庶民感覚と論理の飛躍

 私は是々非々論者です。
是々非々とは認めることは認め、ダメには反対という態度を明ら
かにすることです。

ちまたでも「是々非々」は使われます。
ところが皆「我がこと」となると、なかなか上手くいきません。

例えば上司に、例えばクライアントに、言えますか?

「あんた、まちがっとる」

言葉遣いに噛みつかないでくださいね。文章表現の問題ですが
時々、

「上司や客に使う言葉ではない」

という突っ込みが入りますのであえて字数を割きましたが、
どうでしょうか? 言えますか?

・・・私はいって、会社に居場所をなくして今に至ります。
独立後は何件も客をなくしました。
後悔はしていませんが上手な生き方ではないでしょうね。

お上のやることもそうです。
政治屋さんもお役人さまもすべて間違っているわけではありま
せん。

だから正しいことをしたときぐらい「誉めてあげる」のが
大切です。選挙に出たり、ペーパーテストと出世競争を勝ち抜い
てきた人たちなのですから、間違いなく

「誉めて伸びるタイプ」

でしょうから、誉めれば善政を敷くかもしれないのです。
そして庶民の心持ちとしては感謝を捧げるではなく

「誉めてあげる」

ぐらいで。

新聞、テレビといった「大メディア」の住民の多くも、
同じくペーパーテストや各種競争に勝ち抜いてきた人たちで、
自己顕示欲だけみれば裏方仕事に徹するお役人様より強いので
はないでしょうか。

彼らは「是々非々」と口先で唱えても否定しかしません。
自分が一番頭がいいと思っているのかと疑うほどです。

特に顕著と私が思うのは

みのもんた、古舘伊知郎、朝日新聞、NHK

です。
彼らはお上のすることなすこと、否定してがなり立てます。
「奥さん聞いてよ」とみのがアジテーションし、古館は
深い溜息で些細なことを重大事にします。

否定が間違っていても否定の否定、つまり訂正も謝罪もしな
いことが顕著な、二人二社をあげたのですが、ま、識者と呼ば
れる連中・・・方々も大差はありません。

ニュースやワイドショーを見ていて、この国に希望が持て
なくなった最大の理由はここにあると古館風に溜息をつきます。

そのワイドショーで面白い光景を見ました。

日曜日朝の日本テレビ「TheサンデーNEXT」にて、番組の
まとめとして「コメンテーター」に麻生総理大臣の「迷走」に
ついて意見を求めました。

北村晴男弁護士、ワタミの社長、そして恐怖を撒き散らかす

「経済評論界の稲川淳二」

と先日、私の心の芸人箱に新規参入した荻原博子女史。

北村弁護士が吠えます。

「マスコミのミスリード」

久方ぶりにテレビで「まっとう」な意見を耳にして嬉しく
なりました。

発言主旨はこうです。

「消費税増税の時期をぶれていると騒ぐが、独断決定せずに
話し合って調整するのは当たり前のことで、第一、景気動向
と付帯条件をつけているのは当初からで、給付金についても
自治体の負担を考え全世帯といっただけのこと」

そしてこの表現は使っていませんでしたが、私が意訳する
なら

「揚げ足取りをしているだけで、迷走しているのはマスコミ」

というと稲川淳二さん、もとい荻原女史が噛みつきました。

「マスコミのミスリードではない」

さっすが! 芸人は興行主の味方ですし、雇い主に文句を
いうのは日教組の先生ぐらいです。そして続けます。

「将来増税するぞといって金をばらまいても使わない」

要約です。この「論」はメディアを賑わしさも当たり前の
ように流通しています。

北村弁護士は「次元の違う議論」と伝えると、稲川さんは
「同じだ」と自説をぶつけて「泥仕合突入」。テレビとしては
合格点ではないでしょうか。ワタミの社長は損をしないように
振る舞っていたのは「商売人」としての所作として合格です。

