ほしのあきとペニーオークションと原子力規制委員会

クリスマスの仕事が終わり、次は正月の仕事にかかります。こんなとき、少しだけ「提灯記事書いて金貰っている人」を羨ましくなります。IT業界では「ポジショントーク」という表現が好まれて使われ、業界や業者に有利なような発言をするということで、今年のあたまに流行った言葉を用いるなら「ステマ」です。

ステマとはステルスマーケティング、利益供与を受けていることを隠して、商品やサービスを推奨することで、芸能人がブログや出演番組で「これが良い」や「友達が作ったアクセサリー」などと持ち上げる大半がこれといって良いでしょう。

ステマという言葉が賑わったのは「食べログ」に、業者による投稿があり順位を操作した事件からですが、その前に「ペニーオークション」があります。

市価より遙かに安い価格で購入できる機会を提供する「ペニーオークション」がついに詐欺で摘発されました。一回あたりは少額で入札でき、仮に単価を1円とすれば、他の入札がなければ1円で落札される仕組みです。

ところが締め切り時間に第三者が入札すると、締め切りが時間が延長されます。そして価格が競り上がっていくのですが、インターネット上のことで、つまりは「プログラム処理」できます。

「本当に」入札があった商品に対して、残り時間数秒となったところで、第三者が入札したかのようにプログラム処理して、締め切り時間を延長します。

すると「本当に」入札した人は、その商品が欲しいわけですから、入札し直します。あとはこれの繰り返しです。

ペニーオークションでは「コイン(サービスや詐欺師によって名称を変えていますが)」を購入し、入札一回につき一枚消費します。その結果、大金を支払っても落札できない現実にぶち当たります。

この詐欺が巧妙であるのは、立件を難しくする要素が二つあるからです。まず、本当の・・・いわゆる実在の入札者が投じたコインが市価に近い数字に達したときに、本当に落札させるプログラムを組んでおけば、実在の落札者が登場するわけで、こうした成功体験はプラスの学習効果と波及効果を生み、被害を拡大させます。詐欺師としては客から金を受けとってから、商品を購入するだけですから損はしません。

もうひとつが「撒き餌」として、安価な商品を本当に落札させて「実績」とすることができるかことです。実際、弊社の専務はカップヌードルを落札しています。

もちろんプログラムを解析すれば、詐欺は一目瞭然です。しかし、詐欺師集団らしく、定期的に、それも一ヶ月から二ヶ月毎にサービスを終了します。そしてサービスを受け継いだ別会社があらたにサービスを開始します。この繰り返しで、会社の住所もそのたびに変わりますが、この住所もまたウソです。

だから「詐欺的」とわかっていながら、確たる証拠を掴むのが難しいことから、社会問題となりながら摘発が進まなかったのですが、読売新聞に依ればようやく逮捕者がでました。以下、読売新聞のオンラインより。

問題のサイトは「ワールドオークション」。運営していた大阪市のネット関連会社社長・鈴木隆介容疑者(30)ら4人が詐欺容疑で両府警に逮捕されている。

で、記事には35才の女性タレントが30万円貰って「サクラ」を演じているとあります。つまりは「ステマ」です。詐欺の片棒なら共犯者です。犯罪と知らなかったとすれば、本件で罪に問うのは難しいでしょうが「風説の流布」には該当するでしょう。

事務所からは「軽率だった」とコメントが出ていますが、さてそれは誰かと言えば「ほしのあき」さんです。

ちょうど2年前の今ごろ話題となっていたもので、噂されたタレントはデヴィ夫人、東原亜希、熊田曜子、永井大、ピース・綾部、小森純(敬称略)などなど。

みな噂が出ると当該ブログが削除されたので、そこに信憑性が表れ、このなかで年齢的な条件に当てはまるのが「ほしのあき」さんだということです。

ちなみに「ペニーオークション 空気清浄機 タレント ブログ」で画像検索すると、そこには空気清浄機のよこで笑顔を振りまく「ほしのあき」さんを見ることができます。

弁護するわけではありませんが、軽率だったという言葉に表れるように「軽い感覚」だったのでしょう。

冒頭に指摘したように「友達」というフィルターを通して、商品やサービスを宣伝する事例は日常茶飯事で、著名人となれば当たり前の行為だからです。

金銭の授受だけではなく、サンプルの提供、モニターとしての利用なども含めれば際限がありません。

そしてこれはどの業界でもある日常の風景です。とりわけIT業界は常態化しており、詐欺的とわたしは断じます。ペニーオークション詐欺における「ほしのあき」さんが、あつめて煮詰めて燃えるゴミにだしたいほどいる業界です。

「セカンドライフ」を持ち上げ、「Web2.0」を新世紀の到来のように騙り、ツイッターで実名社会が訪れるといったのは、どこのドイツだオランダだと昭和の駄洒落は脇に置き、いまはフェイスブックと右手に「LINE」だ「comm(コム)」だと囃し立てます。

ステマです。サクラです。詐欺的です。これを

「ポジショントーク」

と称して良心の呵責から逃れようとします。しかし、詐欺的であり、というより「専門家」として語る以上は、素人に対しての責任が発生するという矜持を持つなら「詐欺」以外の何者でもありません。

