東京DCは霞ヶ関荘園化計画

色んなタイプの作家がいますが、言葉を操る商売の人は

「造語力」

に長けています。
末席の立ち見席にエントリーさせていただいている私でさえ
街角レベルではキャッチコピーの達人といわれております。

キャッチコピーというより「例え上手」なのですが、正しい
言葉づかいから逸脱しても、相手にニュアンスを伝える方が
大切だと考えるからです。

そして言葉が力を持つことを知っています。
何せそれでオマンマを頂いているわけですから。

心のなかで舌を出しつつも、「造語」することが彼らの
販売する商品・・・ビジネスモデルですから仕方がありません。

渡辺淳一さんの「鈍感力」もその賜。
ゴジラ松井流にいうなら「不動心」。

プロ野球選手のほうが綺麗な日本語に感じるのは好みでしょうか。

そんな作家先生がまたぶちあげました。

「東京DC構想」

ざっくりというと、東京23区の中から儲かっている(税収のあ
る)区をDC=ワシントンDCに倣った特別区として、そこから
あがる税収を国が接収して「困っている」地方自治体に振り分けよ
うというもので、猪瀬直樹大先生が提案されました。

彼は言います。

「東京は、自己努力の結果ではない税収が入り、独り勝ちしている」

論旨は地方出身者や地方の犠牲の上に東京が成り立っていると。

「金の卵」といわれた集団就職組が定住し、生活基盤を築き上げた
上で生まれ育った、いわば

「在京2世・3世」

すらもまた、地方の犠牲の上というのでしょうか。

これではまるで「アジア諸国」の論法と同じです。

東京への一極集中は地方の犠牲というより、官主導による利益
確保にそれに連なりぶら下がりおこぼれを貰おうという政財の癒
着構造が根深いことを

「道路公団民営化」

で存じ上げていると思うのですが。
防衛庁跡地の東京ミッドタウンも三菱村の再開発もそう。

この特区に入れてもらえるのは

千代田、中央、文京、港、品川、新宿、豊島、江東、墨田、荒川区に、
目黒区の一部に北区の一部。

そして線引きが適当なので不明瞭ですが、我が町足立区の一部が

「再開発の進む、唯一のロータリー駅のある北千住」

がめでたくDC入りです。
なんじゃそりゃ。

貧しい足立区からさらに搾取するおつもりか。

猪瀬プランによると残された切れっ端通しで「特別区」として
再編成しなさいというのですが、我が町足立区は商業都市北千住を
切り離されて東の葛飾区と一緒になりなさいといいます。

猪瀬リサーチによるとこれで105万人の区ができるそうです。

ちなみに更に南下して江戸川区と手を組めば171万人。
西の板橋と北区の切れっ端と手を組めば175万人。

今、東国原知事で話題の宮崎県の人口が115万人。

北千住を切り離された足立・葛飾連合とほぼ同数です。

つまり、国の直轄領を新しく作ることにより、宮崎県に匹敵する
不採算地域が増えると言うことです。

タダでさえ千代田区が「千代田市」となり独立するという
話がでているご時世にです。

我が町足立区は「東京都」の住宅政策から低所得者層向けの
集合住宅を受け入れてきたのですが、その結果、最後は切り捨て
られるということです。

官公庁にそれにぶら下がる財界が集中する「金持ち千代田区」。
低所得労働人口の受け皿にされた「貧乏足立区」。

もう一度数字に注目してみます。

「1020票 当選」
「2664票 落選」

前者は千代田区議会議員選挙でトップ当選した林則行さんの得票数。
後者は足立区議会議員選挙で次点で落選した方です。

あえていいましょう。

「一票の重さは金の重さ。23区内では」

人口比率というのがあるのでイコールで語ることは強引すぎるの
ですが、足立区での次点議員の票数があれば、今回の統一地方選挙
後半戦の23区内区議会議員選挙のなかで

「東京DC」

に選ばれている区の全てで当選しているのです。
千代田、中央、港区ではトップ当選です。
※練馬と世田谷以外では全て当選している票数です。

「一票の重さ」

形骸化しているとはいえ、頭を抱えてしまいます。

だって「有権者」からみれば、人口の少ない千代田区(の方には
ゴメンナサイですが)を、人口の多い区が吸収する方が

「民主主義」

ぽいのではないでしょうか。

「拝金主義」なら別です。

23区再編議論にはなるほどと思いましたが、この大作家先生の
お考えには汲みしかねます。

そしてお考えはもとより、何故に「東京DC」なのか。

DCは正しくは「D.C.」では The District of Columbia(コロン
ビア特別区)となり、コロンブスにちなんだ名前です。

コロンブスにちなまなければならなかったのか。
日本人だろ日本だろ。

言葉のアヤは作家の商品ですが。

直轄地に天領などなど外の言葉だってあります。
そして構想から行けば

1)東京の美味いところだけを吸い上げて国の税収として地方にばらまく。
2)その仕切はお役人。
3)利権発生。
4)地方を完全に霞ヶ関の管理下に置く。

となることは自明の理。
つまり東京DCというより

「霞ヶ関荘園計画」

どこの指図も受けない「霞ヶ関官有地」をつくり、その収益を
背景にやりたい放題できる力を手に入れることになります。

「そうしないように見張ればよい」

というところでしょうが、ここでの収益がお上の直収入になると
いうことは、本来それを見張るはずの

「区議会議員(地方議員)」

が手をだせないということですから。
23区以外の地方はお金がもらえると喜ぶでしょう。
すると、猪瀬プランにより上手に

「人口の多い区を切り離された直轄領」

は多数決でも敗北するので搾取するのは容易です。
なんて狡猾なアイデアざんしょ。

作家が見知らぬ言葉を使うときは、本を売りたいときですし、
政治屋やお役人様が横文字使うときは国民を欺くときです。

半官、半作家の猪瀬さんの「併せ技」。
とみるのは訝しがりすぎでしょうか。

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