最低保障給引き上げのファンタジー

最近、ぐっとクローズアップされてきた話題で、今回の参院選に

取り上げます。

「最低保障給を1000円に」

先進国と比較して日本の最低保障給は低く、働いても働いても
生活保護より安い給料となるワーキングプアが存在しているとい
います。

ネットカフェ難民などもここに組み入れて、最低保障給に救いを
求めるという動きです。

国民の大半を占める労働者にとっては耳障りの良い話です。

そしてなにより先進諸国の中でもっとも低いとのなれば由々しき
自体です。

最低保障給を上げろ派の主張はこうです。

諸外国との格差。とりわけイギリスの1267円、フランスの
1326円という数字を持ち出して、日本の673円は安すぎる
といいます。

また貧困層の国民割合を表す「貧困率」が、アメリカに次いで
2番目だというのも許すまじきことだと。

私は最低保障給を上げても下げてもなくしても良いと考えてお
ります。

それは識者や学者や政治屋さんの主張はすべて「絵空事」や
「机上の空論」でしかなく、タワゴトに付き合うほどこの夏の
繁忙期は暇ではありません。

だって自営業者には関係がないことですから。

自分がではなく、ここにメスを入れない限り何も変わりません。

「下請け虐め」

などという「卑怯」な行為がまかり通っています。
これを断片的に報じることはあっても、

「虐めている元請け」

「その手口」

は報道されなければ、国会で論じられることもありません。

テレビにとっては「大スポンサー様」で、政治屋さんには票田
であり支援者ですから。

仮にどうしても私が「最低保障給を擁護」しなければならない
立場に立ったとしたら、

「自営業者にも適用」

が最低条件となるのです。
限界ギリギリの人的コストで仕上げた部品が買いたたかれる。
よくある光景です。

最低保障給が大幅に引き上げられたとします。
私が「悪徳元請け大企業」ならこうします。

「職人起業支援センター」

なるNPO法人を立ち上げます。
職人として自立するための援助をする団体です。

下請けや孫請けの職人を次々と独立させます。
各種保険や諸経費をカットできる分を支払いに上乗せできるの
で、職人が受けとる賃金は一瞬上がります。
雑多なジムはNPOが一定のマージンで引き受けます。

実際の仕事は殆ど変わらず、手取り賃金は増えるので大喜びです。
社員として雇っている場合、受けとっている給与の1.5倍
ぐらいは会社は保険や税金で負担しているので、その分を丸ご
と賃金で支払えば良いと言うことです。

そしてしかる後・・・甘い汁を舐めて貰ったところで、

「契約単価の引き下げ」

を行います。
自営業者ですから最低保障給の対象外ですし、業務単位での
契約をしていれば、掛かった時間に関係なく案件ごとの報酬し
かありません。

かくして労働条件は更に悪化し、悪徳元請けは更に大きくなり
テレビCMをばんばん放送し、政治屋さんの後援パーティーの
チケットを大量に購入します。

職人は「総務職人」「人事職人」「受付職人」と何でもできる
ことを添えておきます。

しかし、その条件でも諸手を挙げて「擁護」するのがためらわ
れるのは

「効率の悪い企業や人員も最低限の報酬が保証される」

ことになるからです。

最低保障給引き上げ派は優秀な人材確保のためには、中小でも
それなりの給料を払うようになったり、さらには会社存続のため
には高額報酬を貰っている従業員が多少の我慢をして、下層を
支援するようになるのではないかといいます。

この国は社会主義国家だと揶揄されますが、一応違います。

役立たずの「高額所得者」は会社存続のために我慢もするでし
ょうが、本当に優秀なエース社員はより条件の良い企業に移籍す
るのは当たり前のことです。

家族でも恋人でもない同僚・・・仕事のできない人間・・・の
為に我慢する人はそれほど多くありません。

結果、資本も体力も看板もある大企業に優秀な人材が集まり
中小は淘汰されていきます。

引き上げ派の論は最終コーナーを回るといつも

「ファンタジー」

に逃げ込むのです。
冒頭に上げた最低保証給や貧困率もレトリックでもあります。

もっとも最低保障給の高いフランスの失業は10%を超え、
25才以下の若手に至っては23%以上。

つまりどうせ雇うなら「一人前」をということです。

そして貧困率も1日1ドル以下で生活する最貧国などはいっ
ていない「豊かな先進国の中で」という前置きがあり、更には
以前も紹介しましたが、

「もっとも格差伸び率の低い日本」

だという都合の悪いデータには一切触れられません。

庶民のためという政策が大企業を利する可能性もあります。

・・・今回、民主党が「大勝」でもして、旧社会党系議員が
偉そうな顔をし出したりでもしたら・・・とゾッとします。

ワーキングプアもなにもそこでしか働けない人ばかりでは
ありませんし、そうなら「社会保障」の出番のはずですが。

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