203高地が鍵だと気がついたのは海軍だったとあります。
こんな時でも縦割り行政なのかと陸軍は軽んじます。
ただし優しい目で見るならば「職業意識」です。
そして近所の氷川神社などに顕彰碑に名前が刻まれたかと思うと
やはり考えるものがあります。
私は亡父から「日本海決戦」での日本海軍の奇跡のような勝利を
見てきたかのように何度も聞かされました。昭和19年生まれだっ
た父が見てきたわけではないのですが、戦争帰りの大人は多く
そこから聞いたのか戦争映画の影響かはしりませんが、そんなもの
だと思っていました。
しかし本巻にて敵将のロジェストウィンスキー提督への同情を
禁じ得ません。奇跡は奇跡として突如現れるものではなく、
いくつもの必然の積み重ねの結果論なのだと。
日英同盟。教科書で習ったこの同盟がロシアの行く手を阻みます。
日本国民とすれば歓迎すべきことですが、この「補給路」という
概念は後に大東亜戦争への布石となることをページをめくりながら
考え、めくる手が少し重くなります。
そして203高地を制した陸軍は決戦へと北進します。
■坂の上の雲(文庫本5巻)
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