私は「給付金」はいらないと思います。
そこまで困っている人は福祉で恒久的に保護する政策が
必要ですし、後に述べますが「経済効果」はほぼないでしょう。

しかし、配るのというのならこれも後に述べる理由から、
一律がベストです。

これと消費税の増税は別次元です。
今後の日本を考えたときに「金がない国家」となることは
自明で、ならば「定期収入」を求めるのは当然です。そこで
消費税率アップの議論があり、ばらまきと結びつけるのは
異常というか幼稚というか・・・刹那的です。

想像してください。

私たちは例外なくいずれ死にます。
石油はいつか涸れてなくなります。
遙かなときの彼方に太陽は膨張し、地球の大地は枯れ果て
そして太陽に飲み込まれて燃え尽きてしまうと科学者がいい
ます。

だからその必ず訪れる未来のために何もしなくて良いので
しょうか。いずれ死ぬのだから病気の治療はいらないし、
石油もどうせ涸れるのだから使ってしまっても問題ない。
っていうか、地球もなくなるのだから何をしたっていいんだ。

・・・これを「論理の飛躍」といいます。

論点を整理するなら、給付金は「今」に対する政策で、
消費税は「未来」の政策ですから、北村弁護士の主張する
別次元が正解なのです。一方の稲川・・・あ、さっきも間違
えました。すいません、荻原女史は将来の不安を扇動して
今を嘆いているということです。病気の患者がどうせ死ぬから
と治療を拒否しているようなもので、感傷的な感情としては
理解できますが「専門家」のそれではありません。

是々非々論者として北村弁護士を誉めます。
偉い! 北村弁護士。

そして将来の不安を煽る彼女は、不安があるから消費者は
お金を使わない、だから消費も上向かないといいます。閃き
ました。日本国の転覆を目論む工作員か

「日本株の売り浴びせ」

をしているトレーダーの手先か。妄想ですがなんでもかん
でも「否定」する人は必ず矛盾に突き当たると彼女を見て
再確認したのは有意義でした。その芸風にありがとう。

給付金については貧乏人に配っても蓄えるだけです。
庶民でも蓄えるでしょうね。

「地域振興券」

の時は、日常の買い物に券を使い、現金は貯金に廻した子
沢山を知っていますし、

「豊かな日本」

では不労所得に舞い上がって買い込む必需品はありません。

それでは「金持ち」はというと、いわば「はした金」です。
意外と金持ちは無駄遣いを嫌うものですが、良いものに金
は惜しまず、例えば2万円の財布を買う際に1万円の不労所
得があれば3万円とすることを気にしません。一方、庶民は
8千円の財布で抑えて、千円でランチを食べ、残った千円を
財布にしまいこみます。

「使う仕組み」

が用意されていない時点で、経済効果は期待できませんが
金を流通させたいのであれば、使う人=金持ちに支給するこ
とは悪いことではないのです。

政府、政治屋、役人、企業、金持ち。

彼らの悪口を言えば喜ぶ庶民が多いとマスコミは「非々」
に躍起になります。その代償は政治の劣化として私たちに
帰ってきます。

その時にも彼らは反省も謝罪もせず政府を詰(なじ)ります。

麻生総理の発言が迷走していると非難しています。

それでは小泉純ちゃんの時はなんといっていたでしょうか?

「独断専行、まるで独裁国家だ」

発言が揺るがなければ詰り、世論に「アジャスト」しても
なじります。

安倍っちのように黙っていれば「考えを聞かせろ」と追い
かけ、現総理のように「考え」を話せば、詰めが甘いだやれ
なんだ。そしてほっけの煮付けを大騒ぎします。

「首相は庶民感覚がわかっていない」
「オタクの気持ちも掴んでいない」

それではと、これらの意見を体現させるとこうなります

「特売品の行列に並び発泡酒をちびちびと舐め、
鈴宮ハルヒに萌えて、ネット掲示板に匿名で書き込みをする」

・・・やです。そんな国。

今、報道に触れ、混乱している方も多いのではないでしょうか。
しかし、それが正解です。報道は今やダブルスタンダードどころか
マルチプルスタンダードとなっており、

「正しいこととそうでないことの区別がつかなくなった」

のです。ストーカーと呼ばないで歌詞のように。
 

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