党支持者ですが、物書きの端くれとして、コンテンツに政治が踏み込むべきではなく、公序良俗に反しない限り、政治に口出しを許してはなりません。
本稿を持って、即時の撤回を要求します。
その中身はといえば
・出演者の発言回数及び時間等については公平を期していただきたいこと
・ゲスト出演者等の選定についても公平中立、公正を期していただきたいこと
・テーマについて特定の立場から特定政党出演者への意見の集中などがないよう、公平中立、公正を期していただきたいこと
・街角インタビュー、資料映像等で一方的な意見に偏る、あるいは特定の政治的立場が強調されることのないよう、公平中立、公正を期していただきたいこと
等について特段のご配慮をいただきたく、お願い申し上げる次第です。
不偏不党を神棚に供えるテレビ局にとっては「当たり前」のことに過ぎません。また「要望」とはいえ、権力者へ批判的な報道が増えることは、必要悪というか、民主主義のコストのひとつであり、その点からも「撤回」を求める立場に変わりはありません。
口を窮めていうなら、
「ケツの穴が小さい」
と。
そしてこの「要望」が影響したと、夕刊紙などが報じたのが、評論家の荻上チキ氏の「朝まで生テレビ」の出演キャンセル騒動です。
荻上チキ氏のツイッターによれば、「要望」が影響したのではないと局は回答し、番組の企画の変更に過ぎないということで、具体的には
「政治家+ゲスト」
だったものが、
「政治家オンリー」
になったことによるキャンセルとのこととして、
(2)出演がとりやめになった理由としては、ゲストの質問によっては「中立・公平性」を担保できなくなるかもしれない、というのものだと聞きました。「ゲストが僕だから」というのものではなくて、「文化人・知識人枠」を入れることそのものを取りやめたそうです。
— 荻上チキ (@torakare) 2014, 11月 27
と説明しつつも、
(5)ちなみに、番組スタッフに「誰かが何か言ってきたりしたんですか?」と確認しましたが、あくまで局の方針と番組制作側の方針が一致しなかったため、とのことでした。番組スタッフも戸惑っていた模様です。
— 荻上チキ (@torakare) 2014, 11月 27
と陰謀を匂わせるあたりは流石、リベラル(日本型・左翼フォーマット)です。
同じく出演が見送られたのは、元TBS社員 小島慶子氏。リベラル風に彼女を紹介するなら、「ヤフー知恵袋」からの引用が最適でしょうか。
“小島慶子とかいうおばちゃんは平和ボケした左翼ですか?”
という質問への回答はこう
“左翼というより自分の利害には敏感だけど国益とか国の安全とかには無知な自己中な昔のワガママなお嬢ちゃんが年をくっただけのくだらん中年女性です。
(ヤフー知恵袋より)
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1393331528”
なるほど、そういう見方もあるのかと唸りました。権利意識が肥大化したがために、リベラル(自由)を主張しているだけで、思想的な背景や、現実を見る目を持たないのでしょう。
それでは局側は、荻上チキ氏と小島慶子氏の出演を、どうしてキャンセルしたのでしょうか。
事実関係からみて、先の「要望書」が効いていることは間違いないでしょう。
ならばそれが何を意味するか。
『「朝生」は偏向報道を続けていた』
ということ。周知の事実に新味はありませんが、テレビ朝日が事実上認めたということは、朝日新聞が「慰安婦報道の捏造」を認めたことに比べればインパクトは少ないとはいえ画期的なことです。
その兆候は先週の木曜日、同局の「モーニングバード」のアジテーション企画「玉川徹のそもそも総研」にみてとれました。
テレビ朝日社員の玉川徹氏が、特定の社会問題や政治課題に切り込むという企画ですが、偏向甚だしく、攻撃もあらわな編集が常態化していたものが、先週の放送は「アベノミクス」の成否を問う企画で、「人選」に若干の不平等はあり、松尾貴志氏が「ワイプ芸」でアベノミクスを否定していたことを、ご愛敬とするなら、放送時間も含めて概ね平等でした。
日曜朝の反日プロパガンダ番組「サンデーモーニング」でも批判は控えめ。
ダメじゃん、左翼。そこは頑張れよ、とイデオロギーを越えて背中を叩きたいところですが、左翼には卑怯というルビがよく似合うので致し方ありません。
