消費習慣から見た理論減少値からみた増税の悪夢

 日本百貨店協会が19日発表した10月の売上高(既存店ベース)は、前年の同じ月を2・2%下回ったといいます。さらに、日本チェーンストア協会が20日発表した全国スーパー売上高は前年同月比1.9%減。続けて午後に発表された、日本フランチャイズチェーン協会のコンビニエンスストア売上高は、既存店ベースで前年同月比1.1%減。

 消費の落ち込みは明らかで、百貨店の落ち込みがもっとも大きく、コンビニが比較的小さいのは生活防衛の度合いでしょう。10円単位を気にする客はコンビニではあまり買い物をしません。また、百貨店は「嗜好品」が多く、単価も高い傾向があり、少しの買い控えが数字に大きく影響します。

 これを「アベノミクスの失敗」と民主党の枝野幸男氏などは騒ぐのでしょうが、増税の失敗で、それは三党合意という「デスノート」による呪いです。

 昨日のブログから、ポイントを抽出して紹介します。

 この春、安倍首相から経団連へ呼びかけ、ベースアップする大企業も増えました。連合が発表した、第1回回答集計では賃上げ率は2.16%。これだけなら、賃上げしたのに消費が伸びていないことになります。しかし、増税されました。

 平均賃金方式での賃金引き上げ額は6,491円という発から逆算すると月給300,509円となります。で、賃上げ前は294,018円。両者を比較します。

 各種税を2割と仮定し、それを引いた可処分所得と、括弧内は税抜き可処分所得と、すべてを使い切ったときの税負担です。

賃上げ前:235,214円(224,013円/11,200円/5%)
賃上げ後:240,407円(222,599円/17,807円/8%)

 可処分所得は5193円増えていますが、税負担は6607円増加し、差し引き1414円の「減収」となっているのです。すると差額分の1414円が喪失し、0.6%の売上減少となるとは、典型的な机上の空論です。

 賃上げ&増税後も、賃上げ前と「同額の出費」をしたら「消費税抜き可処分所得」は217,790円となり、減少額は6,222円で割合では2.77%です。これも机上の空論ですが、消費は習慣性のもので、習慣には店の場所や商品、ブランドなどに加えて「価格」も要素となります。

 簡単に言えば「カップラーメンは98円」という消費習慣を持っている客が108円の商品を買うことは少ないということ。コンビニを日常的に利用していれば「カップラーメンは180円」かもしれませんが、とにかく消費活動は習慣に支配されており、少しぐらい給料が上がっても(増税により実質減少ですが)、いきなりセレブにはなれないのです。

 また、永らく給料は固定化され、あるいは減少してきたなかで、数千円が上がったからと散財することなどできず、また来年には「増税」ともなれば、特に、統計を取った10月ならば、一年後の今頃はと想像すれば、財布の紐が固く縛られるのは当然です。

 そして各種小売店の統計値が、「消費習慣から見た理論減少値」を下回っているは、人間の欲望は誘惑に弱く、またデフレという乾いた雑巾を絞り続けた小売店にとって、増税により耐えきれずに「値上げ」したことも理由でしょう。

 実際にこの理論を証明するには、季節要因と通期での検証が必要ですが、机上の空論ではなく「街角の体温」を感じていれば、さして真実から遠くないと自負しております。ただし、財務省と配下のエコノミストには理解できないようですが。

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