新国立競技場がアベノミクスの第4の矢になる日

 新国立競技場の設計見直しが、アベノミクスの第4の矢になるかもしれないという提案。

 見直しにあたり工期がタイトとなりましたが、大筋では「間に合う」が主流派です。間に合わないと嘆く否定派も、自然災害など突発的トラブルを前提としており、首都圏という地域的要因で、これに該当するのは「首都圏直下型地震」で、そうなればそもそも、オリンピックどころではなくなります。

 ただ、折角なので新国立競技場建設を「アベノミクスの第4の矢」とする方法について考えてみたいと思います。

 まず、コンペですが、従来の専門家による投票や審査などを排します。そして設計案を投稿するサイトを作り、プロアマ問わず投稿させ、リアルタイムに集計します。リアルタイムなので「後出しOK」。すでに提出されたアイデアに、インスパイアされたパクリも起こり得るでしょうが、ネットの世界は「先行者利益」というスタートダッシュのアドバンテージも大きいので、両者に有利不利は相殺されることでしょう。

 実現可能性についても、同時にネット上で議論され、予算を超えるものや、実現不可能なものは民意によりパージされていくことでしょう。

 その上で「みんなの意見」で決定されたデザイン案を元に設計開始。最終的に監修するプロは雇うとして、こちらもネット上で公開します。いまどきの設計データは「CAD」と呼ばれるデータで、しかも図面もそこにある記号も、設計士にとっては共通言語ですから、同時多発的作業が可能となります。

 はい、オープンソースとよばれるプログラム開発のアプローチです。Linuxや各種Web言語は技術仕様が公開され、プログラマが各自勝手に開発し、そのソース(仕組み)を公開し、問題を見つけた人はそれを指摘し修正し、ふたたび公開します。過程がすべてオープンになっていることから、設計思想も含めた資産を活かしやすく、ウェブの進化速度を速めた一因です。

 設計も積算もオープンソース的に、外部の知恵を結集します。現場は伏せますが、ハウスメーカーのいいなりになっている設計士は少なくなく、極論すれば営業マンが引いた手描きの図面を「清書」し、積算計算など面倒な作業だけを押しつけられている設計士もいて、地図に残る仕事がしたい、時分の設計で喜ぶ人の顔が見たいと抱いた大志が消耗されているのは国益に反します。設計のオープンソース化は、彼らの眠っていた情熱と労力を活かす一石二鳥です。

 無報酬の代わりに、一定以上の役割を果たした設計士は「新国立競技場」のどこかに、名前を刻み、永遠に顕彰するというのはどうでしょうか。これなら設計士のコストも大幅にダウンさせることができます。

 続いて現場です。ここは企業の力を多いに利用します。国立競技場の開発現場周辺を「新技術特区」に指定して、各メーカーの新技術の実験場とするのです。まず、引き込みたいのは自動車メーカー。

 セグウェイに大きく水をあけられている「スマートモビリティ」を、積極的に現場で活用するように促すのです。無人走行技術の実証実験の場にしても良いでしょう。現場内での資材の運搬を、無人走行技術を導入して人件費の軽減を図るのです。

 さらに、何かと話題の「ドローン」も活用できます。高所作業は荷物の運搬にはクレーンが使われますが、国立建設でドローンの実用化に成功すれば、荷揚げに卸しようのクレーンの設置は不用です。また、壁面の作業などで、ドローンを利用できれば、足場がいらなくなるので工期を大幅に短縮できます。さらにエレベーター的な利用も不可能ではないでしょう。

 建設費高騰を招いた一因のひとつに上げられるのが「人件費」です。また、納期の難しさも、人員確保が困難になっているからで、安倍政権はこれも理由に「外国人労働者」の受け入れと、リベラルな政策を目論んでいる節もありますが、すくなくとも2020年の東京五輪までは不用です。まだ、労働人口は一定規模あるからです。

 団塊の世代の年寄りはまだ生きていますし「女性活用」「女性の社会進出」とは、ホワイトカラー限定だとすれば、それを逆差別といいます。女性にも建築現場に出ていって貰いましょう。