己の安全を確保してから、クソだなんだと野次るのが彼らの生態です。若手の論客(といっても40代もあり)と呼ばれるリベラル層は、上から目線で保守層を小馬鹿にしながら、自分を別の場所において責任を免れる所作が目立ちます。
しかし、こうした態度から明らかになったことは、自民党の要求を前に、胸に手を当てたら
「思い当たることだらけ」
だったということです。つまりは「確信犯」であり、荻上チキ氏の起用もまたしかりということです。
実に面白い。いや、ケシカラン話しです。自民党には猛省を求めると上から目線で注文を出したところで、選挙について、マニフェストを点検していて不思議なことを発見しました。
今回のではありません。2012年、すなわち「政権再交替選挙」。
解散が噂されてからこちら、
「大義がない」
と大騒ぎし、安倍首相が解散を宣言してからも、安倍政権の2年間において
「集団的自衛権の行使を閣議決定だけで決めた」
と非難していましたが、
“政府において、わが国の安全を守る必要最小限度の自衛権行使(集団的自衛権を含む)を明確化し、その上で『国家安全保障基本法』を制定します。”
これは「j-file2012.pdf」の39ページからのコピペです。何かと言えば、2012年の自民党のマニフェストで、いまでも自民党本部のホームページからダウンロードできます。
文言そのままではないにしろ、前回の選挙で「明記」しており、その上で選挙に勝ち、そして閣議決定という正当なプロセス・・・少なくとも政策を国民に問えというステレオタイプの批判に対しては・・・を経ていることを指摘した「テレビコメンテーター」を見たことがありません。
さらに
「特定秘密保護法など、政府はやりたい放題で傲慢さが目に余る」
的な論も目立ち、毎日新聞特別編集委員の岸井成格氏は、「サンデーモーニング」で
「廃案にしなければならない」
と宣ったのは先月の放送です。
“(前略)有事関連法令や「秘密保護関連法令」の法的整備や情報セキュリティ関連組織の増強を行います(カギ括弧筆者)。
とは、同41ページにあります。
一般市民が「マニフェストなんか読まない」というのを百歩譲って認めたとして、政治を語る、新聞社の編集委員(偉いさん)が、よもや、政権復帰が確実視されていた
「自民党のマニフェストを読んでいない」
とは無能と怠慢の告白で、岸井成格氏は政治を語る資格などないのですが、資格がなくても語れるのは「表現の自由」により保障されている彼の権利ですが、最低限の義務=すなわち、適切な情報を仕入れる努力を怠っているところも、
「権利大好き! 義務ってなに? 強制は軍国主義復活に繋がる!」
と叫ぶ日教組にそっくりです。
それが許されていたのは、結論ありきの「偏向」だったということです。言葉を換えれば「結論ありき」です。
さらに荻上チキ氏も岸井成格氏にしても叫ぶ「脱原発」。
選挙結果では連敗続きで、仮に急進的な「脱原発」の民意を見つけるならば、「山本太郎」氏ぐらいでしょう。小泉純一郎&細川護煕のバカ殿コンビは敗北し、「みどりの風」は風と共に去り、原発被害だと鼻血ブーを喧伝した元町長も連戦連敗です。
二者択一で「要不要」を問うたのなら、いらないと答える人もいるでしょうが、その要らないには「即時」と、「順次」と「いずれ」が含まれていることを無視するのが(急進的)脱原発派の主張で、彼らが脱原発を語るとき、「即時」以外の声を認めようとしません。
つまり、脱原発においても「偏向」しています。
そもそも「脱原発」を決定したからと、その瞬間に蒸発して消えてなくなるわけではなく、廃炉に核廃棄物の処理・貯蔵といった問題は残っており、これらへの明確な手順の説明を、急進的脱原発派から聞いたことがありません。
何度も繰り返していることですが、私は四半世紀は超える「積極的脱原発派」です。この積極的とは時間軸ではなく、ウランにしてもいずれ枯渇する資源で、残される核廃棄物の処理を考えれば、可能な限り早く次の基幹エネルギーへと切り替えるべきだという私の造語です。
代替案を示すなら「水素社会」です。すでに取り組みが始まっていますが、太陽光発電の余剰電力を利用し、水から水素を取り出し貯蔵し、夜間などは水素を利用した発電で補うというもの。
さらに来年から実験が始まると報じられていましたが、電気を電波に変換し発信し、受信側で電気に戻す技術が確立されれば、宇宙空間にソーラーパネルを配置し、地上で受けとることで、天候に左右されない「太陽光発電」が可能になる・・・ま、いずれもまだ実現への高いハードルが待っており、これらの実験を進めるにも「お金」は不可欠で、風が吹けば桶屋が儲かる式で、現時点においても、近未来にはまだ原発が必要で、ついでにいえば
