カーシェアリングなぞ即時廃止せよ

 これは先日も指摘したのですが日曜日の昼下がりに日テレが
報じた特番で派遣切りについて「識者」が討論とするという
企画があり非常に不愉快でした。

論ずるところは思うに任せれば良いと思いますし、自由な言論は
民主主義の根幹をなすので構いません。それでも不愉快と感じるのは
2点あり、ひとつは

「社会革命思想」

を底流にみるところ。壮大な社会実験の末にこけたものを日本で
やられても困るなぁと苛立ち、それは「机上の空論」にすぎず、
それが二つ目の苛立ちに繋がります。

「労働経験のない識者や活動家が悲劇を訴える」 

理想論で語り誰もが一家団欒のつつましやかな生活を望んでいる
という前提なのでしょうが、

「はいった金は使う」

まるで宵越しの金を持たない江戸っ子のような非正社員労働者と
働いているとその主張するところと擁護論は虚しく・・・いやアホら
しくなります。

ちなみに宵越しの金については「持たない」ではなく

「持てなかったいいわけ」

とする説もあります。

てなわけでこれもまた食傷気味ですが「派遣労働者」について、
まったく違うアプローチをしてみます。

派遣、期間、日雇い、フリーター。

厳密にはそれぞれの問題は微妙に異なり、さらには派遣ひとつ
みても「プログラマー」と「組み立て工」では異なりますし、
何より

「解雇されたら住むところもなく現金は数百円しかもっていない
期間従業員」

などは就労形態の前に「大人として如何なものか」ということも
ありますが、今回はここらへんはひとまず棚上げして、

「非正社員雇用」

と一括りにします。

企業が非正社員を雇用するメリットは低コストで人件費が調整可能
であることです。低コストとは時給や契約した代金を支払うだけと
正社員雇用時の各種保険負担は不要です。そして、景気悪化や
店舗閉鎖などの際に解雇しやすく、派遣社員なら契約の終了で区切り
をつけることができます。

社員を採用するのにはコストがかかります。先の各種保険だけで
なく、事業悪化で退職を願うときには退職金なども必要ですし、
戦力となるための教育にかかる費用は馬鹿にできません。さらに、
手塩にかけて育てた社員は「引き抜き」「転職」によって、投資
コストが回収できないこともあります。これらをならして平均化して
どちらを選ぶのかは経営判断です。

昨春より小麦粉価格が上がり値上げラッシュが続きました。
デリバリーのピザの値段を見て文句を言ったことがないでしょうか。
分かり易いところでは昨夏まで上げ基調だった「ガソリン価格」に
不平を漏らしませんでしたか?

商品には人件費も含まれています。自動車を作るのにも、パソコンを
組み立てる生産コストに人件費が占める割合は無視できません。

で、消費者はいいます。より良いものをより安く。
資材調達コストと同時に効率的な経営環境に、輸送コストに
人員配備。

結論は非正社員比率の増加と相成りました。

「消費者が悪いというのか!」

YES。といいたいところですが、ニワトリが先か玉子かの議論と
同じく、「より良いもの」は戦後復興(欧米諸国に追いつこうとした
明治維新以降かもしれません)から続き、デフレ下に「より安く」が
加わり、日本人が世界に誇れる

「創意工夫」

の結果とみれば双方の問題と考えます。

この「派遣切り」を単純に「政策の過ち」とするのは鼻白む
ものであるのは社会構造の変化と、さらにいえば私たち日本人が
どうなりたいか、どうあるべきかという根本が欠けているからです。

質問します。次の言葉からポジティブかネガティブのどちらの
印象を受けるでしょうか。ポジティブとを肯定としてです。

「カーシェアリング」
「レンタルビデオ(DVD)」
「ブランドバックレンタル」

さてどうでしょうか? ネガティブかポジティブか。

一般的な意見にカーシェアリングは地域や参加者により自動車を
共同利用する「エコ」な取り組みと報道は好意的です。

レンタルビデオはいまさら説明不要でしょうが「貸本(コミック
レンタル)」まで加わり特段否定されることは希です。

ブランドバックレンタルは、必要な期間だけブランドもの高額な
バックをレンタルすることで、

「賢い主婦(生活)」

という文脈で語られます。

それでは「非正社員」という「労働力のレンタル」はどうでしょう。
これを非難するならダブルスタンダードです。

個人は良くて企業はダメなのでしょうか。
それは「労働者と資本家」の対立構造的思想です。

ここ数年、ヒットに恵まれないIT業界が躍起になって流行らせ
ようと苦心している

「エンタープライズ2.0」

も同じ流れにあります。要約すればサーバやソフトをネット経由で
利用することで、投資負担を軽くしてITを活用するというものの
総称というか、正味の所「実態」も「定義」もない怪しいものに
過ぎないのですが意訳をすればこういう主張です。

「所有から利用へ」

さらに砕いて言えば

「買わずにレンタル」

となり、わざわざ「エンタープライズ2.0」と言葉をひねりだす
ことはないのですが、まぁIT業界の悪弊です。

所有しない時代をよしとします。すると、所有にかかる費用が
削減されます。利用者は一時的にメリットを享受します。そして
削減されたコストはどこへいくでしょうか。

一家に一台だった自動車が町内会で1台、仮に10軒で1台と
なればトヨタに日産、ホンダなどの売り上げは単純計算10分の1
です。ホンダはバイクも作っていますが。

ブランドバックもシェアすることで販売不振となります。

コミックレンタルは漫画も含めた雑誌不況に追い打ちをかけるで
しょう。

エンタープライズ2.0により、パッケージソフトを販売してい
たメーカーに暗雲が立ちこめ、サーバやパソコンも最低スペックの
廉価版しか売れなければ儲けは圧縮されます。

さて、ポジティブでしょうかネガティブでしょうか。
自動車工場で派遣切りにあったものからずれば

「カーシェアリングなぞ即時廃止せよ」

となるのではないでしょうか。自動車会社の儲けに直結します
ので。

非正社員の問題で「社会構造」を口にする労働未経験者たちの
論が浅いのは社会は今も連環構造をもち、企業の姿勢は消費者を
映しだす鏡であるということを置き去りにしているからです。

その姿は

「資本家と体制が悪い」

という懐かしい昭和の光景に重なります。彼らにとっては憧憬
なのでしょうが。

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