テレビ史上に名を残すかもしれない「いっぷく!」

 視聴率が低迷しているテレビ局の代表と言えば「フジテレビ」ですが、勝るとも劣らないのが「TBS」です。同一番組は最高視聴率の日のみをランクインさせる、読売新聞の「深読み視聴率」の先週の集計で、ベスト20に入ったのは反日番組『サンデーモーニング』だけです。

 サンデーモーニングは15%をとり9位にランクインします。もともと数字の高い番組ですが、朝日新聞という本丸が炎上し、その出城『報道ステーション』は訂正とも謝罪とも付かぬ言い訳放送直後に、捏造レベルの「誤報」を謝罪し、残された「牙城」はこの番組という事情もあるのでしょう。

 定期的に洗脳を受け続けないと、不安に駆られるのは新興宗教の信者と同じで、安定的に反日・侮日を報じてくれ、

“まだ謝罪していないという意味で信頼の置ける番組”

 は、サンデーモーニングしかないからです。ま、遅かれ早かれと睨んでいますが。それはハリス・鈴木絵美の「デング熱拡散カミングアウト」の報道姿勢からも見て取れます。

 さて、そのダメダメTBS。ダメなときほど、人間は間違った選択肢を選びます。不幸な女がダメ男を選ぶのと同じです。今年の春からTOKIOの国分太一をMCに迎え、鳴り物入りで始まった『いっぷく!』。放送前はV6の井ノ原快彦が司会を務めるNHKの『あさイチ』と重なることから「ジャニーズ対決」と騒がれましたが完敗です。

 週刊誌情報によれば、前番組の『はなまるマーケット』のスタッフを、制作会社丸ごと引き抜いたNHKが、その人気エッセンスを取り入れたことが『あさイチ』の成功の理由となっており、多分そうでしょう。年上の女性MCと、妻帯者のジャニーズと元ジャニーズで、お届けするのは生活情報と、両者はとても似ています。ただし、番組作りが上手いのが、似て非なるものに仕上げていること。そして「朝ドラ」の後という放送時間や、NHKの強みを存分に生かしていることですが、これは本旨とずれるので割愛。

 『いっぷく!』ではフレッシュな人選と、新味のある文化人を揃えて・・・やっていることは「はなまる」の焼き直し。いわば「戦力ダウンのマイナーチェンジ」。「ダウンタウン」がつまらなくなったからと、狩野英孝と神田伸一郎(ハマカーン)に交代させるようなもの。

 そもそも人選が間違っているのは、国分太一はそつなくこなす器用さがありますが、歌手の「aiko」との交際が永らく報じられましたがゴールインせず、「家庭」とりあつかう番組に疑問符が残ります。

 ハコちゃんこと、作家の岩下尚史は文化人には受けるのでしょうが、メインターゲットの主婦には高いハードルです。「おねえ」に見えますが、明らかにされず、芸事に馴染んだ人にその手の質問は「野暮」というものですが、ターゲットは「野暮」を好むという難しさ。

 そしてTBS社員の枡田絵理奈がいただけません。帯番組としては同局の「ひるおび」に、江藤愛と交互に出演していましたが、主婦受けするのは地味目というか、家庭的雰囲気の漂う江藤愛のほうです。枡田絵理奈は派手というか、よく言えば「綺麗すぎる」のです。端的に言えば「女子が嫌う女」。

 性格は分かりませんが、あくまで見た目の印象です。派手な美女が、どちらかといえばおとなしめの見た目の国分と、どちらかわからぬ岩下とが並ぶ姿はカオスです。視聴率は低迷を続け、そして9月末よりリニューアルしましたが、これが溺死寸前で掴む藁です。

 ニュース性を強くしたのは良いものの、もともと「はなまる」が高視聴率をとり、「あさイチ」がそれを奪ったのは、

「ニュースに飽きた主婦」「そもそも世事に興味の無い視聴者」

 にターゲットを絞ったからです。ニュースを見たい視聴者は、日テレ、フジテレビ、テレビ朝日を見ています。TBSは「視聴者」を見ていないのです。

 それが今朝の番組内容にも表れます。特集を組んだのは

「うちわ問題」

 松島みどり法務大臣が、選挙区で「うちわ」を配ったことが、寄付行為であり公選法に触れると蓮舫が糾弾した騒動です。一昨日の参院予算委員会でのことですが、基本的には皆「失笑」です。

 蓮舫は埼玉や千葉の選管が「うちわ」を寄付に該当するとしていることで、大臣の首を取り、任命責任へと発展させたかったのでしょうが、松島みどりの苦しい答弁も追究しきれず、安倍首相には軽くかわされ、赤っ恥をかかされ格好になったのが蓮舫。

 もちろん、選挙違反なら徹底的に糾弾すればよいのですが、市民感覚からすれば「たかがうちわ」です。「市民団体」が告発し、司法の場で争うならともかく、消費増税による景気の減速感はあきらかで、イスラム国のテロは激しく、ロシアとは対立し、オバマは迷走するなか、「うちわ」を議論するのが国会ではありません。

 結局、他に攻撃材料がない民主党が、いやがらせのような揺さぶりとして仕掛けたに過ぎず、時間を割くほどのネタではないのにネタにします。政治ジャーナリストの伊藤敦夫に

「安倍首相の任命責任が問われる」

 とコメントさせますが、伊藤敦夫は安倍首相が大嫌い。他の政治に関してはバランスよく「普通のこと」を語る伊藤敦夫氏ですが、安倍首相のことになると発言が歪む御仁。彼を登場させる時点で「思惑」があるのでしょう。

 松島みどりの選挙区のひとつ、墨田区で有権者に話を聞いていますが、主に答えているのは顔出しNGのオバサン(おばあさんかも知れない)。ならば、単純に

「松島みどりが嫌い」

 という可能性も否定しきれません。私が見た限り、コメントした墨田区民はわずか3人で、放送時間は先のオバサンが大半です。これは偏向しています。

 松島みどりは大臣就任後「うちわ」を作り直したと「スクープ」として扱い、その中の文字が「4倍になった!」と紹介したとき、国分太一はひとこと。

「注目するのはそこですか?」

 呆れています。問題化しようと次々と繰り出しますが、盛り上がりに欠けたままコーナーは終わります。一つだけ添えておくと、番組内で蓮舫の告発を「昨日」としていたのは「一昨日」の誤りです。TBSに変わり訂正しておきます。

 ちなみに「昨日」の告発は「みんなの党」。創業者の「8億円疑惑」につっこめない政党に、うちわを突っ込む資格などありません。

 そしてその次が高円宮典子様のご披露宴。皇籍離脱され千家典子さまとなりましたが、その披露宴を取り上げるのは「主婦向け」としては定石。皇族はマストアイテムだからです。

 ところが企画の結びが「女性宮家」。唐突感は否めません。主婦の興味は悠仁様をお助けする皇族の存在よりも、典子様のドレスがいくらしたとか、高円宮様との秘話などです。これはTBSのイデオロギーがした余計な仕事。

 ダメな番組は視点がダメ。余計な仕事をする。なぜなら「視聴者不在」だから。というダメさを教えてくれるという意味では、テレビ史上に名を残すことになるかも知れません。

 いっそ「ひるおび」のフォーマットそのままに「あさおび」にすればよかったに。

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