「原発の葬式代は原発に稼がせる」
との立場に私は立ちます。
急進的な脱原発派は時に「そもそも論」を持ち出しますが、それは「ズルイ」のです。それが許されるなら、オイルショックどころか、大東亜戦争へと突入した過程から思い出さなければなりません。
現在の問題を考えるあたり、歴史に学ぶことは大切で、過程を無視して現在を批判するのは大人の取るべき態度ではありません。
さらに昨年の安倍首相の「靖国参拝」を批判するものが掃いて捨てるほどいますが、選挙前から巷間ささやかれていたのは
「靖国参拝をしなかったことが痛恨事」
と第1次安倍政権時の反省です。
そして2年前の選挙戦では、安倍晋三が首相になったら靖国参拝をして、冷え切った日中、日韓関係がさらに悪化すると煽っていたのはリベラルと左翼です。しかし、連中の煽りも、悪夢の民主党政権の前には無力でした。
ある社長の告白です。
「どちらかといえばアンチ自民党だ。しかし、あの民主党政権の悪夢に比べればマシだよ」
団塊世代ながら、選挙へは3度しか足を運んだことがなく、その1度が2009年で、民主党に票を投じたと懺悔し、二度と選挙には行かないと決心していました。
そもそも論で言うなら、靖国参拝は個人の思想信条の自由であり、公的性質を帯びるとしても国内問題に過ぎません。中国や韓国の批判は内政干渉で、ケネディ駐日大使など、米国民主乙(誤字ですがそのまま)政権は、日本を属国だと思っているのでしょう。
事実上はともかく、それを隠す礼儀を知らない幼稚さが、オバマ政権の行き詰まりの元凶ですが、内政干渉をするほど無礼ではないので、これはここまで。
そしてリベラルは「ヘイトスピーチ」すらも、安倍政権批判へとつなげようと、偏向報道を繰り返してきました。
まともな日本人なら、ヘイトスピーチを良しとするものはないでしょう。周囲に悪口を拡散するのは、中国や韓国の「手口」で、謙虚を美徳とする日本人にとって嫌悪感しか生まれないからです。
ただ、一方で嫌韓や嫌中が、一般人から生まれているのは事実で、しかしそれは「ヘイトスピーチ」と無関係であるのはもちろん、「右傾化」ではなく、中国や韓国による度重なる挑発と攻撃、そして「窃盗」から芽生えた自然な感情です。
中国では2004年サッカーAFCアジアカップで、我らが代表とサポーターへ、怒声と罵声を浴びせ、翌年には日系企業が襲撃され、北京の日本大使館も攻撃され、上海では総領事館が、また日本料理店が襲われ、日本車がひっくり返されましたが、日本側に責任があると謝罪も賠償も拒絶しました。
日中境界線付近でガスを盗み、今年、小笠原沖でサンゴを強奪していったのも中国です。
韓国に目を移せば、2002年のワールドカップの権利を横から半分奪っていたことはあまり知られていませんが、韓国の躍進に隣国として拍手を贈った日本人に対して、日本の勝利にブーイングし、敗北に歓喜したのは韓国国民です。
以来、特にサッカーにおいて反日感情は隠すものではなく、表現するものとなり、毎年のようにサポーターによる日本挑発は続いております。
前大統領が竹島に上陸し、天皇陛下に謝罪を要求し、原爆投下は神の懲罰とし、対馬の仏像は盗んで返さないのが韓国です。
これでも「好き」でいられるのは、日本人に限らず少数派でしょう。
つまり、中国や韓国への嫌悪感は、彼らが作りだしているもので、ヘイトスピーチとは無関係ですし、安倍総理はもっと関係ありません。
しかし、いままでの「報道」では、これらを混同させることが日常的に行われていました。それを正すことは、日本の国益に適うことでしょう。なぜなら国民がストレートな情報、加工されていない事実を得られるようになるからです。
ただし、大切なことなので何度でも繰り返しますが、自民党の報道への関与は許しがたい暴挙です。断固反対し、撤回を要求します。そして名前を挙げた「朝まで生テレビ」「サンデーモーニング」、「モーニングバード」に加え、「報道特集」「報道ステーション」などには「今まで通り」の編集姿勢を貫くことを期待します。
自民党の要望とは
「公平中立、公正を期していただきたいこと」
であり、日頃より「不偏不党」であると自負するなら、なんらおかしなコトではありません。
仮にそれを自民党が「偏向報道だ!」と騒ぐなら、それこそ
「朝まで生テレビ」
で討論すればよいだけのことです。荻上チキ氏も同席させて。