 そこで「特区」が生きてきます。サイバーダイン、菊池製作所、パナソニック。これらは装着型ロボットのメーカーで、いまは介護用を主力として開発されているのは、そこに需要があるからですが、最終的な目標は「補助筋肉」であり「仮想肉体」です。簡単に言うと、人間の全ての動作をサポートするものです。

 これを新国立建設の現場で大量導入させます。その費用はかかりますが、基幹産業に育て上げれば計り知れない国益をもたらすのは、先進国の高齢化は文明の必然ですし、農作業から建設現場、軍事転用も可能な技術が黄金を生むことに疑いはありません。

 ましてや、装着型ロボットにより、男女の物理的力の差はなくなります。老人と若者も同じです。

 ロボット導入による負担の軽減が、「作業時間の長時間化」を実現します。ブラック企業を目指せというものではありません。実際の建築現場では、10時になれば15分程度の休憩を取り、お昼休みを挟んだ午後3時には再び休憩を取ります。

 肉体を休息させる必要は、事故防止でもありますが、ロボットによる負担軽減で、こうした「隙間時間」を削減することも不可能ではなくなります。

 もっともこの「一服タイム」が職場の和を作るという面もあるので、温存したとして、次の「長時間化」とは、24時間作業の実現です。

 新国立競技場の建設予定地は、現在なにもありません。するとコアな部分なら、夜通し作業をしても、近隣住民からクレームが来ることはないでしょう。そして3交代制の24時間作業体制を作り出すのです。

 これも現場をみれば分かることですが、建築現場では毎日、毎夕、「道具だし」と「片付け」に擁する時間があり、それぞれ合算して1時間前後は発生しています。つまり8時間労働でも、実際の作業時間は7時間。一服タイムも削れば6時間半弱です。

 装着型ロボットにより8時間みっちり働き、それを3交代とすれば、単純計算で従来費3.5倍ほどの進捗が可能となります。また、装着型ロボットも改良し、ある程度の作業動作を「ナビゲート」する機能を装備させれば、「今日から入った素人」でも一定程度の作業ができる。となれば、これまた「みんなの力」を結集させることが可能です。

「建築ロボットボランティア」として、健康な老若男女を全国から集め、一定時間以上従事すると、新国立競技場に名前が残るという仕掛けです。

 さらに、「グーグルグラス」のようなヘッドマウントディスプレーと、CADデータを連動させることで、現場の職人のモニター(メガネ)には、図面と完成予想図がいつでも表示されており、また、同様の装備を装着した補助スタッフのモニターには、次々と何をするかの指示が表示されます。また、進捗状況はリアルタイムで共有され、遅れている箇所には余裕のある人員が廻されるなど機動的に人員が配置されます。もちろん、移動手段はホンダやトヨタが提供するスマートモビリティ。

 さらにさらに、作業着はユニフォームと呼び、デザインも同じく「オープンソース」で募り、業者も同じく。従来の「虎壱」などとは一線を画す、「しゃれおつ」なスタイルともなれば、若者あこがれの職場になるかもしれません。

 さらにさらにさらに。体を使えば本能が呼び起こされ、すると夜の方も・・・とは余談。もしかしたら少子化対策になるかもとは下世話すぎるでしょうか。

 ともかく、いまの日本がすでに持っている技術、少し改良する技術を投じれば、新国立競技場の工期を短縮し、費用を抑えることは造作のないことです。また、都心の現場、各企業の本社に近く、機動的な決済も可能で、しかも一般人の流入は皆無とあれば、新技術を投じた実験場=特区に、これ以上適した場所は考えられません。

 唯一の懸念上げるとすれば、これらをまとめ上げる「IT企業」がいないこと。時価総額ばかり大きくなった日本のIT企業は、営業代理店だったり、ゲーム会社だったり、実体は金融コングロマリットだったり、電話回線貸し出し業だったりと「IT」で金を稼いではいても「IT」の技術が皆無に等しい企業ばかりなので。

 セールスフォースか、グーグルに声をかけ、「日米協力」に持ち込むというのは、TPPを控え、外交的にも有効で、現実的な方法かも知れません。

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