銀行がなくなると混乱することなどあり得ない

 またぞろかと苛立ちを隠せません。

本日、公開となったウェブ担当者フォーラムにも「緊急寄稿」し
ましたが、経済が混乱すると火事場泥棒が増えて困ります。そこに
正義も倫理もありません。

火事場泥棒とは火事の現場の騒乱に乗じて盗みを働くもので、
日本人的価値観からみれば許されざる卑怯な行為です。他国にも
それぞれ言い分はあるでしょうが、旧ソ連の北方領土占拠は
卑怯千万な振る舞いであります。

詳しくは省きますが、後ろから突然斬りつけて財布を奪ったよう
な行為です。

そのDNAを受け継ぐロシアと、これまた「戦争」については
議論が分かれるものの実利にさとい中華人民共和国との間で懸案と
なっていた「国境線」が解決したと報じられました。銭ゲバ騒動で
大騒ぎのメディアはあまり報じませんが、バーチャルマネーである
株式相場よりもリアルな「土地」と「国境線」のほうが遙かに
重要であることは忘れ去れています。

もの凄く大雑把に説明すると、両国の間を流れる河と中州の
綱引きで、「折半」で折り合いをつけたというものです。

そしてこれを「領土を巡る国際紛争の新しい形」と評価し、
「識者」のなかには北方領土にも当てはめればという声があると
かないとか。

泥棒と折半をしてはなりません。
これが原則です。

互いの主張に折り合いをつけるのと根本が違います。

そして懸念するのはロシアも中国も日本の領土を自国のもの
だと主張し、北方は不当占拠し、南方は実効支配(実利開発の
ほうがしっくりきます)してガス田を掘ります。

さて、「折半」で解決したとします。
国際社会では笑いものです。日本は奪えば半分くれる。

当然、北朝鮮も一般国民の拉致という人生の強奪に加えて
支援やら援助やらなんやらで奪うことを再開するでしょう。

銭ゲバ騒動の陰に隠れていますが、日本の周辺はずいぶんと
きな臭くなってきております。

世界の目が北京五輪に集まる中、グルジアに侵攻したのは
ロシアです。世界経済の混乱の影で何が起きるのか。

脅すわけではありませんが、高知県の足摺岬沖の「潜水艦」
はどこの国で何の目的だったのかを思い出すと、中ロの動きは
見過ごせません。

そして本題。銭ゲバ。

世界同時株安とパニックのように煽っています。
実体経済は今後悪化すると不安が募ります。
景気が悪くなると真っ先に中小企業に影響がでて危険だと。

・・・だから、金融機関への公的資金の投入を含めた対策
を政府はとらなければならないと「識者」はいいます。

さらに政府は「預金全額保護も視野に入れて」と検討に
はいりました。平たくいえばペイオフ凍結です。

これらすべて火事場泥棒です。

欧米を襲った「金融技術バブル」の崩壊を食い止めるために
公的資金という税金を投入することには私は反対ではありません。

他国のことだからというのではなく「初めて」だからです。
もちろん、日本のバブル崩壊を「他山の石」としていれば
回避できたことですが、イエローモンキーの猿知恵という
「対岸の火事」とみていたことなのでしょう。

しかし、日本は事情が違います。
もう既に公的資金という税金は投じられました。

10年前の流行語に「貸し渋り」がありました。
はてさて、この言葉、今でも普通に流通しまるで定期預金や
住宅ローンのような「金融商品」であるかのようです。加えて
デリバティブのような派生商品をしゃれたのか「貸しはがし」
「貸し止まり」まで生まれています。

税金を使って銀行などの金融機関を救済する際にこういう
主張がなされました。

「銀行は経済の大動脈。これが破綻したら日本経済が死んでし
まう」

生き残りました。動脈は再生しました。しかし、10年経っ
た今も「細胞」や「末梢神経」である中小企業の景気は回復せず、
また「金融不況」に突入していくかの気配です。

