国破れてパソナあり。プログラミング必修化の先に量産されるIT土方

 文部科学省が「ゆとり」に続く日本解体計画を発表。なにかといえば

「プログラミング必修化」

 これを読売新聞は2016年5月17日の社説で

“プログラミング 必修化を創造力育てる一助に”

 と称揚します。

 欺瞞です。その旗振り役の文部科学省 教育課程部会 情報ワーキンググループがまとめた

情報教育に関連する資料(PDF・平成27年10月22日)

 には、

“諸外国で初等中等教育段階からのプログラミング教育の導入が進んでいることを踏まえ”

 とあり、だからプログラミングも含めた教育モデルの策定が必用と説明します。これは

「日本再興戦略 JAPAN is BACK・改訂2015」

 からの引用で、閣議決定された官邸の方針。

 そしてこれがなにかといえば「産業競争力強化」のためにまとめられたもの。もちろん、教育は産業に直結し、かつての「富国強兵」も同じくながら、義務教育からのプログラミング教育が目指すところは

「IT土方(どかた)」

 を増やすだけ。その有識者会議に名を連ねる、人材派遣会社パソナの会長 竹中平蔵氏のビジネスチャンスを拡大する政策です。

 IT土方とは個別の能力よりも、人海戦術が求められる作業を担うIT従業員。文字打ちレベルのプログラミングにデータ入力、指定された手順に従って検査をするだけの人員。

 一般論ですが、「未経験」を掲げる「プログラマ」や「ITオペレーター」などがこれにあたります。

 IT土方も含めて人材が増えれば、ITの仕事が増える。とは幻想というより妄想です。産業競争力にはなりません。繰り返しになりますが、パソナのような人材派遣業の利益になるだけです。

 国境線のないネットの世界では、国を跨いだ「IT下請け」は常態化しており、10年前の「インド」はこの筆頭でした。

 ただ、インドはシリコンバレーなどで研鑽を積んだ「天才」が、母国に戻り産業を立ち上げ、同時に人材育成をして、下請けから着々と脱しています。「オフショア開発」とも呼ばれますが、「パナマ文書」のオフショアではなく新興国への発注という意味です。

 新興国とは、いわゆる後進国ですが、そこでシステム開発の下請けをする連中とは、当地の大学を出たインテリなエンジニア。義務教育云々のレベルではありません。

 極論すれば、シリコンバレーに引っ越すことさえ出来れば、そこで活躍できるレベルの天才らが、下請けをしているということです。彼らも早晩、インドと同様、自立していくことでしょう。

 日本はこれを目指す・・・とは筋道が違う話です。

 オフショア開発における下請けとは、きっちりと学問を積んだ末にプログラミング技術を身につけたエンジニア。方や日本は読み書き算盤も怪しい小学生が理解できるレベルのプログラミング教育。

 高校では必修化となりますが、生活の糧を得るために寝る間を惜しんで研鑽を積むオフショアの秀才と、強制的に学ばせられる学生とのスキルは雲泥どころではない開きがでるに違いありません。

 せいぜい身につくスキルは「IT土方」レベル。

 現場監督の指示に従い、穴を掘り埋める程度の技量。少子化の日本でこれは「国策」になどなりません。少数精鋭というか、限られた人材で最大限の効果を得なければならないなか、人海戦術要因を育てて儲かるのは人材派遣会社ぐらいです。

 なぜなら、本当に優秀なIT人材を育ててしまうと、彼らは勝手に国境線を越えていき、あるいは自分で会社を作ることでしょう。自身を優秀とは思いませんが、スキルさえあればパソコン1台で会社を辞めることができることは、高卒の私が身を持って証明しています。

 本当に役立つITスキルを習得させると、個人が企業と直接契約を結ぶようになるので、人材派遣業は中抜きできなくなるのです。

 ある人材派遣会社の社長は、無能でも文句をいわず、休まずに働くものが、会社の利益に貢献するといいます。この会社はIT系の人材も派遣していますが、パソコンの電源のオンオフぐらいの研修で派遣しており、派遣先から文句がこないかと訊ねると、

「美人をおくりこめば問題ない」

 とニヤリと笑います。

 IT系の人材を派遣で受け入れる企業には、その派遣に仕事を割り振ることができる人材がいるので、この人達が美人の存在に発奮して頑張ることで、仕事は回るといいます。

 小中高でプログラミングに触れることで、プログラミングやIT系の仕事への抵抗感は薄れることでしょう。しかし、それ以上の効果は期待できません。そしてその薄まった抵抗感を利用できるのが人材派遣業であり、世界的IT土方の請負業です。

 そもそも、世界では「プログラミング教育」は成されているのでしょうか。プログラマー出身の私に、これは信じられないことです。そしてその直感は正解でした。

 ここら辺はさすがに「お役所仕事」で、都合が悪い事実もちゃんと書かれています。

 先の資料「情報教育に関連する資料」の19ページには、英国、エストニア、ハンガリー、ロシア、アメリカ(カリフォルニア州)、カナダ(オンタリオ州)、韓国、中国(上海)、インド、イスラエル、ニュージーランド、南アフリカと12カ国の名前が挙げられ、そのなかで「プログラミング」とあるのは、カナダ、イスラエル、ニュージーランドの3カ国だけです。

 つまり同資料が指す「諸外国」とは「少数派」だということです。形式上は嘘ではありませんが、実際には国民を謀るお役所文書です。

 確かな野党がいるなら、攻撃すべきはここなのですが、そんなものはこの国には存在せず、安倍晋三首相はともかく、そのお仲間がやりたい放題。

 ちなみにあの「テトリス」を生んだロシアは「アルゴリズム 等」とあり、アメリカは「コンピュータ科学(学校の裁量による)」です。

 私はプログラミング教育のすべてに反対しているのではありません。学校毎の特色や、希望するならば小学生からでも教えるべきと考えますが、一律全ての生徒・児童に教えることは、壮大な時間の無駄であり、利益を得るのは竹中平蔵氏が会長を務める人材派遣会社であり、国破れてパソナあり。

 教育の破壊は国家解体の最適解です。

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