ただし「ポジショントーク」はIT業界だけのものではありません。と、いう視点に立つことで見えてくるものが沢山あります。

福井県の敦賀原発について、原子力規制委員会が「活断層」と決定を下しました。わずか二日間の調査と、2時間の話し合いとはいえ5人の専門家が一致してくだしたのですから・・・・というところが怪しいと「ポジショントーク」を知るものからして疑ってしまいます。

正しいかも知れません。正しいのなら廃炉は当然でしょう。しかし、「ポジショントーク」ならばどうでしょうか。

脱原発といいながら、消去法的に原発を容認する立場からの発言ではありません。むしろ容認させるにはこれはチャンスであり、それについては後に述べます。

橋下徹さんはいいます。

「日本は原子力に関するルールがなかった。ゆえに原発を動かしてはいけない国なんだ(筆者要約)」

わたしからみれば、ルールがなくて40年間、無事に稼働していた事実を称賛しますが、これは彼一流のペテン的論法で、脱原発に向かえばそれで良しとしながら、ルールができれば容認もやむなしという両にらみです。

そして日本は地震国。脱原発を念仏のように唱える連中は、地震の少ないフランスを引き合いに出して、だからと原発に反対します。ただこれも地球的規模から見れば、いつ何がおこっても不思議ではなく、地震が少ないとされたイタリア北部で地震が頻発している事実もあれば、起きる起きると30年以上警告されている関東直下型地震のように、まだ起きていないものもあります。ようするに地面の下のことについては、分かっていないことの方が多いという謙虚さをもって、今回の原子力規制委員会の結論を尊重したとします。

ならば、たった5人の専門家の結論にも謙虚になるべき、と考えるのが科学的な態度ではないでしょうか。

日本には停止中も含めて50を越える原発があります。このすべてを彼らの決定がすべてとなるのでしょうか。実際には現時点で、規制委員会の決定に強制力はありませんが、決定を金科玉条とする空気に支配されれば、そうなびくことは想定の範囲内です。

しかし、あまりにもリスクが高すぎます。

先に指摘したように「ポジショントーク」の可能性が否定されていないからです。

さらにいえば原子力規制委員会は、先に原発に過酷事故が起きたときのシミュレーションで、何度か間違った情報を流した組織です。すぐに訂正を公表した姿勢を高く評価しますが、間違いは間違いです。今度も間違えいるかもしれない・・・とうがつのが民間企業の取引感覚です。

すくなくとも取引上のミスがあった相手とは、数回から十数回かは疑いながら約束を交わすものです。

つまり、原子力規制委員会の調査結果を調査する委員会の設置こそが、橋下徹さんがないと嘆いた「ルール」作りになるということです。

原子力規制委員会の調査結果を学術的に「検証」する組織や団体、さらに「評価」する仕組み作りが、いま求められているのです。もちろんそれをするのは「政治」ですが、ここでは虚しくなるので掘り下げません。

そしてもうひとつ。

「原子力規制委員会の専門家の思想信条と現金授受の調査」

これが「ポジショントーク」への疑念です。脱原発、反原発を思想として持っているか否か、関連団体からの利益供与はなかったか、これを明らかにすることで「公平性の担保」とするのです。

ほしのあきさんが詐欺の片棒を担いでも被害はたかだか知れています。ペニーオークション詐欺にひっかかる側にも「得をしたい」という心理が働いており、盗人にも三分の理があります。

しかし、原発は国民生活・・・ではありません。

「日本国の存亡」

にかかわる問題です。必要以上に議論を重ねて、先送りをすることをよしとしませんが、技術的なチェックを二重にした上で、チェックする人間のチェックをするぐらいのことは簡単にできます。

例えば本人に思想的明確な意思がなくても、家族や友人、所属団体や旧友に「反核活動家」がいて友好的洗脳をうけていれば、灰色を黒と認定することでしょう。その逆もしかりです。

原発事故がおきたあと、こう批判されています。

「(国も東電も、国民もね)事故が起こらないと考えていた」

その通りでしょう。この反省に立つからこそ、

「すべての結論に批判的であれ」

と。

最後に「暫定的原発容認派」としての「ポジショントーク」を。

敦賀原発は即時廃炉にすべきです。
すると収入源がなくなり、廃炉費用を賄いきれない日本原子力発電は破綻します。形式上民間企業ですから当然のことです。

株主は電力各社です。出資分の赤字が計上されます。さらに不足する廃炉費用をどうするかの議論が残ります。国でしょうか? 株主でしょうか。

ざっくりとした数字が出れば、それに50をかけた数字が、脱原発により発生する「国民負担」です。

原発がなくても猛暑を乗り切った。と啓蒙するバ・・・政治家が沢山います。薄氷をいつまでも踏みたいとわたしは思いませんが、それはそれでよいとして、天然ガスや石油の輸入によるコスト増からの電気代増加は、仮定の仮定の議論が多く結論がでません。

しかし今回の敦賀原発により「廃炉費用」のベースとなる数字が算出されます。

つまりは、

「脱原発以後の世界で国民一人ひとりが負担する金額」

がよりくっきりと浮かび上がってくるということです。

その上で負担を甘受する国民が多ければ脱原発に舵を取ればよく、いや・・・もう少し様子を見ようよとフワッとした民意がなびけば「暫定的原発容認派」に政治が尻尾を振るようになります。

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