また、以前も指摘しましたが、

「米国サブプライムローンという名のバブル商品」

に投資して焦げ付かせるという失敗を繰り返しています。

つまり、銀行を助けても経済は良くならないということです。

または制度としての銀行が必要であるならば、

「日本の銀行が無能で害悪」

ということではないでしょうか。
銀行屋が高給を取ることを否定しません。しかし、ならば
給料に見合った仕事と社会的役割を果たせということです。

これができない・・・すくなくともこの10年を見る限り
ゼロ金利で借りた金をサラ金に貸して莫大な収益を得ても
借金返済で税金を免除され続け、貸しはがし、貸し止まりと
いう新技を開発した日本の銀行に、また税金を使うというこ
とに意味を見いだせず、それはこの混乱に乗じた泥棒にも
匹敵する行為ではないでしょうか。

ならば、いっそのこと市場から退場して貰い、新たな
金融経済を構築するのが中長期的に見た日本の発展になる
のではないかと。

銀行がなくなると混乱する。
少なくとも中小企業にとってはあり得ないファンタジーです。
だって、今だって金貸しくれないのですから、なくなっても
影響は軽微です。

そして続けざまに「ペイオフ凍結」もこれまた火事場の
どさくさにまぎれてやってくれます。

ペイオフ(預金保護)では1000万円以上は保護されません。

さて数字を見ます。

「家計の金融資産に関する世論調査(平成18年調査結果)」

によると世帯当たりの平均貯蓄額は1,073万円です。
大変です。銀行が破綻すれば73万円がなくなるかも知れ
ません。しかし、次の数字に注目します。

「中央値は420万円」

どういうことか説明します。
平均とは超金持ちも調査対象における2割強の

「無貯蓄世帯」

も含めての「平均」です。つまり、金持ちが数字を引き
上げており庶民の実態を表してはいません。一方の中央値は
調査対象の中の「真ん中」ですから、こちらの方が実際に
即した数字がでてきます。

ついでに「平均」のマジックを紹介すると、2割を貯蓄
ゼロとして平均を再計算すると以下となります。

調査対象を10人とすると貯蓄0円が2人。
残りの8人で平均1073×10人(調査対象)を稼ぐ
となり合計10730万円。これを「貯蓄世帯」の8人で
割って平均をだすと

10730÷8=1341.25万円

となります。つまり、そもそも貯蓄をしていない世帯と
超金持ちを混在しての平均値は偏りを表すことができない
ということです。

この時点で、無貯金世帯の2人はペイオフと無関係と
なりました。

さらに進めてみます。一般的な統計データでは中央値の
近辺に数値は集まります。上下の幅は多少あっても、そこ
に落ち着くという前提から、残りの8人中半分の4人を
中央値とします。

420×4=1680万円

先ほどの「貯蓄世帯合計」からこれをひきます。

10730−1680=9050万円

残りの4人で割ります。
すると一世帯当たり2262.5万円です。

数字や統計に強い方ならお気づきでしょうが、中央値よ
り低い貯蓄世帯を除外しなければなりません。ざっくりと
中央値の半分の世帯が残りの半分、つまり2人とします。

9050ー420(2人分)=8630万円

で、これを2人で割り4315万円となります。

話しを整理すると4315万円の貯蓄を持つ富裕層と
貯蓄0や210万円とをまとめての平均で見ると
ペイオフの影響もでるかもしれませんが、実際に銀行が
破綻して預金の被害を受ける庶民はそれほど多くない
のです。

つまり、中川財務・金融相が「頭の体操」として
口にしたペイオフ凍結とは、ごく一部の金持ちを助ける
セーフティーネットに過ぎないのです。

混乱に乗じてどさくさに、金持ちに有利なルールが
ちゃくちゃくと作られようとしています。はぁ。
 

ブログ村に参加してみました。宜しければ右バナーをクリックしてください→ にほんブログ村 政治ブログ メディア・ジャーナリズムへ
にほんブログ村

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください